前回、「中国での凄いハッキング「人肉捜索」とは? その実例と流行の原因を探る」にて中国の凄い個人特定ハッキング「人肉捜索」の実例を紹介しました。

 今回は「人肉捜索」の仕組みを紹介したいと思います。

 昨今のイギリスの暴動で、暴徒を特定するためにの自警サイト「Identify The London Rioters」が設立されました。

 掲載されている写真の暴徒を知っているなら、その個人情報を不特定多数が収集して共有していく仕組みです。写真の暴徒の名前は、住所は、特徴は? を入力できます。

 実はこれが「人肉捜索」と同原理なのです。情報をみんなで集めて共有、再調査して共有の繰り返しです。

1.「人肉捜索」の対象を特定する(動物を虐待した、権力を悪用した、ずるいことをした人物など)。

 最近では、TVのニュースで放映された、万引き女性が「人肉捜索」の標的になる実例もあります。

2.掲示板などで、対象の情報を不特定多数が書き込んでいく。

3.更に、写真や名前、学校など本人のキーワードから百度など検索エンジンを中心に情報収集をする。

4.QQなどチャットツールを使って、対象者の関係者(学友や同僚)から個人情報を聞き出す。

 中国ではとても簡単に特定の人物とチャットで話すことができます。

5.集めた個人情報を晒す。

 人肉捜索の具体的な実例として「四川地震難民を罵る少女、一家もろとも身分を晒される」事件があります。

 四川地震の際、多数の死亡者に哀悼の意を表するため、中国のネットカフェはネットゲームなど娯楽を自粛していました(多くのホームページも白黒に、テレビ番組も地震特番ばかりでした)。

 しかし、とある遼寧省の若い女性がネットカフェで友人に対しゲームが出来ない不満をぶちまけ、四川地震のせいにし、地震の難民を汚い言葉で4分40秒間に渡り罵りました。しかも自身でYoutube上にこの録画をアップしました。

 一時間も立たないうちにこの女性の態度に怒ったネットシチズンの「中国13億全国民、彼女を探せ!」作戦が発令、午後1時には彼女の名前、住所、職場、 家族構成、父母、兄の電話番号まで曝されてしまいました。当日、この情報をもとに瀋陽市警察は彼女を拘留し、のち彼女も公衆に謝罪しました。

 このように迅速に個人情報を集められるのも偏に4億5000万人のネットシチズンが百度掲示板、QQチャットといったネットツールを使いこなし技術と情報力を結集出来る点にあります。

 どこか日本の2ch(にちゃんねる)に似ていますね? 2chはサブカルを深堀し、人肉捜索は人間を深堀しているのです。

 また「人肉捜索」の定着した別の活用法として、行方不明者を探すホームページもあります(生き別れの家族を探すなど)。

 1000円―5万円ほどの賞金がでているようです(中国の初任給は3―5万円程度)。

 少ない情報から個人情報まで特定する中国の「人肉捜索」。

 ここで我々が押さえておくべきはその恐ろしさではなく、中国ネットシチズンの情報力・技術力が非常に高いこと、そして彼らの「正義感」で中国世論が動く「アジアのIT大国」であることを念頭に、健康的に言動して参りましょう。(執筆者:高橋学 提供:中国ビジネスヘッドライン)