「無添加」は嘘?食品表示の“意外な正体”と添加物を避ける「効果」【管理栄養士監修】
食品添加物を意識的に避けるためには、食品表示を正しく読み解く力が欠かせません。一括表示や表示免除の制度により、実際に使用されているすべての添加物を把握することが難しい場合もあります。原材料表示の読み方から「無添加」表示の捉え方まで、食品を選ぶ際に知っておきたい表示制度の仕組みと注意点を詳しく解説します。
監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
食品表示の仕組みと注意点
食品添加物を避けるためには、食品表示を正しく読み解く力が必要です。しかし、日本の食品表示制度には複雑なルールがあり、消費者が一見して添加物の有無や種類を判断することが難しい場合もあります。
原材料表示の読み方
食品の原材料表示は、使用量の多い順に記載されます。スラッシュ(/)または改行の後に記載されるのが添加物で、それより前は原材料です。ただし、小規模製造業者の製品など、一部例外もあります。添加物は物質名で記載される場合と、用途名とともに記載される場合があります。例えば「保存料(ソルビン酸カリウム)」のように、用途と物質名が併記されることもあります。
注意が必要なのは、一括表示が認められている添加物です。「香料」「pH調整剤」「乳化剤」などは、実際には複数の物質が使用されていても、一括して表示できるルールになっています。そのため、「香料」という表示だけでは、どのような化学物質が何種類使われているのかを消費者が知ることはできません。また、加工助剤やキャリーオーバーと呼ばれる添加物は、最終製品に残存していても表示が免除されるため、完全に把握することは不可能です。
「無添加」表示の落とし穴
「無添加」や「添加物不使用」という表示に惹かれて製品を選ぶ方も多いでしょう。しかし、この表示には明確な基準がなく、メーカーによって意味が異なる場合があります。ただし、消費者庁が誤認防止のためのガイドラインを設けています。例えば、「保存料無添加」と書かれていても、着色料や香料が使用されているケースがあります。また、「合成着色料無添加」でも天然着色料は使用されている場合もあります。
さらに、添加物の代わりに別の成分を使用しているケースもあります。保存料を使わない代わりに塩分や糖分を高めにしている製品や、合成添加物の代わりに天然由来の物質を使用しているものもあります。天然由来だから必ずしも安全とは限らず、中には天然でも健康リスクのある成分もあります。「無添加」という言葉に安心せず、全体の原材料表示を確認することが重要です。
「一括表示」と「表示免除」の実態
食品表示には、消費者にとってわかりにくい制度があります。それが一括表示と表示免除です。これらの制度により、実際に使用されている添加物のすべてを知ることができない場合があります。
一括表示される添加物
日本の食品表示法では、複数の添加物をまとめて表示できる一括表示が認められています。対象となるのは、香料、酸味料、調味料、pH調整剤、乳化剤、膨張剤、イーストフード、ガムベース、かんすい、光沢剤、豆腐用凝固剤、酵素、チューインガム軟化剤の14種類です。例えば、10種類の香料が使われていても「香料」とだけ表示すればよく、個別の物質名を記載する必要はありません。
この制度は表示スペースの制約や企業秘密の保護という観点から設けられていますが、消費者にとっては何が使われているかわからないという問題があります。特にアレルギーを持つ方や化学物質過敏症の方にとっては、具体的な物質名がわからないことが健康リスクにつながる可能性があります。より透明性の高い表示を求める声も上がっており、今後の制度改善が期待されています。
表示が免除される添加物
加工助剤とは、製造過程で使用されるが最終製品にはほとんど残存しない添加物のことで、表示が免除されます。例えば、食用油の製造に使われる溶剤や、豆腐を固めるために使われる凝固剤の一部などがこれに該当します。また、キャリーオーバーと呼ばれる、原材料に含まれていた添加物が最終製品にも微量残存する場合も表示免除の対象です。
栄養強化目的で添加されるビタミン類やミネラル類も表示が免除されます。これらは健康に有益とされるため、添加物としての表示義務がないのです。さらに、ばら売りや店内調理された食品には、添加物表示義務がありません。パン屋で焼かれたパンや惣菜店の料理には、添加物が使用されていても表示されないことがあります。表示のされ方は販売形態によっても異なり、容器包装の有無などで確認方法が変わります。これらの制度を知っておくことで、表示を鵜呑みにせず、より慎重に食品を選ぶ姿勢が持てるでしょう。
まとめ
食品添加物と賢くつき合うためには、その実態を知り、表示を読み解き、日常的に添加物の少ない食品を選ぶ習慣が大切です。特に人工甘味料や一部乳化剤と腸内細菌叢との関係は研究が進んでいますが、現時点ではヒトでの影響はなお検討途上です。完璧を目指す必要はありませんが、できることから少しずつ実践していくことで、確実に健康状態は改善していきます。原材料表示を確認する、生鮮食品を中心に献立を考える、発酵食品や食物繊維を積極的に摂るといった小さな行動の積み重ねが、長期的には大きな違いを生み出します。もし食生活の改善に不安がある場合や、既に消化器症状などでお困りの場合は、消化器内科や栄養相談の専門家に相談されることをおすすめします。
参考文献
厚生労働省「食品添加物」
消費者庁「食品表示法等(法令及び一元化情報)」
