三井住友信託銀行は4月28日、住宅ローンについてのアンケート調査の結果を発表した。調査は2026年1月、全国の18〜69歳(関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く)5,958名を対象にインターネットで行われた。

○ペアローン利用は20年で約2倍に

住宅ローンの借入について、この20年での大きな変化の1つがペアローンの拡大だ。2021年〜2025年の借入れではペアローンの利用割合は22.0%となり、20年前と比べて約2倍になった。現在も単独ローンが多数派ではあるものの、ペアローンによる住宅取得も一定の割合で定着してきている状況が見て取れる。

借入形態(単独ローン・ペアローン)

本レポートでは、単独ローン世帯とペアローン世帯を対象に、家計の状況(コンディション)と住宅ローンの借り方という2つの軸から比較し、それぞれの特徴や共通点を確認している。

○世帯の就労パターン

ペアローン世帯の共働き率は84.8%と高い水準にある一方で、単独ローン世帯においても57.8%が共働きとなっている。共働き世帯の増加が進む中でも、単独ローンを選択する世帯も一定数存在していることがうかがえる。

自身および配偶者・パートナーの現在の就労パターン

次に、現在の世帯年収をみると、単独ローン世帯、ペアローン世帯ともに「700万円〜1,000万円未満」が中心層となっている。

ただし、700万円未満の割合は単独ローン世帯48.2%、ペアローン世帯41.7%である一方、1,000万円以上の割合は単独ローン世帯20.9%、ペアローン世帯29.6%となっており、ペアローン世帯では高収入層の比重がやや高い結果となっている。

現在の世帯年収

続いて、家計管理の形態を確認した。設問の選択肢を「単独管理」「主体者あり共同管理」「共同管理」「独立管理」の4つのスタイルに大きく分けてみると、いずれのローン形態でも「単独管理」が減少しているものの、単独ローン世帯(2021年〜2025年)は、依然として「単独管理」(36.9%)が最も多く、次いで「主体者あり共同管理」(36.3%)となっている。

一方、ペアローン世帯では、「主体者あり共同管理」と「独立管理」がともに28.0%で最多となった。特に、「独立管理」は単独ローンより13.1ポイント高く、収入・支出をそれぞれが管理する世帯が多いことが特徴だ。ただ、他の管理スタイルも一定程度みられ、「どのような役割分担で家計管理をしているか」については、世帯ごとにさまざまであることが分かる。

家計管理・運営を担っている人

以上を踏まえると、就労形態や世帯年収の分布には大きな違いがみられない一方で、家計管理の方法は差がみられ、住宅ローンの借り方が、家計管理のあり方と一定の関係を持っている可能性が考えられる。

住宅ローンの借り方

住宅ローンを検討する際に参考にした情報源の数をみると、単独ローン世帯では「1カ所」の割合が42.2%と大きく占めている。ただし、借入時期が最近に近づくにつれて、「参考にした情報なし」の割合が減少し、「3カ所以上」の情報源を参考にした割合が増加している。

ペアローン世帯においては、「1カ所のみ」を参考にした割合が減少し、「3カ所以上」の割合が高まっている。

いずれにおいても、情報収集の複線化が進んでいるが、その変化の程度はペアローン世帯の方が大きくなっている。ペアローンは契約に関わる主体が複数となることもあり、単独ローンに比べて、より多角的に情報を収集しながら検討が進められているものと思われる。

住宅ローンを検討する際に参考にした情報源の数

さらに、具体的な情報源をみると、借入時期・ローン形態にかかわらず「金融機関の窓口・担当者」や「住宅販売会社・不動産会社の営業担当」が主要な情報源となっている。

加えて、2010年代以降は各種ホームページSNSの情報を参考にする割合が大きく増加していることに加え、ペアローン世帯では、ファイナンシャルプランナー(FP)を活用する割合も大きく伸びている。

住宅ローンを検討する際に参考にした情報源(複数回答可)

では、契約そのものに違いはあるのか。まず、借入金額について、世帯年収700万円未満と700万円以上に分けて分析をしたところ、いずれの区分においてもペアローン世帯の借入金額中央値が単独ローン世帯のおよそ1.2倍となっている。

借入金額(世帯年収700万円未満)

借入金額(世帯年収700万円以上)

さらに、頭金割合については、単独ローン世帯では頭金ゼロの割合が継続的に増加している一方、ペアローン世帯では頭金ゼロの割合が減少し、1割くらいの層が増えている。共働き世帯が多いことを踏まえると、安定的な収入を背景に、自己資金を一定程度用意したうえで住宅取得に臨む世帯が増えている可能性が考えられる。

頭金割合

以上の項目には違いがみられた一方で、「借入期間」「返済比率」「借入金利」については、単独ローンとペアローンに共通した傾向が確認された。

借入期間は「35年」が主流であるが、2016年以降は「36年以上」の超長期を選択する割合が増加。2021年〜2025年では単独ローン世帯8.7%、ペアローン世帯10.7%となっている。

返済比率は「世帯年収の1〜3割」が大半を占めるものの、2021年〜2025年には「4割以上」も増加し、単独ローン世帯、ペアローン世帯ともに10%を超えている。

借入金利はいずれも変動金利が主流となっている。

○「たくさん借りている」だけではないペアローン世帯の実像

ペアローンは一般に、借入金額が大きく負担の重い借り方と捉えがちだ。本調査においても、同じ世帯年収帯で比較した場合、ペアローン世帯の借入金額は、単独ローン世帯より高い傾向にある。また、おそらく共働き世帯が多いことから、家計管理をそれぞれが担う「独立管理」を選択する世帯も一定数見られる。この場合、家計全体を一体的に把握できていなければ、収支や資金状況の把握が不十分になる可能性も否定できない。

一方で、住宅ローン検討時により多くの情報源を活用し、かつ頭金ゼロを選択する割合も足元では減少してくる。借入れのみに依存するのではなく、自己資金の準備を含めて住宅取得に向き合う姿勢がみられる点は、これまでのイメージとは異なる側面といえる。