Jリーグクラブが各地でキャンプを行っている。僕もこれまでと違った人々に囲まれ、別の環境で取り組む今年は、例年以上に張り切らなければ、と思っているよ。最初からビシビシ鍛えて、しっかりとシーズンに備えたいな。
 
ところで、監督に就任してからよく聞かれることがある。
「システムはどうするのですか」
「どんなサッカーをするのですか」
「どんな戦術をつかうのですか?」
 
どうやらみんな、システムとか戦術に幻想を持っているようだね。「今だ、4-4-2から3-5-2にチェンジ!」とか「カウンターを使え!」とか、監督はそうやって指示を出すと思っているようだ。
 
確かにそういう場面もあるよ。でも、サッカーの場合はもっと状況が流動的だから、ゲームみたいに采配していたら、変化し続けているピッチの上の出来事に置いていかれてしまう。
 
自分たちのやり方も大切だけど、サッカーは相手があってこそのプレーだから、臨機応変というのが大切なんだ。正直、いろんな質問に対して「そのときの状況によって変化する」としか答えようがないよ。
 
それに、試合中は「3-5-2にしろ!」というより、「他の選手とこういう位置関係になれ」と指示したほうが、選手には伝わりやすい。
 
東京Vの監督だったとき、ある試合で2トップに「縦の位置関係になって1人は下がれ」と指示したことがある。今風に言えば、4-2-3-1への変化だよ。それでうまくいったのだけど、選手へはそんな伝え方のほうがいいと思ってる。これは僕の現役時代、読売クラブのジノ・サニ監督から学んだことだ。「4-4-2から4-2-3-1になったから、自分の役割は……」なんて選手が考えている間にやられることもあるからね。
 
システムも大切だけど、システムだけでは勝てないよ。大切なのはピッチの中で何が起きているかということ。そしてピッチの上にいるのは数字ですべては表せない人間なんだ。