火星は想像以上に早く姿を変える。数十年で広がった「灰色の地表」の正体
火星は、思っていたよりずっと変化する惑星かもしれません。
火星は岩だらけの黄褐色の砂漠で、その景色は長いあいだほとんど変わらないと考えられてきました。ところが、欧州宇宙機関の探査機マーズ・エクスプレスが撮影した最新画像から、火星の地表が数十年という短い時間で目に見えるほど変化していた可能性が浮かび上がりました。
火星の地表は数十年で変わっていた
公開された画像では、火星の表面が明るい砂色と暗い灰色にはっきり分かれて見えます。赤い地表の上を、黒っぽい層が雲のように広がっている様子が確認できるでしょう。
この暗い層は火山灰と考えられています。
この変化が最近起きたとわかるのには理由があります。1976年にNASAのバイキング探査機が同じ地域を撮影していたのです。当時の写真と比較すると、暗い層はここまで広がっていませんでした。
つまり、火星の地表はわずか数十年という短期間で、目に見える変化を起こしていた可能性があります。火星は数百万年単位でしか変わらないと思われてきたので、このスピードには驚きです。
原因は火星の強風
広がっている暗い層は、火山由来の物質とみられています。
火星には太陽系最大の火山オリンポス山があり、数十億年前には巨大噴火が繰り返されていました。現在は活動が落ち着いたと考えられていますが、その噴火で放出された物質は今も地表に残っています。
暗い色は鉄やマグネシウムを多く含む鉱物によるもの。今回の変化は、新たに火山灰が降り積もったというよりも、火星の強い風によって灰が運ばれた、あるいは明るい塵が吹き飛ばされて隠れていた層が露出した可能性が高いと考えられています。
地下には今も氷が眠っている可能性
観測されたのは、巨大な盆地であるユートピア平原の周辺で、かつて湖や海が存在した可能性がある場所として知られています。大きなクレーターの周囲には、衝突で飛び散った物質がリング状に広がっています。
さらに、丸く波打つ縁を持つ窪地も確認されました。スカロップ状地形と呼ばれるこの地形は、地下の氷が凍結と融解を繰り返すことで生まれると考えられています。火星の地下では、今も氷が地形に影響を与えている可能性があるのです。
2003年から観測を続けてきたマーズ・エクスプレス。その長期データのおかげで、私たちが想像していたよりも、火星が変化の多い惑星であることを教えてくれました。新しい発見があるっておもしろいですね。

