いよいよ来週?アルテミスIIが月の裏側を観測
人類未踏の月裏側観測!
50年以上ぶりに、宇宙飛行士が月のそばを飛行することになるNASAのアルテミスIIが、いよいよ来週に迫ってきました。アルテミスIIでは、今後、人類が再び月面を歩くことになるアルテミスIIIでも使われるロケットと宇宙船で初めての有人試験飛行を行ないます。
とはいえ、アルテミスIIは宇宙飛行システムやハードウェアの試験だけではありません。このミッションでは、NASAが行なってきた宇宙空間での科学活動そのものも試されることとなります。約10日間にわたる月周回飛行の間、クルーは研究者として、これまで肉眼では一度も見られたことのない月の裏側を観測するという大仕事もありますからね。
この試験飛行にはとても胸が高鳴っています。アルテミスIIでは、科学チームの一員として積極的に関わってくれているクルーの姿勢も、そしてこのミッションから得られる科学的成果も含めて、特別な存在なんです。
と、アルテミスIIで月科学を担当する副責任者のジェイコブ・リチャードソン氏は、米Gizmodoに語っています。
光に照らされる月の裏側
宇宙飛行士が最後に月へ向かったのは、1968年から1972年にかけて行なわれたNASAのアポロ計画の時代でした。この期間、9回のミッションが実施され、そのうち6回宇宙飛行士が月面に降り立っています。
当時のミッションでは、着陸地点が早朝の太陽光に照らされる時間帯に合わせて打ち上げられました。地表の温度が比較的穏やかで、影が着陸船の誘導に役立つからというのが理由です。
一方で、この方法には欠点も。月面の広い範囲、特に裏側はほとんど暗闇に包まれ、肉眼で観測するには光が不足していました。さらに、軌道高度が地表から約110kmと低かったため、視野にも制限があったのです。
アルテミスIIの宇宙飛行士リード・ワイズマン氏、ビクター・グローバー氏、クリスティーナ・コック氏、そしてカナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセン氏の4名は、今回しっかり地球の裏側を見ることができるように計画されています。宇宙船オリオンは、月から最短で約6,900kmの距離を飛行するのですが、現在予定されている2月1週目の打ち上げが実現すれば、月の裏側のほぼ全域が太陽光に照らされる見込みとなっています。
「4名は、月の裏側ほぼ全体を一度に目にする最初の人類になります」とリチャードソン氏は語っています。全体が観測できるため、数千kmと離れた地形同士を同時に観察し、比較することができるとのこと。これは周回探査機では得られない見え方なんだそうです。
謎に包まれた地形が姿を現す
クルーは、飛行期間中の1日を月面観測にあてる予定。リチャードソン氏と月科学チームは、どのような地形に注目し、写真や動画を撮影し、内容を詳しく記録するかについて、入念な訓練を行なってきました。
実際に裏側のどのあたりの地形が観測できるかは、打ち上げまで正確にはわからないそうです。飛行開始から数日間のうちに、科学チームが優先すべき観測対象の最終リストをまとめる予定なんだそう。
候補の一つとして挙げられているのが、月の表側と裏側にまたがる巨大な衝突盆地、オリエンターレ盆地です。この盆地の裏側部分を人類が直接目にするのは、今回が初めてになります。月面で最も新しく、保存状態のよい多重リング衝突盆地であり、月の衝突史やリング状クレーターの形成を調べる上で貴重な場所とされています。
巨大衝突の痕跡から読み解く
さらに、月面で最も謎に満ちた地形の一つである南極エイトケン盆地も観測できるかもしれないとのこと。この裏側の巨大クレーターは直径が約2,500kmという、月最大のクレーターなんです。非常に古いものだと考えられていますが、正確な年代はわかっていません。これだけ大きなクレーターなので、かなり大きな天体が衝突したんでしょうね。
衝突は、月を大きく揺るがした出来事だったことがわかっています。同様の現象は太陽系全体でも起きてきました。ですから、そこで得られる観測結果は、月の南側に対する理解を大きく深めてくれるはずです。
とリチャードソン氏は語っています。
ただし、クルーの主な目的は、照らされている裏側領域における色や明るさの違いを観測すること、そして光が当たっていない部分で隕石が衝突した際に発生する閃光を探すことなんだそうです。
このミッションによって、月の謎めいた地形が捉えられ、地球にいる科学者たちは月の歴史や、今も続く形成過程について新たな理解を得ることになるでしょう。
アルテミス計画でこの先、2026年を振り返ったときに、2026年時点の私たちの理解がいかに限られていたかに気づけるようになればと思っています。それくらい今回のミッションで多くの発見が生まれ、教科書が書き換えられることを期待しています。
とリチャードソン氏は話しています。

