「なぜ人はおっぱいを愛してしまうのか」を科学的に解説したムービーが公開されたり、「乳首のサイズ」を進化生物学的な観点から分析した研究が発表されたりと、乳首は科学界においても関心が高い重要なテーマです。そんな乳首に注目した真面目な研究により、「乳首が勃起した女性は男性からの助力を得やすい」ということが判明しました。

The point of nipple erection 2: The effect of nipple erection on intended and expected altruism. - PsycNET

https://psycnet.apa.org/record/2021-20307-001

College men are more willing to help women with erect nipples, according to new research

https://www.psypost.org/2021/03/college-men-are-more-willing-to-help-women-with-erect-nipples-according-to-new-research-59941

ニューヨーク州立大学オスウィーゴ校で進化心理学を研究しているレベッカ・バーチ教授らは2020年に、「乳首勃起のポイント1:乳首が勃起している女性と勃起していない女性を見た際に知覚される感情状態の経験とその発露について」という論文を発表。その中で「女性の乳首の勃起は、男性の性的興奮を引き起こす」と論じました。



こうしてバーチ教授は、「男性は『乳首が勃起している女性を性的に興奮している』と認識する」という前提のもと、この認識が男性の行動にどのような影響を及ぼすのかについて調べるため、異性愛者の男女421人に、さまざまな女性の画像を見せる実験を行いました。この実験に用いられたのは、乳首が勃起している女性と、勃起していない女性の2種類の写真です。なお、女性の表情が実験結果に影響を与えることを防ぐため、女性の顔は隠されていたとのこと。

そして、参加者に対して「女性への印象」や、女性に100ドル(約1万1000円)を貸すといった「利他的行動を行う可能性」を尋ねる質問を行いました。その結果、「男性参加者は乳首が勃起していない女性より、乳首が勃起している女性の方を助ける可能性が高い」ことが判明したとのこと。この傾向は、女性に勉強を教えたり、女性の車が故障しているのを直したりといった、女性との相互作用を伴う場面では特に顕著でした。実験ではさらに、「男性は『乳首が勃起している女性は利他的に行動する』と考える」ことも分かりました。



この実験結果をまとめた論文「乳首勃起のポイント2:意図された利他性および期待された利他性に対して乳首の勃起が与える影響」の共著者であるデビッド・ウィドマン氏は、「男性が、乳首が勃起している女性の利他的行動を期待するということは、男性は乳首が勃起している女性を魅力的だと認識するという以前の研究結果を支持しています。利他的行動は社会的に望ましいものだとされていることを踏まえると、この結果はハロー効果として表れる可能性があります」と述べました。

ハロー効果とは、ある物事への評価が、その物事の特徴に引きずられてしまう現象のことで、外見がいい人が信頼されやすいのもハロー効果の一種だと考えられています。

なお、実験には男性のほか女性も参加しましたが、女性の参加者には「乳首が勃起している女性を助ける意欲が高くなる」という傾向はみられなかったとのことです。

バーチ教授らは論文の中で、「実験に使用された写真は、すべて魅力的な肉体を持つ若い女性のものだったので、『乳首勃起効果』の限界はまだ分かっていません。今回の実験で明らかになった『乳首勃起効果』は、年配の女性や体格のいい女性、魅力的ではない女性ではどうなるのでしょうか?また、女性が嫌悪感や怒りの表情を浮かべていた場合などではどうなるのでしょうか?」と問題提起して、乳首の勃起についてのさらなる研究に意欲をのぞかせました。