実際にフランスの最終ラインも背後への動きに反応していましたが、中盤のラインが一緒に下げられなかったため、中盤とディフェンスの間にスペースが出来ていました。背後を狙って起点を作れたときには、そのスペースでパスを受けられたり、1点目も上田選手のシュートに対して、最終的には走り込んだ久保選手がシュートを打っていますが、相手の中盤が全く戻れていなくてディフェンスラインだけの対応になっている状況もありました。

 どこで攻撃の起点を作るのかチームとしても非常に整理されていますし、個人としても、この状況なら背後を奪った方が良い、この場面ではしっかりと繋いで作り直そうと、良い状況判断が出来ていました。

 こうやって相手のディフェンスラインの背後を狙うことで、相手のラインが下がり、なかなか攻撃に出れない、下がらなければスペースを使われる。下がればまた低い位置から前に出て行かないといけないという、日本の守備にも大きな効果をもたらします。フランス戦ではそれが良い循環で出来ていたことが、クリーンシートに繋がりました。
 
 フランス戦での完勝のキーとなっていた吉田選手と酒井選手について今後はどう見るべきか。

 精神的な支柱でフル出場を続けている吉田選手は、初戦の南アフリカ戦では疲労困憊の様子も見えましたが、メキシコ戦、今回のフランス戦では前半のうちに複数得点を奪えて優位に進められたためか、そこまでフィジカル的な負荷がかかるような試合ではなかったように感じます。勝たなければいけない試合で、もちろん精神的なプレッシャーはあるのですが、フィジカル的なところは上手くコントロール出来た。コンディションも徐々に上がってきているように感じます。

 一方で次戦出場停止となる酒井選手については、途中から橋岡大樹選手が出場して、非常に良い形で試合に入れました。出場後すぐに素晴らしいクロスも上げましたし、ファウルを取られてしまいましたが、サイドでの対応もしっかり相手のドリブルに対して対処出来ていた。フィジカルもあって、スピードもあるので、今日の試合を見ていても非常に頼もしく思えましたね。

 ひとつ次のニュージーランド戦に向けて、良いイメージが出来ました。もちろん右サイドバックには橋岡選手もいますが、冨安選手もできますし、なんだったら旗手選手を起用することもできる。相手によって選手を選択できる強みもありますね。

 右のサイドバックでは横にいるのが吉田選手。サポートもしてもらえるし、声もかけてもらえるし、そういうところでは誰が入ったとしても非常にやりやすいとは思います。
 
 前回のメキシコ戦で指摘していた交代選手にも結果が出て好循環で次戦を迎えられるのもメリットです。

 ずっと出ている久保選手を休ませて、交代で出た三好康児選手が結果を出した。相馬勇紀選手のクロスで前田大然選手もダメ押し点を入れました。その前に三好選手の相馬選手への素晴らしいパスもありましたし、出た選手たちが監督の期待するようなプレーをピッチで表現できたことは、戦略的にも、選手選考というところでも、いろいろな選択肢が広がった試合だったと思います。

 チームのベースが固まり、選手たちの特長が生かせるようになった。プラスその選手たちの状態も上がってきている。誰をどこで使えばどういうゲーム展開にできるかというイメージがしやすくなった。今回は交代で出た選手たちが自分でそのチャンスを掴んだのは頼もしいかぎりです。

 また、上田選手が前線に入って、起点となるプレーや、背後への飛び出し、フィニッシュのダイナミックさ、シュートをあれだけ強く振り抜けるというところは大きな武器になりました。ゴールに向かう姿勢も良かった。そこから2点生まれているので、得点こそなかったですが、フィジカルコンディションが上がってきていると感じますし、精神的にも楽になった部分があるのではないでしょうか。