中島は攻撃でも中央に入りすぎていた印象だ。(C) REUTERS/AFLO

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 コパ・アメリカのグループステージ初戦、五輪チームを模した森保ジャパンは、チリに0−4で敗れた。
 
 この大会はグループ3位でも決勝ラウンド進出の可能性が残される。まだ絶望するには早いが、とはいえ後半にパニックに陥って大量失点を喫し、得失点差でも厳しい立場に追い込まれたことは確かだ。
 
 立ち上がりこそ、順調だった。システムを4−4−2とした日本は、コパ・アメリカの強度や雰囲気に飲み込まれないよう、最大限の警戒をした様子。日本のマイボールでキックオフしたにもかかわらず、4バックは外に広がらず、中へ絞り、注意深く構えていた。球際にも激しくプレッシャーをかけ、そこから中島翔哉久保建英といった前線のテクニシャンが個の力を見せ、序盤は互角だった。
 
 しかし、本来はコンパクト性に長ける4−4−2だが、徐々に2列目が前方に攻め残り、4−2−4で間延びした状態になってしまう。MF4人はつながって動くイメージが無く、個々の対応になり、特に中島の裏、空いた左サイドでスペースを突かれた。そこにダブルボランチが引っ張り出されることで、中央も芋づる式にスペースが空く。チリのポゼッションが冴え渡る展開になった。

 中島、久保、上田綺世、前田大然と、試したいアタッカー4人を同時起用できた反面、4−4−2は、コンパクト性という本来の特徴を失い、守備が機能せず。つい先日、A代表が3バックで右往左往したばかりだが、今度は3バックを主とする五輪チームが4バックで右往左往した。付け焼き刃だらけの6月。戦術的にも梅雨入りだ。
 
 不思議に思えたのは、中島だった。3月に行なわれたコロンビアとの親善試合では、左サイドハーフとして良い守備をした。アジアカップ決勝で苦い経験をした森保ジャパンは、今一度、MF4人がポジションに着き、コンパクトにつながって動く守備を実践した。中島も、所属するアル・ドゥハイルでは、ジョゼ・モウリーニョのかつての右腕と知られるルイ・ファリアから、守備を口酸っぱく教えられていると、守備面の手応えを語っていた。
 しかし、チリ戦ではその様子がない。ボールの奪われ方が悪く、攻め残りしてプレスバックが間に合わない場面はともかく、逆サイドでボールを回されたケースでも、ボランチ脇のスペースを埋める意識がない。自分の裏を突かれ、ボランチが引き出された場面でも、そのスペースをカバーする動きはなかった。この若いチームで、自分が攻撃のエンジンにならなければいけないと思っていたのかもしれないが。
 
 また、攻撃に出る場面でも、中島は中央にポジションを取る傾向が強かった。反対の右サイドからは前田がカットインしてくるため、中央の低めは中島、中央の高めは前田がスペースに立ち、さらに1トップの上田が最前線と、中央は大渋滞に。久保はサイドへ流れるしかなかった。

 イマジネーション豊かな久保が、サイドで選択肢を狭められ、逆にドリブラーの中島が、中央でボールを持ちすぎてカウンターを食らうなど、2列目の3人は不協和音を奏でた。4−2−4に間延びして守備が悲鳴を上げつつ、前線4人も本来の個性をロスするようでは、やはり苦しい。後半、中島と前田が、安部裕葵と三好康児に代わった後のほうが、久保は中央でプレーしやすくなり、両サイドを含めて全体のバランスは良かった。
 
 このコパ・アメリカは、オーバーエイジ候補とU−22世代が融合を果たす上で、大きな意味を持っている。柴崎岳は非常に良い印象を残したが、中島については、まだ手探り。3バックか、4バックかを含めて、どこにバランスを見出すのか。梅雨の6月。試行錯誤は続きそうだ。
 
取材・文●清水英斗(サッカーライター)