吉本興業の岡本昭彦会長

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 昨年、芸能界を騒がせた宮迫博之らによる闇営業問題。騒動を受け、12月20日に吉本興業の社内改革を目的とした第三者による経営アドバイザリー委員会が中間のとりまとめ結果を報告した。

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 そこで発表されたのは、芸人本人に直営業(事務所を通さない営業のこと)の依頼があった場合は、まず吉本に事前連絡。吉本が相手先の属性を調査して問題がないことを確認した上で仕事を受け、報酬は吉本を通して支払われる形にするというものだった。

 しかし「5万円以下の仕事に関しては、吉本を通さずにギャラを受け取っていい」と、時を同じくして所属芸人に説明があったという。

学園祭や営業が“7割減”、信用失墜で……

「12月上旬に契約に関する説明会があり、その際に担当者から口頭で説明があったそうです。ダブルブッキングにならないためのスケジュール確認や反社チェックもしないといけないため、直営業をする際は事務所へ1度報告をしなくてはいけないそうです。

 反社チェックで問題ないと判断された取引先の5万円以下の仕事に関しては、芸人と直接やりとりしてOKと吉本の担当者にも言われました。事務所に手数料を取られないのは、うちのような小さな会社にはありがたいですね」(イベント会社スタッフ)

 12月に所属芸人に渡された『所属覚書』という契約書には、≪よしもとを通じずに芸能活動の依頼を受けた場合、直ちによしもとへ報告する。(中略)よしもとの属性(反社)チェックの結果、依頼を認めた場合は、仮に依頼主が反社会勢力との関係が判明した場合であっても、その責任はよしもとが負うものとする≫と明記されているという。

 反社チェックの手間をかけながら、5万円以下であれば事務所は手数料を取らない……というのは、お金に対してシビアな社風がネタにされる吉本興業では考えられないようなことだが、前出のイベント会社スタッフはその理由をこう語る。

「闇営業騒動で吉本の信頼が落ち、学園祭や営業の仕事が半分近く減ったんですよ。特に地方だとメンツを気にする企業や団体も多いので、騒動直後は多いところだと7割ぐらいキャンセルになったと聞きました。吉本としても、安い単価の仕事であれば芸人本人にギャラを全部渡す代わりに売り込み活動もしてもらったほうがいいという考えみたいです。そこでパイプができれば、今後の仕事にも繋がりますからね」

反社との接触と税務申告

 芸人たちの不満を解消するための苦肉の策では? という声もあるようだ。

「今年から吉本芸人のタクシー代が全面カットになったんです。仕事で深夜に移動する場合や、最寄りの駅からタクシーでしか移動できない場所へ行く場合も例外は認められないとか。

 若手芸人はショッピングモールなどの営業が収入の柱だったりすることも多い。それなのに駅から遠く、バスも走っていない会場だと、ギャラの半分ぐらいがタクシー代で消える……というケースも出てくるので、ブーイングが起こっているんです。だから5万円以下の直営業を認めることで、“これでギャラを補てんしてね”という意味合いもあるのでは?」(放送作家)

 5万円以下の直営業をOKしたことについて吉本興業に問い合わせると、

「昨年末よりタレントに対する契約説明会を進めております。会社を通さない直営業については、金額に関わらず、(1)反社会的勢力との接触可能性がある、(2)受領する報酬について適正に税務申告をしなければならない、という2点について懸念がありました。

 そこで、この点をクリアするため、直営業についてはすべて会社に報告してもらい、会社の方で属性調査をしたうえで問題のない案件のみ稼働を認める、報酬についても会社を通して振り込む、として、上記懸念を最大限解消するためのルール化をしました。以上の内容を資料をもとにしてタレントへ説明しております」

 闇営業騒動の余波はまだまだ続きそうだ。