「逃げ出したい気持ちもあった」今村聖奈(22)が女性初のG1・クラシック制覇! “スマホ問題”で騎乗数激減のどん底から蘇った“最大の理由”
午年の2026年、“牝馬クラシックレース”で日本競馬史が動いた。5月24日(日)に東京競馬場で行われた3歳牝馬の頂点を決めるクラシックレース「オークス(優駿牝馬)」(G1・芝2400m)。今村聖奈ジョッキー(22)が騎乗する16番「ジュウリョクピエロ」号が優勝したのだ。女性騎手によるG1レースの優勝はもちろん、クラシックレースに女性騎手が騎乗すること自体が初のこと。この歴史的快挙に、全国の競馬ファンが沸いた。【デイリー新潮編集部】
【祝オークス制覇】苦難の道を乗り越え女性騎手発のG1・クラシック制覇へ「今村聖奈」騎手の私服姿
腹の据わった騎乗
競馬紙記者がレースを振り返る。
「今回のオークスは、圧倒的一番人気が不在で、混戦模様でした。メディアや競馬ファンの間で話題となっていたのは、牝馬クラシック1戦目の今年の桜花賞(4月12日・阪神競馬場・芝1600m)を圧勝した一番人気・スターアニスが距離延長を克服し、2冠達成となるかどうかということばかり。正直なところ、5番人気のジュウリョクピエロと今村騎手にはそこまで注目が集まっていませんでした」

そんな中、3歳牝馬最強を決めるゲートが開いた。
「なんせ2400mという長丁場ですから、ゆったりとしたスタートとなり、各馬様子を窺いながらの展開となりました。今村騎手は、隊列のほぼ最後方から、馬の機嫌を窺うようにゆっくりと進んでいるように見えましたね」
レースが動いたのは、4コーナーを回って最後の直線に差し掛かったところだった。
「前を行く馬たちの脚がそこまで伸びず、前が詰まってきました。ここで後方勢の一頭であるジュウリョクピエロにもチャンスが生まれます。ですが、一団となった馬群が邪魔で進路がない。今村騎手はここで、誰もいない外には出さず、敢えて馬群の中を割って入るように進んで加速。馬も期待に応えるかのように末脚を発揮し、最後クビ差で1着を勝ち取りました。あの進路取りは危険が伴いますから、なかなか腹の据わった騎乗でしたね」
腐らずコツコツと
かくして女性初のG1・クラシック制覇を成し遂げた今村騎手だが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。関係者が続ける。
「デビュー年となった2022年は飛ぶ鳥を落とす勢いで51勝をあげてファンを驚かせ、あのレジェンド・武豊騎手のように、競馬ファンのみならず、国民的なスターになるのではとさえ期待されていました。この年は、CM出演や、イベントにも引っ張りだこで、あの“藤田菜七子フィーバー”に勝るとも劣らぬ、“聖奈フィーバー”とでも呼ぶべき状態でしたね」
しかし、禍福は糾える縄の如し。翌2023年に“不祥事”を引き起こしてしまう。
「5月に、騎手控え室でスマートフォンを使用していたことが発覚。30日間の騎乗停止処分となってしまいました。この結果、騎乗依頼が激減。勝ち鞍はデビュー年の半分以下の25まで落としてしまいました」
勝負の世界は厳しい。結果を残せなくなったことで、翌年の騎乗依頼はさらに減り、負のスパイラルに突入してしまう。勝ち鞍は6と、デビュー時からは想像できないほどの落ち込みを見せ、競馬ファンも“聖奈は買えない”と敬遠するように。
「どん底に落ちましたけど、それでも彼女は鞍はまりがよく(※どっしりと安定して騎乗できていること)、とにかく研究熱心で、過去のレースを何度も見て勉強するタイプ。腐らずコツコツとやったことが実を結び、騎乗依頼が徐々に回復。2025年は勝ち鞍を22にまで回復させました」(同)
そして、2026年のオークス。大舞台で会心の騎乗を見せ、歴史的快挙を成し遂げたのだ。ちなみに今年はこれで6勝目。
先の競馬紙記者が振り返る。
「レース後のインタビューで今村騎手は、『(1年目と比べて)成績も下降してて、本当に自分がやりたいのはこんな感じだったのかなとか(中略)その場から逃げ出したい気持ちがすごくあった』と語っていましたが、偽らざる本音だと思います。でも今回、千載一遇のチャンスをきちんとものにできたことで、大きな自信になったでしょうし、これで騎乗依頼も復調してくるのではないでしょうか」
デイリー新潮編集部
