「体に悪い」は褒め言葉?サントリーNOPEが“2000万本超え”の理由。担当者が明かす、王道を捨てた“ギルティ”の意図
近年の健康志向のあえて逆をいく“ギルティ炭酸”を打ち出し、若年層を中心に人気が高まっているほか、機転の利いたプロモーションで認知度拡大につながっている。
同社にとって、約14年ぶりの大型飲料ブランドとなった今回の炭酸飲料。だが、なぜ王道の路線ではなくギルティ(背徳感)を軸にした商品を開発したのだろうか。
◆若者の「対人ストレス」や「SNS疲れ」を解消する行動に着目
まず、今回の新商品については「炭酸市場の成長鈍化」が背景にあるそうだ。
直近で目立った伸長が見られない要因を分析すると、特に20代〜30代の若年層の流入が少なく、「この状況が続けば、炭酸カテゴリー全体が将来的に縮小していく可能性もある」と大槻さんは説明する。
こうした炭酸市場に新たな風穴を開けるべく、サントリーは2025年2月頃から新商品の開発に着手したわけだ。
開発にあたっては、「若年層が炭酸飲料に何を求めているか」を定量調査によって丁寧に掘り下げたという。その結果、「ストレスを解消したいときに炭酸飲料を飲む」という傾向が、他の年代と比べて若年層で特に高いことが分かった。
また、若年層とストレスの関係性を深掘りしていくと、上の世代とは異なるストレス解消行動が見えてきたと大槻さんは話す。
「少人数でサウナに行く。ひとりでカラオケを楽しむ。家で食事を摂りながら動画を観るなど、『個の時間』がストレス解消行動の主流になってきています。その背景には、職場での人間関係やSNSなど、常に他者とつながり続ける環境による『対人ストレスの増加』があります。
こうしたストレスに対しては、従来のように『誰かと集まって発散する』よりも、『ひとりで距離をとりながら解消したい』というニーズが高まっていると考えました。今の20〜30代の方々にとっては、“ストレスを溶かしていく”というアプローチが適していると捉えたのです」
さらに、人目を気にせず欲望のままに食べる「ギルティグルメ(背徳グルメ)」が食品市場のトレンドになっていることにも着目。高カロリーや高糖質など、ダイエットや健康に悪いとわかっていながらも美味しさに抗えずに食べてしまう、背徳感を伴うグルメのことだが、ラーメンやアイスクリーム、カップ麺といった「ギルティグルメ」が食品市場で軒並み成長しているという事実から、「炭酸飲料においても同様にチャンスがあると判断した」という。
「ひとりで自分の欲求に素直に向き合い、背徳感を楽しむ体験は、私たちが目指す世界観と非常に近いものでした。そこで、『ギルティ』というキーワードを飲料市場に根付かせ、新たな価値として定着させていくという方向性が固まりました」
◆炭酸飲料ではなく、「グミ」のトレンドから着想を得た
では、炭酸飲料でギルティを具体的にどう表現するか。
目指したのは、「つい手が伸びてしまう、病みつきになる味わい」だ。
病みつきになる要素として、「甘さの濃さ(糖度)」「炭酸の強さ」「複雑で豊かな香り設計」の3点が揃うことで、“また飲みたくなる体験”につながることが調査で見えてきたとのこと。
NOPEはこれら3要素をバランスよく高め、「ギルティ炭酸」として満足感のある味わいの実現に向けて開発を進めたという。
特徴的なのは、類似商品の味わいをベンチマークにするのは意図的に避けた点だ。
特定の商品を参考にしてしまうと、新しいカテゴリーを生み出すのではなく、その延長線上に収まってしまうリスクがある。
