【日本M&Aセンター会長に聞く】3社に2社が後継者難、事業承継に向け、どう手立てを打っていくか?
「プロ向け市場」を重視する理由
── 今年10月は持ち株会社化、自主規制団体の設立と、大きな転機になりますね。
分林 そうですね。我々のグループ企業がさらに飛躍する機会になると思っています。
先ほど申し上げたように、グループ会社のバトンズは、年商1億円以下の企業を対象にしたネットマッチングの会社で、5年間で累計成約数が1000件を突破しました。
日本投資ファンドは日本政策投資銀行と50:50の合弁で設立した会社ですが、すでに中小企業4社ほどに投資しており、今後は上場などを目指して企業価値の向上を図っていきます。
また、青山財産ネットワークスとの合弁で設立した「事業承継ナビゲーター」では、事業承継、財産活用に関する総合的コンサルティングを行っています。
他にも、これは会社にはしていませんが、東京証券取引所のプロ投資家向け市場「TOKYO PRO Market」への上場のための支援(審査および上場後のモニタリングや助言・指導)を手掛けています。
TOKYO PRO Marketは09年にできた市場で、1年半ほど前までは40社余りしか上場していませんでした。なぜなら、売り出しがないので大手証券会社が手を出していなかったからです。
実は、その資格を持っている会社を1年ほど前に当社がM&Aをして事業を始め、すでに70社以上とアドバイザー契約をしており、今年度末には100社を超える見通しです。将来的には当社が契約している企業から300社は、このマーケットに上場させていきたいと思ってい
ます。
── プロ投資家向け市場は今後も有望だということですね。
分林 ええ。このマーケットのモデルとなったのは、「世界で最も成功した新興市場」と言われるロンドン証券取引所のAIM(Alternative Investment Market)です。すでに800社以上が上場していて、さらに伸びています。東証さんは、この市場を参考にしているんです。
当社では、ロンドン証券取引所出身で、TOKYO PRO Marketの前身となった「TOKYO AIM」の事業開発ディレクターを務めたアン
ナ・ディングリー氏が社外取締役に就任しています。
我々が手掛けたTOKYO PRO Market上場企業の中に、次は東証マザーズへの上場を目指してM&Aを進めている保育園、介護を手掛ける企業がありますが、すでに事業モデルが出来上がっています。当初は年商15億円ほどでしたが、すでに80億円を超えています。
── プロ向け市場も含め、改めて上場することの意義をどう考えますか。
分林 私は今年11月、当社主催の「M&Aカンファレンス」で「起業のススメ」というテーマで講演をするのですが、このカンファレンスにはニトリホールディングス会長の似鳥昭雄さんにもご講演いただきます。
ニトリさんは上場して以降に業績を伸ばした会社です。上場を目的にしていたら、今の成長はなかっただろうと思うんです。
当社も、上場前の経常利益が1億円ほどでしたが、「5年後に上場しよう」と決めて計画をつくりました。そうしたら、翌年には経常利益が2億円、次の年は4億円、さらにその次には7億円と伸びていきました。
5年後に上場と考えていたものが3年で東証マザーズに上場ができ、その後、経常利益が10億円になりました。さらに上場後1年2カ月で東証1部に上場することができたのです。当時史上4番目の速さでした。
私が申し上げたいのは、目標を持てば、絶対に前に進むことができるということです。お陰様で、創業30年が経ち、前期で経常利益が165億円、時価総額は1.2兆円を超えています(9月16日現在)。
