「共感の蓄積」「情熱とプライド」 アストン マーティンとルノー 親友デザイナーへ聞く(2)
普通車のデザイン水準は高級車と同等に
マレク・ライヒマン氏(以下:MR):デザインでは、イノベーションも課題の1つ。予算は限られます。カーボンでも樹脂でも、同じ形は作れるかもしれません。定義したい形状で、材質は予算で決まります。ルノー5 E-テックの場合は、生産数が多い。
【画像】親友デザイナーの印象は? ヴァンキッシュに5 E-テック ヴォランテとA290も 全123枚
ローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏(以下:LA):つまり、あちら(アストン マーティン)には難しいことを(ルノーでは)実現できる。最近は、高級車と普通車のデザイン水準は、同等になったといえます。

グレーのアストン マーティン・ヴァンキッシュと、イエローのルノー5 E-テック マックス・エドレストン(Max Edleston)
LA:かつて、安価なハッチバックには各部へ妥協が見えました。しかし5 E-テックは、アストン マーティンの隣に停まっても、魅力を理解できると思います。パワーはなくても、デザインでは、あらゆる側面に愛情が注ぎ込まれています。
すべてからインスピレーションを受ける
AUTOCAR(以下:AC):デザイナーとして、他のクルマから学び取ることは?
LA:アストン マーティンは、デザインのベンチマーク。ブランド体験そのものです。どのようにモデルを位置づけ、広告を展開し、ブランディングを活用するのか、多くのことを学んでいます。

ルノーのデザイナー、ローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏(右)と、アストン マーティンのデザイナー、マレク・ライヒマン氏(左) マックス・エドレストン(Max Edleston)
MR:すべてのことから、インスピレーションは受けます。ファッション、プロダクト、建築、家具など。常に観察し吸収しています。自分ならできる、といい聞かせながら過ごしてもいます。誰かにできないといわれても、他人が実現したら悔しいですよね。
共感の蓄積がある 正しく作る必要がある
AC:ローレンスさんは、高級モデルへ挑戦したいと思ったことは?
LA:もちろん。マレクさんは、わたし達のモチベーションの源になったクルマをデザインされています。でも時を経て、今ではスポーツカーと同じくらい、5 E-テックのデザインも楽しんでいますよ。幸いなことに、アルピーヌなら実現のチャンスもあります。

ルノー5 E-テック(英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
AC:5 E-テックは、特有の存在感を放っています。ヴァンキッシュの隣へ並んでいても、写真を撮る人は少なくありませんね。
MR:ベースとなるファンがいますよね。サンクには、子どもの頃に乗ったりラリーで走っているのを見た、過去の記憶による感情的なものがあります。
LA:このようなモデルには、共感の蓄積があります。作るなら、正しく作る必要がある。新しいメガーヌではルールはないといえますが、5やアストン マーティンなら、人々が正しくないと指摘するでしょう。失敗はできないんです。
まったく異なる課題を解決できる
AC:アストン マーティンは、比較的車種が限られます。マレクさんは、毎回プレッシャーをお感じですか?
MR:もちろん。販売数は多くありませんが、プロダクトの数としては、20年で56台にはなります。開発中の例も含めれば64台。ワンオフや限定生産もあるので。

アストン マーティン・ヴァンキッシュ(英国仕様) マックス・エドレストン(Max Edleston)
AC:より一般的なモデルをデザインしたいというお気持ちは?
MR:自分はデザインというアートが好きなので、5 E-テックのようなアイデアには魅力を感じます。まったく異なる課題を解決できますから。
人生が豊かになった時のためデザインする
AC:マレクさんにお尋ねしたいことは?
LA:マレクさんは、アストン マーティンの激動を目の当たりにしながら、ブランドを体現してきました。困難な時期でも、デザイナーは明るい姿勢を保つ必要があります。そこで、モチベーションの維持はどのように?

ルノーのデザイナー、ローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏(右)と、アストン マーティンのデザイナー、マレク・ライヒマン氏(左) マックス・エドレストン(Max Edleston)
MR:答えなくちゃならない? 情熱とプライドかな。デザイナーとして、ブランドに情熱を注ぎ込まなければなりません。予算が削られて混乱することはありますが、クリエイターは多様な側面で評価できます。仮に今が酷い状況でも、未来を生きれます。
LA:困難が来る度に、自分にとっての危機は既に終わりました、と経営陣へ話します。何年も先を考えて、人生が豊かになった時のため、クルマをデザインしていますから。
MR:逆に質問を。ルカ・デ・メオさんが去った未来は、どうなるのでしょう?
LA:デリケートな質問ですね。わたしにとってルカさんは、自動車業界のユルゲン・クロップさん(サッカー選手)といえました。彼は情熱と成功をもたらし、ルノーの人々の心へ炎を灯しました。彼は去りましたが、成功を再現できると期待しています。
※会話の内容は、一部を抜粋・編集しています。
