1本10万円以上の“王者ベルト”が飛ぶように売れる WWE最大の祭典「レッスルマニア」という魔法 ベルトを通じてファンの熱量のワケを探ってみた

現地時間18日、19日(日本時間19日、20日)に米・ラスベガスのアレジアント・スタジアムで開催される世界最大のプロレス団体WWE最大の祭典「レッスルマニア42」を控え、現地時間16日〜20日の日程で各地から“ユニバース(ファンの呼称)”が集う『WWE WORLD at Wrestle Mania42』が開催されている。会場での人や催し物の多さもさることながら、ひと際目を引くのが、老若男女問わず、誇らしげに本物さながらのチャンピオンベルトを肩に掛け、腰に巻いてイベント会場、さらには街中、ホテルの中を歩くユニバースの多さである。
【画像】ベルトにまつわる会場の風景とファンたち(複数カット)
会場でベルト売り場を調べてみると、1本およそ500ドルから。高いものでは1本1000ドル(取材当時、現地17日時点のレート1ドル158円換算で7万9000円〜15万8000円)を超える。高騰するレッスルマニアのチケットを購入し、現地までの交通費やホテル代を支払えば、人によってはそれだけで数十万はくだらない。ではなぜ、これほどまでに多くの人がそれでもベルトを購入するのか。持ち主はもちろん、販売店責任者に話を聞いてWWEとユニバースが生み出す“熱量”のワケを探ってみた。
「全てのファンと一つになれる。ベルトは本物のファン“True Fan”の証」

米・カリフォルニア州のモントレーから来たというエディ・オエダさんは今回が3回目のレッスルマニアとなる。いずれも訪問の際にベルトを購入。今回で3本目の購入となった。
「ベルトはもちろん高いけど…プロレスリングを愛しているから、価値があるもの。WWEのエネルギーや情熱、芸術を全てのファンと分かち合い、一つになれる。これは本物のファン“True Fan”のものだね」
いずれも500ドルほどのモノを買っていて、いい思い出作りになっていると笑顔を見せた。
ベルトを買ったら、“思いがけないストーリー”が紡がれた親子

同じくカリフォルニア州のサンフランシスコからやってきたのは、アンドレイ・リカーさん(47)とジャック・リカー君(12)の親子。レッスルマニアは2度目の訪問で、所持するベルトは1本。初めて買ってもらった宝物は499ドルほどだという。
「選手たちが花道から登場するときにベルトを掛けている姿が本当に大好き。いずれ僕が、花道からベルトを持って登場できるようになりたい」
WWEスーパースターに憧れ、自らの夢を抱いたジャック君は今回、女子スーパースターであるロクサーヌ・ペレスとラケル・ロドリゲスのサインを手に入れたことをとても嬉しそうに話してくれた。
一方、父・アンドレイさんは「僕だったら少し迷うけど…妻が購入を決めたんだ」と明かすと、さらに興味深いエピソードを披露してくれた。
ベルトがきっかけでラスベガス行きの飛行機でコックピットへ案内された

父・アンドレイさんが披露してくれたエピソードは、サンフランシスコからラスベガスに向かうサウスウエスト航空での出来事。他の客や機長との心温まるふれあいの様子だった。
「空港でベルトを持っていると『お、レッスルマニアでラスベガスに行くんだな。さぁ、早く進んでラスベガスに向かうんだ』といって息子に列を譲ってくれる大人がたくさんいた。さらに、息子のベルトを目にしたサウスウエスト航空の機長が、コクピットに息子を案内してくれたんだ」
コックピットの中に? 信じがたい気持ちもあったが、この写真を自慢げに見せられて納得。これがアメリカ特有の寛大さ、レッスルマニアの魔法なのか…と。
WWEやレッスルマニアという共通言語を通じて、ユニバースをはじめとする人々が心を通わせる。空港に降り立った時から、もっといえば、ラスベガスに向かう飛行機の中からそんな雰囲気は感じられた。ホテルへの道中やホテルの中、カジノに興じる人々でさえもレッスルマニアに関連する“何か”を身に着け、身に纏っていた。この期間中はレッスルマニアを通じて、街が、ユニバースが“心地良い距離感”を保っている。
ベルトはスーパースターとの“接点”を感じさせ、心を寄せることができる

最後に話を聞いたのは「WWE WORLD」の会場でベルトを販売する店舗の責任者であるジェイソン・メリーさん(27)。そんなジェイソンさん曰く、期間中、販売するベルトの種類はレッスルマニア本番に向けて多くなり、最終的には計30〜40種類ほどになるという。
ベルトの価格帯はスーパースターのシグネチャーによって変動。1本550ドル〜高いもので1本1000ドルを超える。最も販売個数が多い価格帯は1本700ドル(約11万円)から800ドル(約12万6000円)だという。
またジェイソンさんが手にしているのは、この世に10本しか存在しない貴重なベルト。名実ともに女子のトップ選手で、日本が世界に誇るイヨ・スカイの大親友。“Rhiyo”の盟友リア・リプリーのもの。リアは今回のレッスルマニアで現WWE女子王者のジェイド・カーギルに挑む。
このベルトの金額は、取材時点では最高額の1本1099ドル(約17万3000円)。ベルトには実際にリアの直筆サインがあり、シリアルナンバーも入っている。
リアの“直筆”サインとシリアルナンバーがスーパースターとの接点になる

ジェイソンさんは、ベルトに入るこの直筆サインがポイントだと指摘する。
「直筆サインということは、愛してやまないスーパースターが実際にこの“ベルトに触れた”ということの証。ユニバースとの接点になるんだ。こうして“推し”のスーパースターとの接点を感じながらレッスルマニアを楽しみ、終わってからもセンチメンタル、感傷に浸って余韻を楽しむことができるんだ」
ユニバースはベルトを通じてWWEやスーパースター、他のユニバース“True Fan”と心を通わせる。年に一度の祭典をよりスペシャルな体験にしている。そして、このBigでもHugeでもなく、多くの“True Fan”の存在こそが、WWE、そして最大の祭典であるレッスルマニアの生み出す”熱量“の正体かもしれない。
余談になるが、ジェイソンさんによると18日にレッスルマニアの初日のメインイベントで統一WWE王座戦に登場し、ランディ・オートンとの防衛戦に臨むコーディ・ローデス。そのベルトが週末にWWE WORLDに登場する予定だという。1本の値段は「1500ドルから2000ドルに達するかもしれない」という。
