調子が上向いている三笘。ただ現状に満足はせず「もうちょい上げられると思う」。(C)Getty Images

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 プレミアリーグ終盤戦。順位争いが激しさを増すなかで、三笘薫とブライトンの存在感が確実に大きくなっている。その象徴とも言えるのが、4月21日に行なわれたチェルシー戦でのパフォーマンスだった。

 そのひとつ前のトッテナム戦で、三笘はパスカル・グロスのクロスに完璧に合わせ、鮮やかなゴールを決めた。英衛星放送スカイスポーツが「Exquisite volley(絶妙なボレー)」と称えれば、地元ニュースサイト『サセックス・ワールド』も「Spectacular(華々しい)」と絶賛。この得点は、クラブファンサイト『We are brighton』でも4月の「クラブ最優秀ゴール候補」にノミネートされている。

 だが、この試合で足に痙攣を感じ、途中交代となった。コンディションへの不安を残したまま迎えたのがチェルシー戦だった。

 それでも、三笘はピッチに立った。そして開始早々、いきなり観客の視線を奪う。右サイドからグロスが供給したクロスに、ダイレクトでボレー。相手GKに阻まれはしたものの、一連のプレーには三笘の高度なテクニックが凝縮していた。

 さらに後半には、個の能力がより際立つ場面もあった。ペナルティエリア内でマーカーに寄せられた瞬間、ボールを浮かせて相手を外し、ボールをタッチしてシュート。惜しくも枠を外れたが、もし決まっていれば間違いなくスーパーゴールとして語り継がれていただろう。技術とアイデアが同居したプレーだった。
 
 この試合は、ブライトンでの三笘にとって、3月4日のアーセナル戦以来となる先発出場でもあった。コンディションに不安を抱えていたが、ピッチで見せたプレーはむしろ逆だった。状態は上向いている。そう感じさせるには十分すぎる内容だった。

 ただ本人は、決して現状に満足していない。

「いや、まだまだですね。もうちょい上げないと、って思いながらやってました。もうちょい上げられると思う。(シーズン終了とW杯まで)残り2か月弱ぐらいあるので、そこに持っていかないといけない」

 そして今、ブライトンは確かな勢いがある。2月21日のブレントフォード戦からの8試合で6勝1分け1敗。順位は14位から6位へと一気にジャンプアップした。シーズン終盤に来てのこの上昇曲線は偶然ではない。チーム全体に生まれている変化が、結果として表われている。

 来季チャンピオンズリーグ出場圏の5位アストン・ビラとの勝点差は8。決して小さくはないが、それでも三笘は可能性が残されている限り、視線を上に向ける。

「他が勝てば無理ですけど、可能性があるならチャレンジしないといけない。可能性があるだけ、面白いところに来たなと思います。ほんと4勝すればいい話」

 では、その好調を支えているものは何か。三笘はチーム内からの視点でこう語る。

「セカンドボールのところなど、守備意識が上がったのは間違いなくあります。また、競争がしっかりあるのも大きい。今まで試合に出ていなかった選手がモチベーションを持ってやることが、競争につながっている」

 守備意識の向上とポジション争いの活性化。シンプルではあるが、どの強いチームにも共通する要素だ。特定の誰かに依存するのではなく、チーム全体で底上げしていく。そうした好循環が、今のブライトンには確かに生まれている。
 
 そして、この流れをさらに加速させている存在がいる。冬の移籍市場でブライトンに復帰したグロスだ。

 ドルトムントから戻ってきた34歳のベテランMFは、すぐさまチームの中心に収まった。試合の流れを読み、適切なポジションに顔を出し、シンプルながらも質の高いプレーで攻撃を整える。派手さはなくとも、効果的なプレーで違いを生み出している。