今年1月に発表されたアメリカの有力紙・ニューヨーク・タイムズの『2026年に行くべき52か所』に長崎が選ばれました。

推薦の背景や、今後インバウンド客の増加が見込まれる中、整備すべき点などを取材しました。

【NIB news every. 2026年4月10日放送より】

(フリーランス記者 クレイグ・モドさん)

「面白いのは日本風の屋根。瓦があるんだけど下が洋風建築になっているところとか。ここから見るとあの辺も行ってみたいな。あの山の奥を覗いてみたい、歩いてみたいところがものすごくたくさん見える」

アメリカ人フリーランス記者のクレイグ・モドさん。

日本各地を旅し世界に発信してきました。

長崎はこれまでに数回訪れたことがあるそうです。

港を取り囲むように山が連なる地形に魅力を感じると語ります。

(フリーランス記者 クレイグ・モドさん)

「久しぶりに来て味わっても、和華蘭(わからん)の文化とかたっぷり味わえると思う。市民の誇りになってほしい」

今年1月に発表された、ニューヨーク・タイムズの『2026年に行くべき52か所』。

52都市中17番目に紹介された長崎市を推薦し、紹介文を執筆したのは、モドさんでした。

グラバー園や大徳寺の大クス、喫茶店「珈琲 冨士男」などを紹介しています。

(フリーランス記者 クレイグ・モドさん)

「海外の建築、料理、うまく混ぜ合わせているまちだと思う。原爆のことがなくても長崎は絶対行くべき都市だと思っている」

グラバー園を訪れていたインバウンド客。

モドさんと同じように長崎に魅力を感じていたようです。

(アメリカから)

「美しい。初来日で長崎も初めてだが、本当に美しい」

「とても温かく迎えてくれた。長崎の人はとても親切で助けてくれる。日本語は話せませんが、人々とコミュニケーションが取れている」

(カナダから)

「グラバー園や出島、ピースミュージアムに行きたいと思った。とても素敵。景色もきれいで天気もよく、平和で、見どころもたくさんあり楽しんでいる」

1946年創業の喫茶店「珈琲 冨士男」。

モドさんの執筆したニューヨーク・タイムズの記事の影響がすでに出ているといい、多くの客でにぎわっていました。

(マスター 川村 達正さん)

「(これまでは)パンが売り切れたら客が引く。引かなくてどんどん並ぶときもある。僕自身もびっくりしている」

(フリーランス記者 クレイグ・モドさん)

「冨士男の卵サンドとか、ミルクセーキとかすごくおいしい。インテリアも昭和時代のレトロ感がすごく面白いし、スタッフの動きとか制服とか独特で好き」

海外からの客だけでなく地元の人や国内客も増えたそうです。

(スタッフ)

「地元の方などで “ニューヨーク・タイムズに載ってたね、懐かしくて久しぶりに来た”と言う方も」

来店数の多さに驚いていますが、モドさんの評価した店の雰囲気を味わってもらうため、頑張りたいと話します。

冨士男ではすでに効果が出始めていましたが、2023年に選出された盛岡市に取材したところ、春頃から欧米系のバックパッカーを見かけるようになったそうです。

前例に照らし合わせると、長崎でもそろそろ効果が出始めそうです。

どれくらい効果があるかですが、盛岡市が選ばれた2023年は、5月にコロナが5類に移行したこともあり、外国人宿泊客数が前年比10倍近くまで増加。

その後も一昨年は、前年比1.4倍の9万2600人あまり。去年は前年比1.3倍の12万4100人あまりと選出後順調に数を伸ばし続けています。

県内でもインバウンド客の増加につなげるために、行っていることや、今後取り組むべき施策について取材しました。

長崎市とともに観光施策に取り組む「長崎国際観光コンベンション協会」。

確認しているのは、長崎検番の練習見学やハタづくりなどの「体験コンテンツ」を紹介する英語の動画です。

ターゲットは、体験コンテンツの消費額が大きい欧米やオーストラリアの富裕層。

動画制作中にニューヨーク・タイムズ選出のニュースが飛び込んできました。

(長崎国際観光コンベンション協会 地域連携課 紱永 美保さん)

「私たちにとっては追い風になりうるいいニュース。この機会を最大化できるように、(動画を)急いで展開したい」

このほかにも、英語ガイドの育成や…

地元飲食店とともに、ヴィーガン対応のちゃんぽんやトルコライスといった郷土料理の開発に取り組んできました。

一定程度の準備は進んでいますが、専門家はまだ取り組むべきことがあると指摘します。

(長崎国際大学人間社会学部 国際観光学科 城前 奈美 教授)

「観光МaaSのサービス推進を進めていくべき」

観光МaaSとは、鉄道やバスなどの公共交通機関やレンタカーなどの移動手段の検索・予約・決済をワンストップで行えるサービスです。

(長崎国際大学人間社会学部 国際観光学科 城前 奈美 教授)

「(ニューヨーク・タイムズ選出を機に)増えていく外国人旅行者というのは、ほとんどが個人旅行者。長崎空港や長崎駅に着いた後に、二次交通をどうしようか、目的地までどうやって行くのか、それから目的地の観光施設はいくらなのか、チケットを事前に手配できるのかなどの情報を知りたい」

観光МaaSの整備は、インバウンド客だけでなく、受け入れる地元にもメリットがあるといいます。

(長崎国際大学人間社会学部 国際観光学科 城前 奈美 教授)

「(既存の観光МaaSでは)周遊型チケットの販売もされている。二次交通の手配と観光施設や観光アクティビティのチケットをセットで購入できるということは、その土地での滞在時間の延長につながって、その土地への経済効果も高まることが期待される」

モドさんの長崎への思いがつなげた『2026年に行くべき52か所』への選出。

これまでの取り組みを生かしつつ新たな展開も進め、世界レベルの観光地への飛躍を目指します。

(フリーランス記者 クレイグ・モドさん)

「自らに投資して、長崎の独自の文化、市民性などをこれからも高めていってほしい」