小変更でマイルドHVに メルセデス・ベンツAクラス A 180へ試乗 ヘイ・メルセデスも向上
控えめなフェイスリフトで人気を維持
欧州市場では、SUVやクロスオーバーがファミリーカーの代表格となった。それでも英国の販売数を確認してみると、最近までトップ10入りしていた従来的なハッチバックが存在する。
【画像】小変更でマイルドHVに メルセデス・ベンツA 180 欧州の競合モデルと写真で比較 全118枚
その1台が、メルセデス・ベンツAクラス。知的な見た目と高級感のある内装、先進的な技術が小さなボディに融合している。そして、スリーポインテッド・スターがフロントマスクで輝いている。残価設定型の月払い金額も、値ごろ感がある。

メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)
これらが功を奏し、2021年の英国では4番目に売れた車種となっていた。フォルクスワーゲン・ゴルフや日産キャシュカイといった強豪を抑えて。
それでも、2022年にはトップ10の圏外に落ちている。バッテリーEVに対する注目度は上昇中。2023年を有利に運ぶため、フェイスリフトの時間がやってきた。
ただし2030年の欧州では、内燃エンジンを搭載したモデルの販売終了が見込まれている。メルセデス・ベンツといえども、大きな予算をAクラスへ割けなかったのだろう。その内容は、お化粧直しといったレベルに留まった。電動化技術の拡大も含まれるが。
Aクラスのスタイリングはダイナミックで評価が高く、デザイナーが大幅に手を加える必要はなかった。フロントグリルとバンパー、ライト類が新しくなっているが、全体のイメージに大きな変化はない。
恐らく最もわかりやすい違いは、ボンネットに2本のリブが加えられたことだろう。いずれも、ハッチバックとサルーンの両方に施されている。
高級感が漂うインテリアは従来どおり
エンジンでは、A 180とA 200の1.3L 4気筒ガソリンターボが、電圧48Vのマイルド・ハイブリッドになったことがトピック。13psを発揮するベルト駆動のスターター・ジェネレーター(ISG)が組み合わさり、主に低回転域でエンジンをアシストする。
パワフルなプラグイン・ハイブリッドを搭載した、A 250eも登場している。ディーゼルのA 200dとメルセデスAMG仕様には、パワートレイン上の変更はない。

メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)
インテリアには、依然として高級感が漂う。90%がリサイクル素材だという、セージ・グレーの合皮が試乗車には用いられ、従来より印象を高めたと感じた。
インフォテインメント用とメーターパネル用、2面の高精細なモニターが一体になったパネルがダッシュボード上に載る。新しいCクラスと同様に、音声操作システムなどもアップデートされた。実際に試したが、かなり効果的に理解できていた。
ナッパレザーが巻かれたCクラス譲りのステアリングホイールには、タッチセンサー式のインターフェイスが備わるが、操作性はいまひとつ。運転中は、ハイ・メルセデスと話しかけた方がストレスは少ないかもしれない。
従来まではセンターコンソールにタッチパッドが装備されていたが、フェイスリフトで省かれている。その跡地には、USB-Cポート付きの小物入れが設けられ、便利に感じるユーザーもいるだろう。
洗練度が高いマイルドHV 硬めの乗り心地
今回試乗したのは、システム総合で136psを発揮するA 180。走りの印象には、マイルド・ハイブリッドの仕事ぶりを除いて、目立った変化はないようだ。
ISGのトルクにより、エンジンが低回転で働く場面では力強さが増している。とはいえアシスト時間が短く、明確にダッシュ力が高まった印象までは得られない。

メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)
パワートレインの洗練度は高く、高回転域まで引っ張ると張り詰めたノイズが響いてくるものの、不快なほどではない。7速デュアルクラッチATの仕事も滑らかで好印象。まれに発進時にギクシャクすることもあるが、キビキビとギアを選んでくれる。
シャシーには手が加えられなかった。マナーが全般的に優れていることも変わりない。
着座位置は低く、ステアリングレシオは適度にクイック。操舵時には適度な重みが伴い、ボディロールは小さく、回頭性は軽快。連続するカーブを、正確にライン取りしていける。コーナリングの魅力ではBMW 1シリーズの方が上でも、頂点を鋭く狙える。
乗り心地は比較的硬めで、グリップ力に不足はなく、挙動は予想しやすい。カーブの途中に不意の隆起部分が存在しても、ボディが動揺することは殆どない。
ただし、高速域では滑らかに起伏をいなすサスペンションだが、市街地の速度域では揺れが目立つことも変わらない。舗装の剥がれた穴などは、得意とはいえないようだ。
試乗車には、18インチ・ホイールに225/45という肉薄のタイヤが巻かれていた。これも乗り心地にはプラスに働いていないだろう。ロードノイズも大きく感じられた。
プレミアム・ハッチバックとして高い競争力
ボディの骨格はそのままだから、実用性も従来どおり。リアシート側にも大人が快適に過ごせる空間がある。サイドウインドウが小さめで、フロントシートの背もたれが高く、閉塞感も若干あるが。
荷室容量は355Lで、このクラスの平均。荷室のフロア下には、マイルド・ハイブリッド用のバッテリーとオーディオのサブウーハーが搭載され、追加の収納空間はない。

メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)
フェイスリフトの範囲は限定的ながら、プレミアムなファミリー・ハッチバックとして、Aクラスは高い競争力を保っていると思う。上品なルックスと上質なインテリア、洗練されたドライビング体験など、強みは少なくない。
しかし、BEVやSUVが入り乱れる英国の販売数トップ10圏内に返り咲くことは難しいかもしれない。英国価格は、3万1880ポンド(約513万円)から。BMW 1シリーズより1000ポンド(約16万円)ほど高めの設定も、有利には運ばないだろう。
メルセデス・ベンツA 180 AMGライン・プレミアム(英国仕様)のスペック
英国価格:3万5580ポンド(約572万円)
全長:4419mm
全幅:1796mm
全高:1440mm
最高速度:215km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:15.9-17.0km/L
CO2排出量:135g/km
車両重量:1440kg
パワートレイン:直列4気筒1332ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1600-3000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
