Q:著書の中でセリフの「音」が大切だと語られていますが、作品は全ての要素のアンサンブルということになりますね。
そうですね、そう感じます。僕は製作現場の方々とめったに会うことはありません。録音には音響ディレクターと、富野監督もいらっしゃるけれども、それだけですからね。絵の方たちとお会いする機会は余りなくて、絵の方たちも忙しいから僕たちと話す時間はないんです。でも、打ち上げなどでお会いすると、「なるほど、こういうことだったのか」という話を聞くことができます。

例えば、第1話とか第2話のオンエアーを作画の人たちが見て、僕が演じるシャアはこういう話し方なのかというのを感じてくれて、このセリフではここにブレス(息継ぎ)を欲しがるだろうなということが暗黙のうちに伝わってきたりするみたいです。だからそういうものがアンサンブルというか、うまく重なり合ったものが良い作品だと思います。

また、僕たちがアフレコをやっているときには、音も何も入っていなわけですよね。効果音も入っていないし、音楽も入っていない。それを想像しながら収録するわけだけれども、こっちとしては自分のセリフを言い終わって、ここで音楽が入ると良いなというつもりで演じたりすることがあります。決めセリフをシャアがいって、その後にポンと音楽がかかると良いなと思って演じて、そのシーンをオンエアーで見ると考えていた通りに音楽がかかっていたら気持ちがいいですよね。

でも、いい意味で裏切られることもあります。ガンダムに関していえば、役者のセリフを聞いてから監督がここから音楽を入れてというように決めていたと思います。僕はここで音楽だと思ったのに、ここでは入らなくて次のセリフで音楽が入る。「そうか、僕が誤解していたな」「なるほど、僕はここで音楽だと思ったけれども、あそこで音楽が入るという考え方もあるな」ということはありますよね。ということは、僕は失敗していたということになるのです。

そういう意味で、劇場版は面白いですよね。その失敗をやり直すことができるわけですから。テレビのときにはここで音楽と思ってたけれども違っていたから、劇場版でもう一度やり直すことができるというのは本当に良かったです。そう思うと、とても素敵な仕事ですよね。

Q:TVで放送された「ガンダムシリーズ」は、1年(4クール)の作品が多いですね。
僕はガンダム以外で、1年続くというシリーズは余り出たことがありません。
最近は実写のTVドラマなどを見ていてもワンクールで終わってしまう番組が多くなりましたね。十数本で終わってしまうというのは、最初から役作りをして、最後はこうなるというのを聞いてないと、たぶん演じる人たちも大変なのではないかと思います。

映画などは1時間や2時間のドラマですけれども、僕としてはのんびりやる方が好きですね。富野監督も、ファーストガンダムを全52話でやるつもりでいたときは、全部のプロットを書けませんよね。ワンクール(3ヶ月)くらいまではできているけれども、その後はどうしようかというのを膨らませていったのだと思うし、そういうことができた時代だと思います。ガンダムシリーズはそれを踏襲しているというか、「機動戦士ガンダムSEED」もそうだし、オリジナルの1年物というのは、話がどんどん展開していくわけですから好きですね。

例えば、ヘビイメタルのロックで同じ音楽をずーっとやっているコンサートを見に行って会場から出てくると、耳がツーンとなってしまう。それが気持ちいいという人もいるかもしれないけれども、でも1曲はバラードみたいなものも入れてよと思う。そういう意味で富田監督というのはうまいですよね。

ロボットアニメというのは戦闘シーンがずっとあったり、やたら音楽だけのアニメも多いですよね。どこかで黙ってよ、音楽を小さくしてよと思ってしまう。それを考えると、「ガンダム」という作品は、緩急が織り込まれていましたね。先ほどいったコンサートという中で、こちらでワーってやっているロックのシーンがあるとすると、バラードのシーンがある。そういう意味で、シャア・アズナブルは、バラードのシーンの持ち場がわりと多かったと思います。

Q:そのシャアの精神は、池田さんの中に生きていますでしょうか。
僕の中には生きていないですね(笑)。
僕はそんなに大した人間ではないですよ(笑)。

Q:最後にファンの方々にメッセージをお願いします。
ファーストガンダムから30年近くたちましたけれども、「シャア・アズナブルという人間をまだ覚えていてくれているんですか? もし覚えていてくれたら、こんな奴もいたんですよ」と、僕なりにシャアを書かせていただきました。けれども、そういうふうに書けたかどうかは、分かりません。いろんな人との別れや出会いというものを含めて、シャア・アズナブルという人間が、本当は温もりもあるんだよというようなことを伝えることができたならば、シャアになり変わって僕は幸せだと思います。シャアは冷たい人物だと思われているかもしれない。それはそれで格好いいです。シャアは、決して温もりを見せない奴だけれども、僕がしっているシャアの温もりを少しでも伝えることができれば、僕は運がいい男だと思います。

■書籍情報
「シャアへの鎮魂歌〜わが青春の赤い彗星〜」
定 価:1,365円(税込)
発売日:2006年12月22日
発 行:ワニブックス

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「機動戦士ガンダム」
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「機動戦士ガンダムSEED」
ワニブックス

編集部:井上浩一
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