学生の窓口編集部

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皆さんは、大学生による『古民家族』というサークルをご存じでしょうか? このサークルは兵庫県にある武庫川女子大学の学生が中心になって結成されたサークルで、古民家の再生を行っているサークルです。今回は、古民家族の代表の方に、活動内容や実績などを伺いました。

■古材問屋を訪れたことがきっかけで結成

――古民家族の発足の経緯を教えてください。

2006年の夏、卒業論文で古材について研究していた学生が兵庫県西宮市の船坂にある古材問屋 さんを訪れたのが始まりです。ちょうどそのころに、古材問屋さんに船坂に建つかやぶきの古民家の解体依頼がありました。その古民家はすでに人は住んでおらず、数年手を付けられていない状態でした。しかし、古民家に非常に詳しい方によると後世に残すべき貴重な古民家であることが判明したのです。

――ものすごい偶然といえますね。

その様子を見た学生が「自分たちで修復をしてどうにかこの古民家を残すことはできないだろうか」と持ち主の方へお願いをし、女子大生主催の古民家改修を行う団体「古民家族」が誕生しました。 そこから古民家に詳しい方々のご指導の下、まずは廃材とごみの仕分け作業からスタート。初年度は清掃と下屋の解体作業がほとんどでした。

その後、古民家の再生を通してさまざまなご縁があり、その中の大きな一つとしてかやぶき職人の方との出会いがありました。こうして古民家の象徴であるかやぶき屋根の修復が始まることとなります。それ以降もたくさんの方々に支えられながら活動は続き、2015年12月、発足から10年目に突入しました。

かやぶきの模様

――10年目になった現在、何名が所属されていますか?

古民家族は正式に所属メンバーが決まっているわけではありません。初参加の方もお久しぶりの方も、みんな古民家族のメンバーです。学生以外にも子供から年配の方まで男女関係なくどなたでも参加していただいています。現在、学生は企画や進行を行う9名に加え、毎月5〜10名が参加しています。そこに職人さん、一般ボランティアの方々も加わり全体としては毎月20〜30名ほどで活動しています。
――普段の活動内容を教えてください。

古民家族の活動としては、自分たちで実際に見て、触って、体験しながら伝統工法を学ぶことを第一の目的としています。活動内容は年や季節によってさまざまですが、今回はその中の幾つかをご紹介します!

●『かやぶき』

夏の一大イベントとして恒例になっているかやぶき。地下足袋(じかたび)を履いて屋根に上り、カヤで屋根をふいていきます。屋根の上に上るだけでも貴重な経験! 作業工程も使用する道具も初めてのことだらけで古民家ならではの体験ができます。

●『土壁塗り』

まずは長靴を履いて皆でひたすら踏んだり混ぜたりしながら土を練ります。そして発酵させた土をコテとコテ板を使って、竹小舞と呼ばれる竹を格子状に編んだ下地に塗っていきます。大工さんがやっている姿は簡単そうに見えるけれど意外と難しいのです。

●『カヤ刈り』

修復に必要な材料も自分たちで採取します。屋根に使用するカヤは、カヤ場をお借りして毎年刈らせていただいています。刈れば刈るほど生い茂っていたスペースが開けていくので達成感があり、つい夢中になってしまいます。

土壁塗りの模様

他にも、船坂の自然豊かな環境の中で夏は流しそうめんや蛍鑑賞、冬は忘年会で餅つきなど季節ごとのイベントも盛りだくさんです。また、外部のイベントに参加したり、他大学の古民家再生を行っている団体とお互いの活動に参加したり合うこともあります。

――活動内容は非常に盛りだくさんなのですね。この古民家族に参加して、どのようなことを学びましたか?

再生し、活動拠点になっている古民家は築推定180-200年といわれています。200年前というと、なんと江戸時代。そんなにも昔からある建造物に触れ、当時の手法を素手で感じることのできることのありがたみは常に感じています。古くからの手法や知恵には驚かされることばかりです。

――確かに昔の建物は知恵が生かされているものが多いです。

また象徴であるかやぶき屋根はとっても分厚いので「吸音性・保温性・断熱性・通気性・雨仕舞」に非常に優れています。屋根としての役目を終えた屋根材を後に肥料として利用できるかやぶき民家は、まさにエコ住宅。どこを取っても無駄がないからこそ古民家は魅力的なのだと思います。

――古民家再生の活動をする中で、難しいと思ったことや苦労したことはどんなことがありますか?

残すべきとされている古民家も、古くから知る風で飛ばされるカヤや雑草の処理がされていないことなど、しっかりとした管理下にないことが地域の方々にとってはあまり良くない印象へとつながっていることがあります。後世へと残していくためには地域の方々の理解が必要です。古民家を再生するに当たって地域との共存ということを大切にしなければならないとあらためて感じました。

――将来こういったことをやってみたい、など今後の展望などがあれば教えてください。

かやぶき古民家が解体され続けている今、活動を通して学ぶだけでなく、私たちのような若い世代が伝承していかなければなりません。学生が主催していることを生かし、若い世代の方々にも古民家の良さを知ってもらい伝える人が一人でも増えてほしいと思います。この記事を読んでくださった方にも少しでも古民家って面白そうと思っていただけるとうれしいです。

――読者には大学生のほかに大学入学前の高校生、中学生も多くいます。彼らにメッセージをお願いします。

最近では古民家を再生したカフェや雑貨屋を多く目にするようになりました。実際に足を運んでみるととてもおしゃれなところが多く、落ち着く空間なので私も大好きです。これまで、古くてオンボロなイメージを持たれがちだった古民家も、こうして身近に感じられるようになり、少しずつ捉えられ方が変わってきているのかなと思います。皆さんも古民家のぬくもりをぜひ一度感じてみてください。古民家には魅力がいっぱい詰まっていますよ!

――ありがとうございました!

インタビューにもあるように、古民家族は学生だけでなく一般の人も参加可能のサークルです。古き良きぬくもりが感じられる古民家ですが、なかなかじかに触れる機会はありませんし、興味がある人は参加してみるのもいいですね!

『古民家族』のFacebook
https://www.facebook.com/kominkazoku
取材協力:武庫川女子大学

(中田ボンベ@dcp)