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データセンターって、「電気が安くて冷やしやすい場所」に作られることが多いんです。

たとえば、Googleがフィンランドにデータセンターを持っているのは、冷涼な気候で冷却コストが抑えられる上に、豊富な再生可能エネルギーが使えるから(あと税制優遇措置も効いている)とのこと

でも、これからは「水素が安い場所」が新しい選択肢になるかもしれません。

地下で「勝手に」水素ができる仕組み

アメリカのスタートアップ「Vema Hydrogen」が、カナダ・ケベック州で世界初の「人工鉱物水素」パイロットプロジェクトを開始しました。

何がすごいって、彼らの試算では従来のグリーン水素が1kgあたり5ドルかかるところ、将来的に0.5ドル/kgで製造できる可能性があると言います。1/10ですよ、90%OFFですよ。

「人工鉱物水素」って聞き慣れない言葉ですよね。まず、地球の地下では、鉄を含む鉱物が水と反応する時に水素が発生しています。この反応自体は地球上で何千年も起きている現象。でも、自然に発生するのを待っていたら時間がかかりすぎる。

そこでVemaは、この自然反応を人工的に刺激して加速させようとしています。触媒を混ぜた塩水溶液を浅い地層に注入し、地下の鉄含有鉱物と反応させて水素を生成。そして、発生した水素を井戸から回収します。

まるで石油掘削のようなイメージですが、CO2は出ません。しかも、鉄を含む岩石層があれば、戦略的に選んだ場所で水素を作れるのも大きい。

image: Vema Hydrogen
Vema Hydrogenはカナダでコアサンプル採取のためのパイロット井戸を完成させた

データセンターの立地革命が起きる?

もし、本当に安価な水素が実現したら、何が変わるのか。

水素発電がグッとやりやすくなりますから、電力をまかなえるだけでなく脱炭素も推進できます。それも踏まえて、これまでデータセンターの立地条件に加えて、「地下で水素を作れる鉱物がある場所」も選択肢になり得ます。

Vemaが最初のパイロットプロジェクトを選んだケベック州も、まさにその典型。カナダ東部は地質学的に古い地盤が多く、かんらん石などの鉱物が豊富なんです。

しかも、Vemaのウェブサイトにある地図によれば、日本にも東北と九州あたりに候補地がありますね!

image: Vema Hydrogen

もし国内で安価な水素が作れるなら、エネルギー自給率の低い日本にとっては大きなチャンス。

ちなみに「そんなことして枯渇しないの?」って疑問は、Vemaとしては「たとえ水素が化石資源のすべてを置き換えたとしても、数千年分の水素が存在する」と伝えています。オイルマネーならぬハイドロゲンマネーだって、近未来では見られるかも。

Source: TechCrunch,Vema Hydrogen, GlobeNewswire, ESGToday