映像作品でもおなじみ 米国の象徴的なパトカー 31選(後編) 現代の警察車両は?
シボレー・ビスケーン2ドア・ポリス(1966年)
1966年モデルのシボレーのパトカーには、5種類ものV8エンジンがオプションとして用意されていた。最高出力390psの427立方インチ(7.0L)ターボジェットから、195psの283立方インチ(4.6L)ターボファイアまで、出力もさまざまであった。
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また、2ドアおよび4ドアのビスケーンすべてにおいて、ブレーキ、サスペンション、ポジトラクション(Positraction、リミテッドスリップデフ)などのヘビーデューティなコンポーネントがオプションで装備可能だった。シボレーは警察に対し、地域のディーラーで「ホットなパトカー」を「調査」するよう呼びかけた。

シボレー・ビスケーン2ドア・ポリス(1966年)
ダッジ・ポラーラ・パシュート(1966年)
1966年型ポラーラ・パシュートの目玉は、新型の440立方インチ『ウェッジ』エンジンの搭載であった。この7.2Lシングルキャブのモンスターエンジンは375psの出力を発揮し、1978年に製造が終了するまで、クライスラーの警察車両用エンジンとしては最もパワフルなものであった。しかし、この頃には、出力評価システムの変更、新しい排ガス規制、無鉛ガソリンへの切り替えにより、255psしか出ないようになっていた。

ダッジ・ポラーラ・パシュート(1966年)
ポンティアック・カタリナ4ドア・セダン・ポリスカー(1969年)
1969年型ポンティアック・カタリナの特徴的なフロントノーズが、現在の歩行者衝突試験で高い評価を得られるかどうかはわからないが、同年の警察仕様のカタリナに存在感を与えていたのは確かだ。
しかし、車内は以前のモデルよりも安全性が高く、1967年モデルからはソフトパッド入りのインパネと前席・後部座席のシートベルトが標準装備となっている。

ポンティアック・カタリナ4ドア・セダン・ポリスカー(1969年)
フルサイズのカタリナは1969年モデルで再設計され、より角ばった外観を獲得し、ホイールベースも122インチ(3099mm)に延長された。しかし、中身は1965年モデルからほとんど変わらず、3速ATとエンジンを搭載している。
プリムス・サテライト・ポリスカー(1972年)
1971年に登場した第3世代のプリムス・サテライトは、ベルベディアの後継となるBボディのミドルサイズ車であり、警察仕様として『A38』も用意されていた。1972年には、「どこへでもあなたを運ぶために作られた」と宣伝されていた。
1974年型サテライトは、テレビシリーズ『爆発!デューク』にさまざまな場面で共演した6台のパトカーのうちの1台である。この中には、サテライトの後継車であるフューリーも含まれており、同車はプリムスを1970年代後半の米国で最も人気の高いパトカーブランドとして確立した。

プリムス・サテライト・ポリスカー(1972年)
シボレー・ノヴァ・ポリス・ビークル(1975年)
後輪駆動のノヴァの最終世代は、燃費と排ガス性能が重視されていた当時、警察機関に人気の車種となった。シボレーは、コンパクトなノヴァの生涯コストの低さを強調し、最終的にセントルイス、ロサンゼルス、ウィスコンシン州マディソンなどの警察および保安官事務所で採用された。
警察仕様の『Copo 9C1』には、強化型のタイヤ、サスペンション、バッテリー、ジェネレーター、冷却システム、専用のニールームと乗降スペースを備えた後部座席、耐久性の高いビニールシートトリムが装備されている。映画『グレムリン』などにも登場した警察仕様のノヴァには、時速2マイル刻みの警察公認スピードメーターがオプションとして用意されていた。

シボレー・ノヴァ・ポリス・ビークル(1975年)
フォード・フェアモント・ポリスカー(1978年)
1978年モデルのフェアモントは、市街地パトロールや追跡以外の任務を遂行するパトカーとして、前述のノヴァに対抗するべく設計された。フォードは、コンパクトカーであるにもかかわらず、ヘッドルーム、レッグルーム、ショルダールームは大型車の90%の広さを確保していると主張した。
3.3L 6気筒エンジンまたは5.0L V8エンジンを搭載したフェアモント・ポリス・パッケージは、悪路走行に耐える強化ボディ、独自のスプリング、スタビライザーバー、ストラット、ショックアブソーバー、パワーステアリングを装備している。

フォード・フェアモント・ポリスカー(1978年)
プリムス・ヴォラーレ・ポリスカー(1978年)
シボレー、フォードと並ぶ新世代の小型パトカーとして、プリムスは1978年にヴォラーレ・パシュートを発表した。ほぼ共通のダッジ・アスペンも登場したが販売は振るわなかった。当時の販売資料では、ヴォラーレ・パシュートは「タフで取り回しがしやすく、導入コストが低くて快適な、警官の長い勤務時間を支えるクルマ」と紹介されていた。
ボンネットの下には、触媒コンバーター装着状態で最高出力155psを発生する318立方インチ(5.2L)V8エンジン、または170psの360立方インチ(5.9L)エンジンが搭載されている。

プリムス・ヴォラーレ・ポリスカー(1978年)
フォード・マスタング・スペシャル・サービス・パッケージ(1982年)
マスタング・スペシャル・サービス・パッケージ(SSP)は、フォードの最も有名な警察車両の1つである。高出力の5.0L V8エンジンは、1/4マイルを15.5秒で走り抜け、「ポルシェを追いかける」のに役立つと、当時の広告は伝えている。ラック&ピニオン式ステアリング、ディスクブレーキ、高耐久性スタビライザーバーにより、911を視界にとらえ続けることができただろう。
1982年、過酷なテストプログラムを経て、ローンチカスタマーであるカリフォルニア州警察が特別装備のマスタング400台を購入した。価格は1台あたり6868.67ドル(現在の価値で約2万3000ドル=約350万円)で、耐用期間は18か月とされていた。フォードは1993年までマスタングSSPの製造を続けた。

フォード・マスタング・スペシャル・サービス・パッケージ(1982年)
フォード・クラウンビクトリア・ポリス・パッケージ(1992年)
フォードは、1980年代に人気を博したパトカー、LTDクラウンビクトリアの後継車として、1992年にクラウンビクトリアを発表した。特徴の1つとされたのが、ブレーキ性能だ。
同社によると、ミシガン州警察とロサンゼルス市警による100-0km/hのブレーキテストにおいて、クラウンビクトリアはABSのおかげで競合車よりも9m以上も短い制動距離を実現したという。1992年には約2万5000台が製造され、1997年まで製造が続けられた。

フォード・クラウンビクトリア・ポリス・パッケージ(1992年)
フォード・クラウンビクトリア・ポリス・インターセプター(2006年)
クラウンビクトリアをベースにしたインターセプターの最終世代は1998年に導入された。フォードは当時、北米の警察車両の市場シェア85%を占めていると主張していた。4.6L V8エンジンを搭載した1998年モデルは、最高速度240km/hを誇った。追跡用にボディオンフレーム設計のシャシーをアップグレードし、ブレーキとステアリングを大型化し、リンク式リアサスペンションを採用している。
1998年、フォード政府車両販売マネージャーのボブ・ウィリアムズ氏は、「警察は『このクルマを手放すな』と言っています。彼らは後輪駆動の大型セダンを求めているのです」と語った。しかし、2011年に製造終了。その時点ではクラウンビクトリアの年間販売台数のうち、ほとんどすべてをポリス・インターセプターが占めていた。

フォード・クラウンビクトリア・ポリス・インターセプター(2006年)
シボレー・インパラ・ポリス・ビークル(2008年)
インパラの名称は、数世代にわたって警察車両で使用されてきた。このシリーズの最後のモデルとなったのは、2006年から2016年まで製造された第9世代だ。通常の警察用の『9C1』パッケージと、覆面捜査官用の『9C3』パッケージの2種類が用意されていた。
警察仕様のインパラはLSグレードをベースとし、頑丈なスチールホイール、強化された冷却システム、リアドアのロック無効化とハンドルの廃止など、おなじみの装備が揃っている。写真にある2008年モデルでは新機能として、トランクリリースの外部スイッチが追加された。

シボレー・インパラ・ポリス・ビークル(2008年)
シボレー・タホ・ポリス・パッケージ(2010年)
シボレーは1990年代初頭から、ボディオンフレームのフルサイズSUVであるタホの警察仕様を提供している。後輪駆動または四輪駆動、および警察追跡車(PPV)またはスペシャル・サービス車(SSV)が選択可能だ。
写真は2010年の第3世代タホで、先代の4速ATよりも燃費の良い6速ATが搭載されている。また、注目すべき新機能として、電子制御スタビリティ・コントロール(GMではStabiliTrak=スタビリトラックと呼ぶ)が導入された。これは、背が高く、アグレッシブな走りをするSUVにとって理にかなった安全対策だろう。

シボレー・タホ・ポリス・パッケージ(2010年)
フォード・ポリス・インターセプター(2010年)
フォードは、伝統あるクラウンビクトリアの製造終了が近づいた2010年に、現在のポリス・インターセプターのコンセプトモデルを初めて公開した。先代モデルとは異なり、トーラスをベースとしてV6エンジンを搭載し、ターボ付きとノンターボの2種類があり、駆動方式はFFとAWDが用意されている。
警察用に特別に設計された車内には、防刃加工のシートバック、ユーティリティベルトを装着できるシート、コラムシフトが採用され、センターコンソールにスクリーンやノートパソコンなどの最新のデジタル機器を設置できるようになっている。

フォード・ポリス・インターセプター(2010年)
しかし、エクスプローラーをベースとするインターセプターはセダンを大きく上回る販売実績を上げている。2020年には新モデルが登場し、フュージョンベースのレスポンダー・ハイブリッド、F-150、エクスペディション、トランジットなど、フォードの警察車両シリーズに加わった。
シボレー・カプリスPPVポリス・セダン(2012年)
GMは現在、セダンタイプの警察車両を製造していない。これは、北米の自動車市場および警察機関におけるセダン人気の低下を反映している。代わりに、タホSSV、シルバラード、エクスプレスからなるラインナップを展開している。
シボレー最後の警察用セダンは、ホールデンをリバッジしたカプリスPPVで、2011年から2017年までオーストラリアから輸入されていた。ホールデンは、同車をオセアニアや中東の警察にも販売していたが、ホールデンの南オーストラリア州エリザベス工場が2017年に閉鎖したことに伴い、製造終了となった。

シボレー・カプリスPPVポリス・セダン(2012年)
ダッジ・デュランゴおよびチャージャー・ポリス(2019年)
ダッジは2018年、警察用SUVの需要に応えて、V6または最高出力360psの5.7L V8ヘミエンジンを搭載した四輪駆動のデュランゴ・パシュートを投入した。
警察の業務に対応するため、冷却性能の改善と負荷分散サスペンション、大型ブレーキシステムを採用した。車内のUconnect 7.0インチディスプレイには、警察専用の車載システムが搭載されている。

ダッジ・デュランゴおよびチャージャー・ポリス(2019年)
これからのパトカーは?
フォードはセダン市場から全面撤退しつつあり、2019年にトーラスが製造終了となったことで、セダンのインターセプターも廃止となった。現在、米国で最も売れている警察車両は、エクスプローラーベースのフォード・ポリス・インターセプター(写真)である。標準モデルは最高出力318psの3.3Lハイブリッドで、オプションとして400psの3.0L V6エンジン搭載車も用意されている。警察もわたし達一般市民と同じように、SUVを積極的に購入しているのだ。
しかし、それは、これまでわたし達がよく知り、バックミラー越しに見るのを恐れていたセダン型パトカーの終焉が近いことを意味している。ビッグスリーのポリスセダンの栄光の時代は、終りを迎えたのである。

米国の警察車両は、車内が広く快適なSUVが主流となりつつある。
