スコットランド戦に2シャドーの一角として先発出場し、数々のチャンスをつくった日本代表MF鈴木唯人(フライブルク)がイングランド戦を前に静かに闘志を燃やしている。「選手としてはいつでも準備しておかないといけない」。訪れるチャンスに備えている。

 途中出場が想定される中で意識するのは、あくまでチームの勝利だ。「まずはチームが勝つためにというのが一番」。そのうえで、試合状況に応じたプレーを選択し、守備から入りながら攻撃を活性化させる。そして最後には「数字を残す」。シンプルだが明確な役割認識がある。

 結果へのこだわりは強いがそこへのアプローチは冷静だ。重視するのは、決定的な場面にどれだけ関われるか。「最近は感覚がいい」と語るように、好機が生まれる場所に顔を出し続けることがゴールやアシストにつながると考えている。

 相手はプレミアリーグのスターを揃える強豪だが、臆する様子はない。「できると思っているので」。その自信の裏には、日頃からプレミアの試合を見て積み上げてきたイメージがある。対峙するディフェンスラインの特徴も頭に入っており、「考えている通りにできるか楽しみ」と前向きだ。

 23年6月10日にはU-22日本代表としてU-22イングランド代表と対戦し2-0で勝利した経験もあり、「その時にいた選手の何人かも今回いる」と言うが、「正直、その時の相手のテンションがどうだったか分からないし、明日はまた違う試合になる」と冷静に切り替えている。

 途中出場で重要なのは、ピッチへの入り方だ。「まずは思い切って入ること。周りの選手は疲れていたりするので、フレッシュな選手が入った時には、チームにもう一個勇気をもたらす。もう一個できるんだぞというのを周りの選手に持たせるのも大事。自分の立場で自分ができることを推判できればいい」と前を見据える。

 イングランド戦は9万枚のチケットが完売しており、大観衆の中でのプレーになるが、「そういう舞台の方が点を取れるイメージもあるし、アウェーの方が点を取っている」と胸を張る。「特別深く考えない。自信を持ってやることが大事」。シンプルな思考こそが、大舞台で力を発揮するために重要だ。鈴木唯人は、その瞬間を静かに待っている。

(取材・文 矢内由美子)