大規模な航空事故では搭乗していた乗員・乗客が全員亡くなるような事例がありますが、航空機は年々安全になっています。マサチューセッツ工科大学(MIT)でフライトの安全と運用を専門にしているアーノルド・バーネット教授によると、2018年から2022年に世界で航空事故に遭い死亡する確率は「1370万回の搭乗で1回」だったとのことです。

Airline safety: Still getting better? - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0969699724001066



Study: Flying keeps getting safer | MIT News | Massachusetts Institute of Technology

https://news.mit.edu/2024/study-flying-keeps-getting-safer-0807



かつてIntelの共同創業者であるゴードン・ムーア氏が提唱した「集積回路の密度は18カ月ごとに2倍になる」という主張(ムーアの法則)は、近年でも「ペースは3年に落ちているものの、まだ続いている」と言われています。

ムーアの法則は従来の2年から3年のペースに減速しているがまだ死んでいないとIntelのCEOが語る - GIGAZINE



by Fortune Brainstorm TECH

バーネット教授は「航空機は10年ごとに2倍安全になっている」と、いわば「ムーアの法則・航空版」を提唱しています。

航空機の安全性を示す指標としては「10億旅客マイル(16億km)あたりの死亡者数」「10万飛行時間あたりの死亡事故数」などいろいろな指標がありますが、バーネット教授は「搭乗回数をベースにした死亡数が、もっとも『説明可能』で理解しやすい統計だと考えます」と述べています。

バーネット教授によると、旅客機の搭乗回数をベースにした航空事故死亡数は以下のように推移しているとのこと。なお「搭乗」は実際に飛行機に乗ったかどうかではなく、チケットを発券した時点を指しているようで、空港内での死亡事故の数も含まれるとのことです。

1968年〜1977年:35万回に1回

1978年〜1987年:75万回に1回

1988年〜1997年:130万回に1回

1998年〜2007年:270万回に1回

2007年〜2017年:790万回に1回

2018年〜2022年:1370万回に1回。

この数字から、バーネット教授は、航空旅行は、10年ごとに安全性がおよそ2倍に高まっているといえると述べています。



なお、世界中どこでも安全性が同じというわけではないため、バーネット教授は世界を3つのグループに分けています。

第1グループ:日本、アメリカ、EU諸国、イギリスを含む他のヨーロッパ諸国、モンテネグロ、ノルウェー、スイス、オーストラリア、カナダ、中国、イスラエル

第2グループ:韓国、香港、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インド、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、クウェート、ヨルダン、トルコ、南アフリカ、ボスニア、ブラジル、チリ

第3グループ:その他の国々

第1グループと第2グループの国々では、2018年から2022年に発生した旅客が死亡した事例は153件で、特に大きなものは123人の乗客が亡くなった2022年の中国東方航空5735便墜落事故でした。他の30名の死亡は、6つの航空事故によるものです。

一方、第3グループでは、航空事故の死亡数が第1グループより36.5倍も多かったとのこと。

この結果についてバーネット教授は「第3グループでも猛烈な勢いで改善が進められていますが、まだ遅れを取っている状況です」と説明しています。