アーセン・ヴェンゲルが、ワールドカップ(W杯)隔年開催反対派へ苦言を呈した。英紙『Daily Mail』が10月13日に伝えている。

 かつてアーセナルの指揮官として黄金時代を築き、現在は国際サッカー連盟(FIFA)で要職を務めるヴェンゲルは、サッカーをより魅力的なものとするだけでなく、選手の移動時間を減らすことを目的とし、カレンダーの抜本的な改革を強く訴えている。

 具体的には偶数年にW杯、奇数年にコンフェデレーションズカップ(EUROを含む)を実施し、主要大会の予選が行なわれるシーズン途中のインターナショナル・ブレークを現行の5回から1回(10月)または2回(10月と3月)とし、合計1か月間に。大会終了後には選手に25日間の休息期間を保証するというものだ。

 ただ、とりわけW杯を2年ごとの開催とする案には反対の声が少なくなく、世界中で議論となっている状況にヴェンゲルは「80%から90%の人が、予選を再編成して短くし、国際大会のためのスペースを確保するというアイデアに賛成しているが、2年に1度のワールドカップには、何か感情的なものがあるため、より慎重になっている」と主張。そのうえで頭越しに否定するだけでなく、より良い代替案を提示するよう求めている。

「私は全ての提案や批判を受け入れる。それは私にとって歓迎すべきことだ。これは個人的な戦いではない。ただひとつお願いしたいのは、このプロジェクトを批判している人たちには、もっと良いものを提供してほしいということだ。しかし、私の信頼性を中傷するようなことはしないでくれ。プロジェクトを批判する人は、理由を教えてほしいのだ」

【PHOTO】第1回大会は1930年!FIFAワールドカップ歴代優勝国を紹介!(1930〜2018)
 
 その理由のひとつには、開催頻度を増やすことで、W杯の価値や威信が失われるのではないかという懸念が挙げられている。フランス代表のディディエ・デシャン監督もそうした考えを表明していたなかで、71歳の御大はこのような意見は理解できるとしながらも、時代に合わせた変化が必要だと説明している。

「威信を守りたいと思うのは普通のことだ。しかし、全てがどんどん速くなっている現代社会の時間感覚を分析すると、大きなイベントへの需要も大きくなっている。サッカーの世界では、どの大会が行なわれているのかを人々が理解できるような、明確でシンプルなアイデアを維持したいと思っている。サッカーは、分かりやすいスポーツであり続ける必要がある」

 今後、過密日程の是正に向けたカレンダー整理の一端として、100年近く続いた4年周期のサイクルが崩れることになるのか。ヴェンゲルは2026年に北米で開催されるW杯の2年後、2028年に自身の提案の実現を目指している。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部