東京建物が進める「省エネ住宅」戦略、不動産業界の懸案解決へ第一歩
今回の実証実験は日本初、世界初ではないかという評価を得られているわけだが、その裏返しとして、ではなぜ、これまで既存住宅のZEHリノベーションは進んで来なかったのか。
東京建物執行役員の遠藤氏は、デベロッパーの立場として、「リノベーションはご入居者が退去した後、半年ほど工事期間が必要になるが、ZEH化となると、さらなる手間が生じて、空室期間が長くなる」と話す。
賃貸住宅を保有する不動産会社は、入居者に部屋を賃貸して初めて、利益が生まれるため、改修期間が延びると機会損失が生まれるということ。今回のケースは大規模マンションだったこと、東京建物が保有している物件だったことで、自由が効き、「この実証実験が当社の将来的な経済的利益にもつながる」(遠藤氏)という判断ができた。
慶應義塾大学の川久保氏は「今回の実証が素晴らしいのは、方位も間取りも、入っている什器も全て同じと、極めて条件がコントロールされており、純粋にリノベーションの効果が見やすかったこと。学術的にも貴重なもの」と強調。
環境対策、脱炭素を巡っては、米トランプ政権の姿勢もあって、世界的に揺り戻しの懸念も言われるが、その必要性は変わっていない。
これまで進んでこなかった既存住宅のZEH化だが、今回の実証実験のように住む人の健康に資するものであることが浸透すれば、それが物件の付加価値となり、経済的利益につながる可能性も出てきた。その意味でも、今回の成果を広く世に訴えかけていけるかが問われる。
