ドイツ杯3回戦ドルトムント対ヘルタ・ベルリンの一戦は120分を終えて1-1。ドルトムントがPK戦の末に勝利を収めた。

 いかに激しい戦いだったかは、PK戦でヘルタの1、2番手が連続して外したことでも分かる。ドルトムントホームにもかかわらず拮抗した試合だっただけに、ヘルタにとっては悔しい敗戦。試合後の原口元気は落胆を隠さなかった。


ドルトムント戦に先発、延長前半6分までプレーした原口元気「もっとうまくやれば、90分、120分で勝ったんじゃないかなというのがある。PKはもうどっちに転がってもしょうがないので、カウンターの時に、もっとうまくできなかったかなというのはありますね。それがはまれば、2点目を取れたんじゃないかと思います」

 その瞳は少々潤んでいるようにも見えたし、肩はがっくりと落ちていた。

 ドルトムントとヘルタは昨年もドイツ杯準決勝で対戦していた。この時はヘルタのホームだったが、3-0でドルトムントが圧勝した。ちなみに今季のリーグ前半戦の対戦(ドルトムントホーム)は1-1の引き分け。PK戦までもつれ込んだ今回を含めて、両者の力の差は徐々に縮まっているように見える。

 ヘルタの戦いは守備から始まる。この日はその守備が功を奏した。

「前半も後半も、基本的にいい守備ができていたと思います。もちろん危ないシーンもありましたけど、基本的にはみんなでヘルタらしい戦い方ができていた。相手もうまくビルドアップしてなかったし。(前線にボールが)入ったところでもボールが取れていた。予定通りというか、いい試合ができたんじゃないかなと思います」

 ユリアン・ヴァイグルを中心とするドルトムントのカウンターの起点を抑え、早い段階で出てくるロングボールも、高速フォワードたちへの対応もうまくいった。

 そんな中でヘルタはカウンターから前半27分にサロモン・カルーが先制。後半開始直後に追いつかれると、その後は互いに中盤を省略したようなオープンな展開になる。ドルトムントの個人技による攻撃をしのぐことはできたが、追加点は奪えなかった。

 原口はいつもと同じジレンマを感じていた。簡単にいえば、それは原口自身のボールの受け手としてのイメージを、ボールの出し手にどう理解させるかというものだ。

「走っていて歯がゆいんですね、そこは。『こうしたらいいのにな』というのが自分の頭にあるのに、なかなかそれが出てこなくて。それがガンガン出てきたら、何か仕事ができるのかなというのがあるし」

 このことに関連して、この日は新たな意識の変化を口にした。

「僕も含めて向上しないといけないのは、(ボールを)取ったときの判断とか、慌てないこととか、カウンターに入るときのクオリティ。意外に(パスが)出ちゃえばやれないことはないんだけど、どう出すかとか、逆に一個止めて周りを見るとか、そういうのがほしいですね」

 自分のプレーについても、いつもと少々異なる表現で語った。

「特に強い相手になると、どちらかというと低い部分での仕事がメインなので、そこ(のクオリティ)を上げることができれば、結局、自分にも返ってくる。今日はそれができていた部分もあるし、判断を間違えた部分もあると思うので」

 ボールを出す側の質を向上させるのも自分の役目。それがひいては自分の得点やゴール前での仕事にも跳ね返ってくるというわけだ。確かに奪ったボールをやみくもに蹴るのではなく、中盤を経由するなり、フォワードにあてるなりして優位な状況を作り出してゴール前に入るようにしなければ、カウンターのクオリティも上がらない。

「もうひとつ、そこをはがせるか、はがせないか……あと1個か2個、うまくいけば、きっと別のチームになるかなと。そこを変えていくのは僕の仕事だと思う。でも1人ではうまくいかないので……」

 思い切り落胆した状態で、原口はそんな風に今後に思いを巡らせていた。自分が得点、アシストするにはどうすればいいのかという悩みから、チームの攻撃の質を上げるためにはどうすべきかということへの意識の変化。苦い敗戦は、良薬になろうとしている。

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