いつ告白したらいいのか分からず… 17年「ほぼ恋愛経験ナシ」の40歳男性が「笑顔がカワイイ」年下妻と結ばれた理由
人生いろいろ、家族もいろいろ、幸福の形もいろいろ。近年、「結婚がゴールではない」という声も大きくなりつつあるとはいえ、ゴールインした二人には幸せになってほしいと思うのが人情というものだろう。
そして、そのゴールに到達するまでには、十人十色のドラマがあるのは言うまでもない。目下、幸せに包まれているカップルにエールを送りつつ、出会いから現在までを根掘り葉掘り聞いてみる「令和の結婚事情レポート」。
今回登場していただくのは、昨年7月12日に入籍、11月29日に挙式した、ピアニストの畑野圭慧(よしえ)さん(38)と演出家でデザイナーの生原(はいばら)雄次さん(40)だ。
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期限付きでマッチングアプリに
圭慧さんは2024年、「アーティストとしての第一目標をやり切った」と実感し、25年を「女性としての人生を変える年」と考え、2カ月の期限付きでマッチングアプリに登録。彼女に「いいね」を押した一人が雄次さんだった。彼のプロフィールを見て仕事への熱意や家族への愛情を感じた圭慧さん。片や彼女のプロフィール写真が革ジャンにマッシュショートの出で立ちだったことから「ロック系ベーシストかと思っていた」と彼は打ち明ける。

かくて2月18日、東京・神宮前のホテルで初対面。
雄次さんは「何かが違う、と思われたらすぐに帰られるのでは」と緊張したが、実際の彼女は「笑顔がかわいらしく安心した」。
圭慧さんも彼に「実直な人」と好印象を抱いた。
仕事の話に終始したため、「次はおそぼを食べてお酒を飲みながら」と彼女が誘い、翌週に再デート。そこでは、互いに日本酒好きで、食の好みも合うと分かった。名酒「麒麟山(きりんざん)」を「きりんやま」と読む彼女の天然さに彼の心はほどけた。
告白の機会が分からず
ただ、雄次さんには懊悩(おうのう)も。「23歳以降、ほぼ恋愛をしてこなかったので、接し方が分からなくて」。交際申し出の機会も分からず、以降のデートでも彼からはその気配ナシ。圭慧さんは「マジメか!」とほほ笑ましく見ていたという。
とはいえ、もともとは婚活。年齢的にも悠長に構えている場合ではない。
機会が訪れたのは4月12日。全国ツアーを終えた圭慧さんを、彼は羽田に迎えに行った。「ツアーで疲れた彼女の癒やしになれば」と、東京湾に浮かぶ海ほたるへ。ただ、暮れ行く空を見るばかりで、共に手にしたコーヒーフロートの容器についた結露が、時間ばかり過ぎたことを告げていた。
帰りの道すがら、痺れを切らした彼女が「私たちってどういう関係なの」と切り出す。思わず狼狽(ろうばい)した雄次さん。彼女を大事に思うからこその“未告白”だったが、そこまで言わせたことに「本当に申し訳ない」と謝り、「大好きだから付き合ってもらえますか」。
お風呂上がりにプロポーズ
交際開始は即ち結婚への道である。同月下旬、山口県へ帰省した彼女は彼を伴い、両親と祖母に紹介。祖母は「いつ結婚するん?」。両親は「まだ付き合ったばかりよ」と慌てたが、彼は結婚の意思を告げ、両親と深く話し合って安心してもらった。その後、同県の名勝・角島へ二人で1泊旅行。ホテルのプライベートビーチは夕日が輝き人影はない。求婚にはうってつけだったけれど、彼は「心から愛しています」という“プレ・プロポーズ”にとどまった。
ツアーなどで全国津々浦々を訪れる彼女に「(求婚の)コーディネートは全部任せる」と言われ、彼女の未訪問地・淡路島で6月7日に、と彼は決めた。事前に花束やスーツ、計画書をホテルに送り、到着早々、部屋付きの豪華露天風呂を尻目に彼女を大浴場に向かわせ、自身は着替えて準備万端、部屋で待っていた。
やっと戻ってきた彼女の前にひざまずき、「結婚してください」。彼女の頬に涙が流れた。「お風呂上がりで写真が撮れなかったよ」と後でお叱りはあったが……。
ほどなく式場探しに着手。出会いのホテルで挙式できると知り、スケジュールを縫って華燭(かしょく)の典を挙げた。
妊活も始めたが「こればかりは授かり物。授かれればいいし、そうでなくても二人で歩めたら」とは圭慧さん。雄次さんは家庭という「安心する場所」を得た喜びをかみ締める。表現し、創作する二人の仕事でも、いつか交わる日が訪れるか。
「週刊新潮」2026年3月19日号 掲載
