4回、空振り三振に倒れる佐藤輝(撮影・伊藤笙子)

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 「WBC・準々決勝、侍ジャパン5−8ベネズエラ代表」(14日、マイアミ)

 日本代表「侍ジャパン」は5−8でベネズエラに敗れた。2連覇の夢は途絶え、大会史上初めてベスト8で敗退した。球場を引き揚げる佐藤輝の表情に曇りはなかった。最後まで全力で戦い抜き、特別な空気を存分に味わった。「勝ちたかったので気持ちは悔しいですけど、楽しめました」。代役とは言わせない輝きを放った。不調の近藤に代わり「2番・右翼」に抜てき。前日にその大役を告げられていた。

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 トップチームに集まる選手は「野球小僧」なんだと感じさせられた。佐藤輝は敗戦後に言った。「悔しいですけど、楽しめました」。負けたのに楽しかったという言葉に、妙に納得させられた。

 普段から口数が多い方ではないが、侍ジャパンでは殻を破ったかのように表情が豊かだった。松井秀喜氏やダルビッシュ、大谷翔平。夢のような人を前に笑みがはじけた。「会えてうれしい」「吸収したい」。いつも以上に素直な言葉で取材に応じてくれた。

 報道陣に自ら肩を組んだかと思えば、呼びかけにいたずらっぽく急接近してくる。気付けば「サトテル・ワールド」に引き込まれていた。

 今大会、大谷の後を打つ選手がポイントだった。準々決勝で井端監督が導き出した答えは「佐藤輝明」。適任だと思った。マイペースでありながら、起用に燃える男。何かやってくれそうな雰囲気は漂っていた。

 優勝はできなかったが、佐藤輝の野球人生が終わったわけではない。野球少年の心を思い出し、一流選手の技術を頭にたたき込んだ。この先、どんな野球人生を見せてくれるのか。侍ジャパンで過ごした時間は最高の財産になったはずだ。(デイリースポーツ・今西大翔)