写真コンテストで哺乳類部門の金賞に選ばれた作品(画像は『World Nature Photography Awards 「Our 2021 winners」((C)Amos Nachoum)』のスクリーンショット)

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2月16日、野生動物など自然界を捉えた写真コンテスト「World Nature Photography Awards」の入賞作品が発表された。最優秀賞にはヒョウアザラシが大きな口を開け、エサであるペンギンに襲いかかる衝撃の瞬間を見事に切り取った写真が選ばれた。自然の壮大さや恐怖を感じ取れるこの写真には、多くの関心が集まっていると『The Sun』などが伝えた。

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今回発表されたコンテストの入賞作品は、2021年に募集した作品の中から選び抜かれた。「行動−哺乳類」部門の最優秀賞である金賞に輝いたのは、アメリカ出身の野生動物写真家アモス・ナチョームさん(Amos Nachoum)が撮影した作品だ。写真にはヒョウアザラシが恐ろしい形相で大きな口を開けて写っており、すぐ目の前にはジェンツーペンギンがエサになることを悟ったようにうなだれている。

ヒョウアザラシは名前に“ヒョウ(豹)”とつくことから想像できるように獰猛な捕食動物であり、アザラシの中で唯一恒温動物をエサとして狩る恐ろしいハンターである。口を閉じていれば他のアザラシと似ているようにも感じるが、アモスさんの作品のように口を大きく開いて獲物に襲いかかる姿はヒョウと遜色はない。過去にもペンギンの首を引きちぎって襲うヒョウアザラシの恐ろしい姿が撮影され、話題を呼んでいた。

南極半島沖の離島プレノー島を訪れたアモスさんは浅瀬に待機し、ヒョウアザラシがエサを探すタイミングを何時間も待ち続けていたという。若いジェンツーペンギンは干潮になり浅瀬となったタイミングで水に入るといい、ヒョウアザラシはこのタイミングを見計らって現れた。

狙いを定めたヒョウアザラシは光のような速さで1羽のペンギンを前足のヒレで掴むと、広い場所まで連れ去った。一連の行動を観察していたアモスさんは「驚いたことに、ヒョウアザラシは2度もペンギンを手放しており、そのたびにまるでゲームを楽しんでいるかのように逃げるペンギンを追いかけていました。怯えていたペンギンは必死に逃げようとしていましたが、終わりを迎えたのです」と当時を振り返った。

このシーンを捉える直前にこのようなヒョウアザラシの行動があったことを知ると、写っているペンギンの絶望の表情がより深みを増す。この写真を見た人々からは「このペンギンは自分の運命を諦めているようだ」「もとから死んでいたペンギンをそこに投げ込んだかのような写真だ。こんなに近くで撮影できたなんてすごい」「アザラシじゃなくて恐竜に見えるよ」など驚愕のコメントが相次いだ。

今回金賞に輝いた写真はアモスさんが2009年に撮影したものだが、あまりに見事な瞬間を捉えた作品だったため撮影から4年後の2013年にもアメリカでの写真コンテスト「American Photographic Artists」で受賞作品として選ばれた。そして13年が経過した今回も、多くの審査員の心を掴んだようである。

なお今回の写真コンテストは、アモスさんが受賞した「行動−哺乳類」部門の他にも様々な部門が用意されている。「行動−両生類・爬虫類」部門ではシェイン・ケイさん(Shayne Kaye)が撮影した花の上で休むアマガエルの姿を捉えた作品が、「行動−無脊椎動物」部門ではチン・リオン・テオさん(Chin Leong Teo)が撮影したアリが自分たちの体を繋いで作った美しい“アリの橋”を捉えた作品がそれぞれ金賞に選ばれた。

画像は『World Nature Photography Awards 「Our 2021 winners」((C)Amos Nachoum)((C)Shayne Kaye)((C)Chin Leong Teo)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)