次戦出場停止の酒井宏樹の代役は? 市川大祐が見たフランス戦。「個」の局面で大きな進歩を実感した【東京五輪】
試合のなかでは、これまで以上にコンパクトさが保たれ、どうすればやれないか、どうすればチャンスを作れるか意志統一され、バランスの取れた戦いが出来ている印象を受けました。
無失点で終えられた守備のところでも、それほど大きなピンチもなく、ヒヤリとしたのは65分のFKの場面くらい。それ以外のところで危ないシーンはほとんど見られませんでした。
さらに守備陣の経験と言いますか、落ち着きのある対応にも感心させられました。やはり吉田麻也選手の存在が非常に大きいのではないでしょうか。
むやみに飛び込むということも無かったですよね。酒井宏樹選手が、相手選手に長い距離をドリブルで運ばれた時も、吉田選手が対応。相手のスピードを吸収するような形で、無暗にボールに対して寄せに行きませんでした。それは、中央へパスを出されても大きなピンチになるような状況ではない、時間をかけてしっかり守ろうということを判断した上での的確な対応でした。
その場面では、酒井選手も全力で追いかけいて、中盤の選手たちも全力で戻り、ディフェンスがピンチに晒されるようなシーンを作らせない。そういう状況がしっかり見えているからこそ、プレーの判断ミスがほとんどなかった。吉田選手をはじめとした守備陣の経験値を感じました。
冨安選手も、上田綺世選手のバックパスがずれた場面で、少し焦って強く行きすぎてしまい入れ替わってしまったり、ファウルを与えてしまったりということが一般的には多いなか、素早くステップを踏んで、その状況を上手く回避していました。経験値や落ち着きとともに、フィジカル的にも、スピードでも負けていなかった。
前述のシーン以外にそこまで2センターバックが相手とバチバチ対峙するようなシーンが多くなかった。それは、後ろからの指示や、そういうシーンを作らせないようなポジショニング、コーチングで前の選手たちを動かすことが出来ているからです。さらに、前の選手たちの個人での判断、経験というところが本当にうまく噛み合って、試合をやるごとにチームの完成度が高くなっていく印象を受けます。
同時に、前線からの守備と、中盤のボランチ2枚が非常に効いていました。遠藤航選手、田中碧選手の守備というのが非常に良くて、真ん中のラインがしっかりとしていたのはもちろんですが、この試合では田中選手の縦パスも際立っていました。
先制弾につながる縦パスを出したところでも、ひざ下だけで素早くボールを入れて、相手の守備が非常に反応しづらい、モーションの小さいパスを出していました。
相手も試合の入りはコンパクトにしていましたが、それほどボールホルダーに対してプレッシャーがかかっていないなかで、久保選手の背後への飛び出しや、機を見た酒井選手のサイドから背後を狙う動きもあり、足下と背後の使い分けが非常に上手かった。
中盤に技術の高い選手が多く、得てして足下で受けたがるなか、堂安律選手も度々狙っていたように、第一に背後を狙うというような共通理解が感じられました。さらに、背後へ出ていく時の思いっきりの良さもあり、このタイミングで出してくれというメッセージを持たせた強い動きが出来ているのも好感が持てます。
メキシコ戦でも出来ていたことですが、背後を狙うことで相手のディフェンスラインが下がれば、中盤のスペースも出来てくる。そのスペースで受けて、ターンをして前向きを作ることで、自分たちの得意なプレーも生かせるようになる。
