下水から再エネ、もっと安く作れるます。東レの新技術でコスト7割減
温暖化対策を「もっと安く」実現する技術が、下水処理場で動き始めている…!
東レが開発した「オールカーボン二酸化炭素(CO2)/メタン分離膜」が、大阪府内の下水処理場でバイオガス精製の実証に成功しました。
この分離膜、何がすごいって、CO2と水分を同時に除去できるのです。既存の技術では水分を除去するだけで高額な設備が必要だったのに、そのコストを約70%も削減(※東レ計算値)できたといいます。
「膜で分ける」って、どういうこと?
そもそも「分離膜」って聞き慣れない言葉ですよね。これはすでに、私たちの身の回りに商品としてもあるんです。
わかりやすい例が浄水器。家庭用浄水器には、髪の毛より細い「中空糸フィルター」という特殊な繊維が何千本も入っています。水道水がこの繊維の中を通ると、膜の細かい穴が不純物だけをキャッチして、きれいな水だけが通り抜ける。これが基本的な仕組みです。
今回、東レが開発したのは、水ではなく「ガス」を分離する膜。混ざり合ったガスの中から、CO2だけを選んで通す、あるいはメタンだけを残すという「ガスのフィルター」なんです。
バイオガス発電の厄介なところ
バイオガス発電は、生ゴミや下水から発生するメタンガスを燃料として使う、まさに「捨てるものを燃料に変える」発電方法です。
環境にやさしくてエコなんですが、実はこれまで大きな問題がありました。それが除湿コストが高すぎるということ。
バイオガスには、メタン(燃料になる部分)とCO2(邪魔なやつ)、そして大量の水分が含まれています。この水分が既存の膜分離技術にとって天敵でした。
従来使われていた「高分子膜」や「ゼオライト膜」は、水分に触れると性能が落ちてしまいます。だから、バイオガスを精製する前に、まず吸着剤などを使った除湿装置で水分を取り除く必要がありました。
それに伴って、メタン精製設備の大型化とコスト増大がネックになってしまい、バイオガス発電の導入を躊躇させる「コストの壁」になっていたんです。
「まぁ、環境にいいのはわかるけど、設備がデカいし、お金もかかるし…」という状況だったわけです。
バイオガス発電が「リアルな選択肢」になる
そこに登場したのが、東レのオールカーボンCO2/メタン分離膜です。
この膜の何が革新的かというと、炭素繊維だけで作られているため、水分があっても性能が落ちないこと。CO2と水分を同時に除去できるだけでなく、この膜も中空糸状になっていて、ぎゅっと詰め込めるから設備もコンパクト。
東レ調べではありますが、水分除去コストが約70%削減できるということは、バイオガス発電の経済性が一気に向上するということです。
これまで「導入したいけど高い」と諦めていた自治体や企業にとって、バイオガス発電が現実的な選択肢になるかもしれません。下水処理場って全国にありますよね。その一つひとつが小さな発電所になる可能性だってあるわけです。
しかも、この技術はバイオガスだけでなく、天然ガスの精製や工場排ガスからのCO2回収にも展開が期待できる、とのこと。
生ゴミや下水という「厄介なゴミ」が「エネルギー資源」に変わる。下水処理場で静かに動き始めたこの技術が、やがて日本や世界のバイオガス発電を支えるかもしれませんね。
Source: 東レ

