記事のポイント
Z世代は集中力が短いのではなく、注意を引く難易度が高いだけであり、従来のマーケティング前提は通用しない。
アーバンアウトフィッターズは一方通行の広告から脱却し、キャンパスやコミュニティを起点に共創型キャンペーンへ転換している。
重要指標はリーチではなく参加度と共感であり、体験施策とUGCを通じた関係構築がブランドロイヤルティを生む。


アパレル小売チェーンのアーバンアウトフィッターズ(Urban Outfitters)でブランドマーケティング&コミュニケーション責任者を務めるシンシア・レオ氏は、Z世代に関する最大の誤解のひとつは「彼らの集中力が長く続かない」というものだと考えている。

レオ氏に言わせれば、実際のところ、Z世代はデジタルとともに育ち、ミレニアル世代以上に大量のソーシャルコンテンツにさらされてきたために、その注意を引くにはより多くの努力が必要だと主張する。

「彼らはあまりにデジタルネイティブなので、7秒を超えて集中してもらうこと自体を、こちらが勝ち取らなければいけない」と、レオ氏は語った。

「そう考えたとき、我々のマインドセットは本当に変わった。『この顧客のマインドセットとマインドシェアを本当に勝ち取るための正しい方法は何だろう?』と問うようになったのだ」。

一方通行から共創へ。Z世代マーケティングの基本思想



アーバン・アウトフィッターズは、Z世代に向けて一方的に広告を作るのではなく、彼らと一緒にキャンペーンを作り上げる道を選んだ。そうすることで、消費者がブランドとのキャッチボール(双方向のやり取り)に参加しているという実感を、持てるようにした。

これが、カリフォルニア州ハンティントンビーチで4月20日から開催された「Modern Retail Marketing Summit」において、Modern Retailの編集長ジル・マノフ氏とレオ氏が交わした対談のテーマだった。

レオ氏がよく口にするのは、アーバンアウトフィッターズの顧客は「成人を迎えつつある(カミング・オブ・エイジ)」存在だ、ということだ。同社は、高校卒業や、初めての正社員の仕事など、若い消費者の人生の大きな節目に寄り添いたいと考えている。

Z世代とつながるための接点設計は、大学キャンパスがカギ



アーバンアウトフィッターズにとって、大学キャンパスで存在感を持つことは、きわめて重要だ。レオ氏によれば、同社が大学生を対象に行った詳細な調査で「学生とつながる最良の方法は、キャンパスでの交流に参加することだ」とわかったという。

「どんなブランドでも、スタジアムの広告枠を買い、屋外広告(OOH)を出し、自社の名前を掲げることはできる。だが我々にとって、共鳴も共感も伴わないリーチでは、ブランドロイヤルティは生まれない」と、レオ氏は語った。

「どれだけ認知度を高めても、信頼できる関係性がなければ、人々は関心を持たないだろう」。

「ムーバー&シェイカー」と共創するキャンパス起点の施策設計



レオ氏によれば、Z世代と本格的なキャンペーンを共同制作するには、まず特定の大学キャンパスにおける適切な「ムーバー&シェイカー(影響力のある人物)」を見極めることからはじまる。

「アスリート、ソロリティ(女子学生クラブ)やフラタニティ(男子学生クラブ)、ファッションクラブのリーダーなど、キャンパス文化を実際に生み出し、活気づけているこうしたさまざまなグループ」こそ、アーバンアウトフィッターズがパートナーシップを組みたいタイプのグループなのだと、彼女は語った。

イベント施策が生む参加と拡散



また、アーバンアウトフィッターズがキャンパス文化を本当に理解していることを示せるような、ちょっとした気遣いにも力を入れている。

2025年、「グッドゲーム(Good Game)」キャンペーンの一環として、同社はテネシー大学、アリゾナ大学、コロラド大学といった一部の大学で木曜の夜にパーティーやコンサートを開催した。

これらの大学生の多くは、土曜の朝にはテールゲート(試合前に駐車場で開かれる集まり)のために早起きするため、アーバンアウトフィッターズは金曜ではなく木曜の夜にイベントを開くほうが、ゲームデー文化を祝うやり方として、より適切だと判断したのだ。

体験型の要素は、全体としてもより大きな焦点になりつつある。2025年、アーバンアウトフィッターズの新学期向け(バック・トゥ・スクール)キャンペーン「UO Haul」は、スカベンジャーハント(宝探しゲーム)で幕を開けた。

その勝者たちは、翌日に開かれたプライベートイベントに招待され、ガールズグループ・キャッツアイ(Katseye)による音楽パフォーマンスや、アーバンアウトフィッターズの新学期向けコレクションの先行公開を楽しんだ。

さらに同社は、引っ越しトラックレンタルのユーホール(UHaul)と組んでコンテストも実施し、勝者には1000ドル(約15万円)相当のアーバンアウトフィッターズ製品と、ユーホールによるドアツードアの引っ越し搬入サービスが贈られた。

最後に同社は、主要な大学マーケットに位置する20店舗で「キャンパスエッセンシャルズ(Campus Essentials)」のポップアップ体験を実施した。

これらすべてが、Z世代に対するアーバンアウトフィッターズの現在のアプローチを物語っている。すなわち、新学期のような重要な瞬間に、さまざまなかたちで直接顧客にアプローチする姿勢を示している。

もちろん、こうした体験型の要素はすべて、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の安定的なパイプラインを生み出すうえで欠かせないものだ。

重要指標は「参加」と「共感」



「UO Haul」のようなキャンペーンの成否を判断する際、アーバンアウトフィッターズはインプレッション数も見ているが、参加度を示す指標も同時に考慮しているのだとレオ氏は語った。

「我々が行っているどんな取り組みであれ、何人の人を参加させられるか?」とレオ氏は語る。

「人々は我々のブランドについて話してくれているか? 我々のブランドの一部になることに、彼らはわくわくしてくれていて、思わずスマホを手に取り、投稿してくれたり、何らかのかたちで参加できたことに感謝してくれたりしているか?」。

これは、アーバンアウトフィッターズが手がけるそのほかのキャンペーンや投資にも通底する原則だ。

新たなセレブとのキャンペーンを立ち上げる(同社の最新パートナーはザラ・ラーソン)にせよ、ナノインフルエンサーを対象にジョシュアツリーへのブランドトリップを開催するにせよ、焦点は、自社が中核顧客のことを本当に理解しているのだということを、複数のかたちで示すところにある。

「私はいつもこう言っている。『顧客はわかりやすい。なぜなら、彼らは自分たちが何を欲しがり、何を必要としているかを、文字どおりはっきり教えてくれるからだ』とね」と、彼女は語った。

「彼らが向かっている場所についていけばいい。そして、彼らがいる場所で本当に出会うためには、こちらは少し反応的で柔軟になる必要があるのだ」。

[原文:How Urban Outfitters co-creates campaigns with Gen Z]

Anna Hensel(翻訳、編集:藏西隆介)