靴だけじゃない? 巻き爪になりやすい人に共通する「足の指」の意外な状態とは
巻き爪は、足の爪が内側に巻き込むように変形し、痛みや炎症を引き起こすトラブルです。軽い違和感から始まることが多いものの、放置すると歩行時の痛みや化膿につながり、日常生活に支障をきたすこともあります。
本記事では、巻き爪の基本的な症状や原因、治療方法に加え、自分でできる対処法や予防のポイントを解説します。
監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
巻き爪の症状や特徴

巻き爪とはどのような状態ですか?
巻き爪は、爪の両端が内側に向かって強く湾曲している状態です。爪が筒状に丸まるように変形するのが特徴です。爪の形が変わるだけでなく、進行すると爪の周囲の組織にも影響が及ぶことがあります。巻き爪は変形そのものでは痛みが出ない場合もありますが、靴などによる圧迫や歩行時の負荷によって痛みを感じたり、爪が皮膚に当たることで炎症を起こしたりする場合もあります。また、巻いた爪が皮膚に食い込み、陥入爪になる場合もあります。
巻き爪と陥入爪の違いを教えてください
巻き爪と陥入爪は似ているようで異なる状態です。巻き爪は爪の形の変形であり、爪が内側に巻いている状態を指します。一方、陥入爪は炎症を伴う状態で、爪の端が皮膚に食い込んで痛みや腫れ、化膿などを起こしている状態です。巻き爪が進行すると爪が皮膚に食い込みやすくなり、陥入爪を引き起こすことがあります。また、陥入爪を繰り返すことで爪の形が変形し、巻き爪になるケースもあります。
巻き爪で生じる症状を教えてください
巻き爪では、爪の変形に加えてさまざまな症状がみられます。歩行時や運動時に爪の先端が圧迫されることで、指先に痛みが出たり、爪の下に内出血(血腫)ができたりすることがあります。また、爪の湾曲が強くなると厚く硬くなり、爪切りが難しくなったり、爪の先端が突出して靴や靴下に当たり、違和感や痛みを感じたりすることもあります。さらに、爪の端が皮膚に食い込むと炎症を起こし、陥入爪へと進行する場合もあります。
一方で、見た目は大きく変形していても痛みがないケースもあり、気付かないうちに進行していることもある点が特徴です。
巻き爪はどの指に多くみられますか?
巻き爪は足の親指に多くみられます。これは、歩行時に体重がかかりやすく、靴による圧迫も受けやすい部位であるためです。ただし、親指以外の足の指や、まれに手の指に起こることもあります。靴の形状や歩き方、足の変形(外反母趾や扁平足など)、爪の病気などが関係している場合もあり、日常の環境や習慣が影響することも少なくありません。
参照:『陥入爪・巻き爪』(日本創傷外科学会)
巻き爪になる主な原因

なぜ巻き爪になるのですか?
巻き爪は、爪にかかる力のバランスが崩れることで起こると考えられています。通常、足の爪は歩行時に地面からの適度な圧力を受けることで、平らに近い形を保っています。しかし、この力が不足したり、逆に横方向からの圧迫が強くなったりすると、爪は内側に巻くように変形していきます。原因は、つま先が狭い靴やサイズの合わない靴による圧迫、長時間の立ち仕事や歩行による負担、外反母趾や扁平足などの足の変形などです。また、寝たきりや歩行機会の少ない方では、足の指に十分な力がかからないことで巻き爪が生じることもあります。
さらに、爪白癬(爪の水虫)などの爪の病気、むくみ、遺伝的な体質、薬の影響なども関与すると考えられており、複数の要因が重なって発症するケースが多いのが特徴です。
爪の切り方が原因で巻き爪になりますか?
爪の切り方も巻き爪の原因のひとつです。特に、深爪や爪の角を丸く切りすぎるラウンドカットが原因となることがあります。深爪をすると、爪の先端が皮膚に埋もれやすくなり、爪が伸びる過程で周囲の皮膚に押されて内側に巻き込みやすくなります。また、角を大きく削りすぎると、爪の端が皮膚に食い込みやすくなり、巻き爪や陥入爪のリスクが高まります。
予防のためには、爪は指先と同じくらいの長さに整え、全体をまっすぐに切ったうえで角だけを軽く整えるスクエアオフカットが推奨されます。正しい爪切りを習慣づけることが、巻き爪の予防につながります。
参照:『陥入爪・巻き爪』(日本創傷外科学会)
巻き爪の治療と対処法

巻き爪は自然に治りますか?
巻き爪は、軽度であれば生活習慣の見直しによって改善する場合もありますが、基本的には自然にもとの形に戻ることは少ないとされています。特に爪の変形が進んでいる場合や、痛みや炎症を伴っている場合は、放置すると悪化する可能性があります。また、巻き爪が進行して皮膚に食い込むと陥入爪となり、腫れや化膿を引き起こすこともあります。そのため、違和感や軽い痛みの段階で適切な対処を行うことが大切です。
自分でできる巻き爪の対処法を教えてください
自分でできる対処法は、爪や足への負担を減らすことです。つま先に余裕のある靴を選び、爪が圧迫されないようにして症状の悪化を防ぎます。爪の切り方も大切で、深爪を避け、指先と同じくらいの長さを保ちながら、角を軽く整えるスクエアオフカットをします。爪の端が皮膚に当たって痛みがある場合は、コットンなどを爪と皮膚の間に軽く挟んで保護する方法もあります。
また、足を清潔に保ち、保湿を行うことで皮膚のトラブルを防ぐことも予防につながります。ただし、強い痛みや炎症、化膿がある場合は無理に自己処置を行わず、早めに医療機関を受診しましょう。
病院では巻き爪をどのように治療しますか?
医療機関では、症状の程度に応じて保存的治療や外科的治療が行われます。保存的治療は、痛みや炎症を抑えることを目的に、爪と皮膚の間を保護する処置(テーピングやコットンパッキングなど)を行います。あわせて、ワイヤーやプレートなどの矯正器具を使い、巻いている爪を少しずつ平らに戻していく方法もあります。
一方、症状が重い場合や再発を繰り返す場合には、外科的治療が検討されます。これは、食い込んでいる爪の一部や爪の根元(爪母)を処置して、再発しにくくする方法です。負担の少ない日帰り手術で行われることも多く、術後すぐに歩行が可能なケースもあります。
いずれの治療も、症状や生活への影響に応じて選択されるため、違和感が続く場合は早めに医師への相談が必要です。
参照:『陥入爪・巻き爪』(日本創傷外科学会)
巻き爪の予防法

巻き爪を防ぐ爪の切り方を教えてください
巻き爪を予防するためには、爪の切り方がとても重要です。基本は、爪の先端をまっすぐに切るスクエアオフカットです。爪は指先と同じくらいの長さにそろえ、まず上部を一直線にカットします。その後、角を軽くやすりで整えて、引っかかりにくい形に仕上げます。角を深く切りすぎたり、丸く削りすぎたりすると、爪が皮膚に食い込みやすくなり、巻き爪や陥入爪の原因になるため注意が必要です。
また、深爪も巻き爪のリスクを高めます。爪が短すぎると皮膚に圧迫されて内側に巻き込みやすくなるため、適度な長さを保つことが大切です。
巻き爪を防ぐための生活習慣を教えてください
巻き爪の予防には、日常生活のなかで足や爪にかかる負担を減らすことが重要です。まず、足に合った靴を選ぶことが基本です。つま先に余裕があり、指が自由に動かせるサイズの靴を選ぶことで、爪への横方向の圧迫を防ぐことができます。先の細い靴やサイズの合わない靴は、巻き爪の原因になりやすいため注意しましょう。
また、正しい歩き方も大切です。足の指をしっかり使って歩くことで、爪に適度な下からの力がかかり、自然な形を保ちやすくなります。逆に、足の指が地面につかない浮き指の状態が続くと、巻き爪が引き起こりやすくなります。
さらに、足を清潔に保ち、保湿を行うことで皮膚トラブルを防ぐことも重要です。むくみや足の変形(外反母趾や扁平足など)、爪の病気(爪白癬など)がある場合は、それらを治療することも巻き爪の予防につながります。
編集部まとめ

巻き爪は、爪の両端が内側に巻き込むことで起こる変形で、進行すると痛みや炎症を伴い、陥入爪につながることもあります。原因は、靴による圧迫や歩行時の負荷、爪の切り方、足の変形などさまざまで、複数の要因が関係しています。
軽度であれば生活習慣の見直しやセルフケアで改善が期待できますが、症状が進行した場合は医療機関での治療が必要になることもあります。特に、痛みや腫れ、化膿がある場合は無理に自己処置を行わず、早めに受診しましょう。
日頃から正しい爪の切り方や靴選び、歩き方を意識することで、巻き爪の予防や再発防止につながります。症状の悪化を防ぐためにも、違和感が生じた段階で適切に対処しましょう。
参考文献
『陥入爪・巻き爪』(日本創傷外科学会)
