【新章突入第3回!連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#29 サニーカリフォルニアは紙のように軽かった!
不人気車の交換試乗!
不人気車マニアの遠藤イヅル氏と私とによる、お互いの不人気車の交換試乗。
【画像】まるで紙のように軽かった!遠藤イヅル氏の日産サニーカリフォルニア 全43枚
まずは遠藤氏が我が大貴族号こと先代マセラティ・クアトロポルテに乗り(編集部注:遠藤氏の試乗記はご本人の連載で掲載予定です)、続いて私が遠藤氏のB11型日産サニーカリフォルニアに乗ることになった。

昭和ではなく令和の光景です! 山本佳吾
サニーの運転席に座った瞬間、懐かしさが込み上げてきた。このシンプルなダッシュボードや、直線的な輪郭のインパネ。どことなく、自分が乗っていた初代日産ガゼールに似ている。1980年代の国産車って、だいたいこんな感じだったよな。ああ、ふるさとの香りだ。
オレ「いやー、この内装、いかにも地味でいいですね」
遠藤氏「そうでしょう? この感じがたまらないです」
キュルキュルとエンジンをかけて発進だ。
オレ「オートマは3速ですよね?」
遠藤氏「もちろん3速です」
当時、オーバードライブ付きの4速ATなんて高級車だけだったが、それにしても、3速ATというのは地味だ。これがMTなら、いかに地味なB11型サニーでも、それなりに人気がありそうだが、遠藤氏は徹底的にそういう要素を避けているのかもしれない。涙が出る。
とてつもない重量感の差!
地味なATセレクター(これまた涙)をDに入れ、発進する。
最初に感じたのは、大貴族号とサニーとの、とてつもない重量感の差だった。

最初に感じたのは、大貴族号とサニーとの、とてつもない重量感の差だった。 山本佳吾
大貴族号は重い。2トンという車両重量は、現代ではそれほど重いほうでもなくなったが、4.2リッターV8は低速トルクが薄いので、鉄のカタマリのように重く感じる。
それに比べてサニーはすべてが軽い(サニーカリフォルニアSGL 3ATの車両重量は890kg)。ボディは紙でできてるんじゃないか? というくらい軽い。おかげで走り出しは軽快だ。
しかし、そこから先、時速20km/hくらいから上はだいぶ遅かった。いや、だいぶというより非常に。
オレ「うーん、遅いですね!」
遠藤氏「遅いです(笑)。メチャメチャ遅いです。高速では7〜80キロで流す感じです」
エンジンは1.5リッターのキャブ(グロス表示で85馬力、ネットでは73馬力程度)。1980年代はごく普通の動力性能だったはずだが、今乗ると、かなり最大級に遅い部類に入る。
でも、ウチのダイハツ・タント(ノンターボの介護車両)に比べると、排気量の余裕が違うので、全体にトルクは太い。ミッションは3速ATなので、アクセルを踏み込んでもCVTみたいに回転が高まることもなく、ひたすらほのぼの『ブウ〜〜〜』と走る。
そもそもこのクルマ、ウチのタントよりぜんぜん軽いんだもんな。なにしろボディが紙でできてる(ように感じる)から!
「うげえっ、遅いっ」に激しく感動!
今やクルマは、信頼性が低ければ低いほどロマンであり、遅ければ遅いほど面白い。「うげぇっ! 速いっ!」なんて驚きはもう、どんなクルマに乗っても感じないが、「うげえっ、遅いっ!」には激しく感動する。サニーは、まさしくソレだった。
オレ「いやー、地味な国産旧車、いいなぁ」

大貴族号の車内にて筆者(左)と遠藤イヅル氏(右)。この模様は後日、遠藤氏の連載にて! 清水草一
遠藤氏「いいでしょう?」
オレ「それも1980年代っていうのがいいな。なにしろ自分が免許を取った頃のクルマですから」
遠藤氏「これより前だと完全にクラシックで、値段も高くなりますしね。ただ、このクルマでも、直すのは結構大変でした」
オレ「そうなんですか?」
遠藤氏「80万円で買いましたけど、そこから120万円くらいかかっちゃいました。まあ、自分のこだわりゆえの面もありますけど」
合計200万円か……。
思えば大貴族号の車両価格が200万円。納車前整備費が約100万円。なんだかんだで、似たような水準に落ち着いている。
私は大貴族号を、自動車ラスト・ロマンとして購入したが、遠藤氏のサニーカリフォルニアのほうがはるかに古いこともあり(1985年式)、部品の調達を考えると、さらにロマン満点なようだ。気軽に『地味な国産旧車、いいなぁ』なんて言ったらバチが当たる。ロマンは甘くないぜ!
(つづく/隔週金曜日掲載、次回は3月20日金曜日公開予定です)
