情プラ法施行1年 SNSの誹謗中傷、プライバシー侵害対策はどこまで進んだのか Xはインスタの約3倍
情報流通プラットフォーム対処法が2025年4月に施行されてから1年が経過した。SNSや掲示板サイトで誹謗(ひぼう)中傷などの書き込みが後を絶たないことから、大手事業者に削除判断などを義務付け、被害者救済を強化。総務省はグーグル、LINEヤフー、Meta、TikTok、X(旧Twitter)などの運営会社を大規模プラットフォーム事業者に指定している。
総務省の資料によると、有害情報相談センターにおける相談件数は平成22年度の1337件から令和6年度は6403件まで増加。相談内容の内訳は氏名・住所・電話番号や写真・動画などのプライバシー情報が多く、相談者の名誉や会社の信用を貶めるような情報も60%を超えている。最近目立って増えているのは、ネットいじめ等のトラブルとなる情報だ。
対応手段としては、「インターネット上の情報を削除したい」が半分以上を占めるが、「発信者の特定方法を知りたい」も24.5%、「警察に相談したい」も23.2%に上る。場所はSNSが35.7%とダントツで、ブログ・個人のホームページの17.4%、掲示板サイトの9.5%、動画を配信・掲載するサイトの9.2%を大きく上回っている。
相談属性の推移を見ると、「個人」が平成27年度の65.1%から令和6年度は85.3%に増加。「個人事業主」も4.6%から8.2%に増えている一方、「企業・団体」は8.5%から5.7%に減少している。
対象も「一般人」が63.1%から68.4%、「大学生、大学院生、専門学校生」が1.8%から7.7%、「高校生」が2.7%から5.2%、「中学生」が2.2%から3.5%に増加。逆に「会社・団体・学校・地域その他の組織」は9.6%から6.0%に減少している。プライバシー侵害や誹謗中傷の矛先は、組織から個人へシフトしており、なおかつ若年化していると言えるだろう。
サービスごとの相談件数内訳は、X(旧Twitter)が1634件、23.0%で最多。587件、8.3%のインスタグラムの3倍近い数字だ。そのほか、Google検索は253件で3.6%、グーグルマップは220件で3.1%、LINEヤフーは合計207件で2.9%、爆サイ.comは181件で2.5%、フェイスブックは114件で1.6%となっている。
イメージ画像 「表現の自由」と規制の両立に悩む事業者
時事通信によると、情プラ法施行1年を前に、規制対象のSNS事業者など9社にアンケート調査を実施。グーグル、LINEヤフー、Meta、TikTok、サイバーエージェント(アメーバブログ)の5社は「法を順守している」などと回答があり、ピンタレストは英文で回答できないとの返信、X、湘南西武ホーム(爆サイ.com)、ドワンゴ(ニコニコ)からは返答がなかったという。
その中で、LINEヤフーは削除要請の書面受け付けに加えてオンライン窓口を開設、TikTokは専門員を複数選任、グーグルは「世界で2万人以上が違反コンテンツの削除に取り組む」と各社の対策を報告。AI動画についても、グーグルとTikTokは、投稿者にAIで作成したと明記するよう要請しているという。
いずれにしても、「表現の自由」を保障しつつ、どこまで規制するかは難しい問題。また、誹謗中傷などの削除申請件数を減らすだけでなく、対応スピードも求められる。エンゲージメントを重視する推薦アルゴリズムが結果的にフェイクニュースなどの拡散につながっているとの批判もある。
現状は技術の進歩に法整備や事業者の対応が追い付いていないのが実情だろう。明確な線引きはできずグレーな部分も多いだけに、事業者は手探りで対策している状況のようだ。
