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前後に新開発の駆動用モーターを採用

ボルボの電動コンパクトSUV、XC40 リチャージがアップデートを受けた。ただし、スペック表を見比べただけでは、目立った変化は確かめられない。ツインモーターによるシステム総合の最高出力が407psあることには驚くが、実は従来から変わりない。

【画像】前後の駆動用モーターを刷新 ボルボXC40 リチャージ・ツイン 競合サイズのBEVも 全157枚

とはいえ、内部にはしっかり手が加えられている。駆動用モーターが新しくなり、パワートレインの制御も大幅に刷新された。一方でスマートな見た目はそのまま。今回のアップデートが目指したところは、航続距離の伸長にある。


ボルボXC40 リチャージ・ツイン(欧州仕様)

従来のXC40 リチャージ・ツインに搭載されていた2基の駆動用モーターは、どちらも204psを発揮する永久磁石同期モーターだった。走行時は、常に前後の駆動用モーターへ電気が送られ、4本のタイヤが駆動されていた。

それに対し最新版では、リア側の駆動用モーターを257psとパワフルな新開発ユニットへ置換。フロント側は、こちらも新開発で150psの非同期モーターへ置き換えられた。

その結果、アップデート後のXC40 リチャージ・ツインは、一般的な条件ではリア側の駆動用モーターのみが働き走行する。効率を高めるため、フロント側へは必要な場合に限って電力が送られる。

電費は5.6km/kWh 航続距離は537km

このリア側の257psの駆動用モーターは、本来はボルボの新しい大型SUV、EX90のために開発されたユニットらしい。そちらでは、フロントアクスルを担当することになる。また、XC40 リチャージとC40 リチャージのシングルモーター版にも搭載される。

ジーリー・ホールディングスに属する、他ブランドのバッテリーEV(BEV)でも順次置き換わっていくと考えられる。ポールスター2も、同様のアップデートが控えているという。BEVの技術進化は、内燃エンジンのモデルよりペースが早い。


ボルボXC40 リチャージ・ツイン(欧州仕様)

新しい駆動用モーターは、エネルギー効率が大幅に優れることが強み。さらに、社外部品を用いず、ジーリー・ホールディングス内の工場で生産されている。動力性能や航続距離だけでなく、生産効率の面でもメリットは大きい。

1kWh当たりの電力量で走れる距離、電費は従来の4.8km/kWhから5.6km/kWhへ、2割弱向上している。駆動用バッテリーの実容量も、ツインモーターの場合で75kWhから79kWhへ、5%ほど増えている。新しい冷却システムも採用された。

その結果、1度の充電で走れる航続距離は、XC40 リチャージ・ツインで434kmから537kmへ、2割以上長くなった。急速充電能力も、最大で150kWから200kWへ上昇。より短時間で駆動用バッテリーを満たすことが可能になった。

長距離を快適に移動することが得意

リア側の駆動用モーターが主役になったとはいえ、XC40 リチャージ・ツインは明確に動的な特性が変化したわけではない。コンパクト・クロスオーバーとしては驚くほどパワフルで速いものの、ドライバーが運転を楽しむような性格付けは得ていない。

そもそも、興奮を誘うクルマづくりは目指されていない。すべてが滑らかで心地よく、上質に仕立てられている。清潔で高級感の漂うインテリアに包まれながら、長距離を快適に移動することが得意なモデルだ。


ボルボXC40 リチャージ・ツイン(欧州仕様)

今回のモデル中期のアップデートでは、パワートレインの以外の改良は施されなかった。ボディのスタイリングやインテリアは、前回のフェイスリフト後の状態を保っている。

とはいえ、従来からXC40の強みといえた、プレミアム感のあるデザインは古びていない。惜しいと思う必要はないだろう。

同クラスのライバルが増えるなかで、存在感を維持する有益なアップデートを受けたボルボXC40 リチャージ。ツインモーター版は有り余るパワフルさを備えるが、シングルモーター版より航続距離が長く充電スピードは速く、費用対効果は悪くない。

電動のコンパクト・クロスオーバーを検討する人にとって、今でも有力な選択肢の1つだといえる。英国価格は、5万1755ポンド(約833万円)からとなっている。

ボルボXC40 リチャージ・ツイン(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万1755ポンド(約833万円)
全長:4440mm
全幅:1863mm
全高:1652mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:4.8秒
航続距離:537km
電費:5.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2092kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター+非同期モーター
駆動用バッテリー:79kWh
急速充電能力:200kW(DC)
最高出力:407ps(システム総合)
最大トルク:68.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:シングルスピード・リダクション