アースフレンズに勝利したジークスター東京【写真:横田美咲】

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ジークスター東京がプレーオフ進出決定

 ハンドボール・リーグHのジークスター東京が、初の日本一を目指して進化をみせた。ジークスターは11日、東京・墨田区のひがしんアリーナでアースフレンズBM東京・神奈川と対戦。新たに取り組む守備システムが機能して34-28で快勝した。勝ち点を35に伸ばし、5試合を残して6位以上によるプレーオフ(6月)進出も決定。悲願のリーグ制覇に向けて、ジークスターが戦術の幅を広げる。

 ジークスターの堅い守備が、相手を苦しめた。200センチのPV玉川裕康主将(30)、196センチのLB部井久アダム勇樹(26)とディフェンスの要をあえて外し、スタメンにPV橋本明雄(33)やLB泉本心(23)ら185センチと決して大きくはない選手がズラリ。守備ラインを上げて高い位置でボールを奪い、速い攻めからゴールを重ねた。

 174センチとチーム一小柄なLW細川智晃(30)が最初のゴールを決めると、橋本が連続得点。177センチのRW柴山裕貴博(33)、182センチのRB蔦谷大雅(26)が次々とゴールした。開始10分過ぎまでに8-2と大量リード。佐藤智仁監督(40)は「スタートのメンバーが素晴らしい集中力を見せてくれた。新しいジークの可能性が示せた」と満足そうに振り返った。

 これまで、玉川や部井久が守備の生命線だった。高さを武器に個の力で失点を抑えてきた。しかし、過去4回のプレーオフではいずれも決勝進出を逃すなど、勝ち切れなかった。一発勝負のトーナメントを制するには、さらなる守備力の強化が必要。そのために取り組んだのが、高さだけに頼らない新たなディフェンスの構築だった。

「これまではオフェンス力はあっても、ディフェンスを考えると使いづらい選手の組み合わせもあった」と佐藤監督。個に頼らない組織的なディフェンスがオプションとして加われば、戦術の幅も広がるし選手起用のパターンも増やせる。連戦になるプレーオフに向けて、新しいチームの武器になる。

 今季は序盤からケガ人が続出、メンバーを組むことさえ難しい状況だった。中断期間中はアジア選手権で代表が抜け、新たなチーム戦術のトレーニングは進まなかった。それでも、佐藤監督は「若手中心のチャレンジリーグとか日々のトレーニングでは準備してきたことなので」と早くから構想があったことを明かした。

プレーオフまで2か月、新戦術はマスターできるか

 もっとも、同じアースフレンズと対戦した8日のアウェー戦では「大枠だけを指示して臨んだ」(佐藤監督)ものの連携が合わずに簡単に間を割られてフリーで被弾。42-33で勝ったものの、33点は今季2番目の大量失点だった。中2日で「ユニットでの守り方とかを修正した」と同監督。成果は、この日の試合にあらわれた。

 とはいえ、チームの進化は途上。佐藤監督は新しいディフェンスシステムについて「プレーオフに向けて実装したい」と話した。ここまでリーグ最下位のアースフレンズは元日本代表PV笠原謙哉(37)の197センチを除けば大型選手は少ない。2メートル級の大型選手をそろえた強豪の攻撃を止めるには、さらなる進化が必要になる。

 さらに、この試合では課題も出た。シュートミスと退場。「せっかくいい試合をしていても、シュートを相手GKに当てたり、退場処分を受けていては勝てない」と佐藤監督。退場は相手の0回に対し6回で延べ12分間、ノーマークのシュートを3連続でミスするなど反省点もあった。試合終了時の点差は序盤でつけた6点のまま。「点差を広げられなかったのは、こちらのミス」と振り返った。

 この日、勝ち点を35として暫定ながら同36で首位のブレイヴキングス刈谷に次ぐ2位に浮上した。もっとも、同34で3位の豊田合成ブルーファルコン名古屋は残り試合が2試合多く、実質3位は変わらず。現実的にプレーオフ準々決勝がシードとなる2位以内に入ることは厳しいが、部井久は「直接対決もあるし、あきらめてはいない」とプレーオフまでを見据えて話した。

 プレーオフまで2か月、残り5試合でどこまで新しいチーム戦術をマスターできるか。佐藤監督は「選手の個性を生かしながら、ベストな組み合わせを考えていきたい」と日本一へ意欲をみせた。ディフェンスシステムのオプションを増やしながら狙うリーグ制覇。「もう悔しい思いはしたくない」と、部井久は頂点だけを見て言い切った。(荻島弘一)

(THE ANSWER編集部)