40年以上の歴史を持つ神戸ジャズストリート(2023年10月撮影、神戸市中央区で)

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 全国各地のジャズストリートの先駆けで、40年以上続いてきた「神戸ジャズストリート」が苦境に陥っている。

 ファンの高齢化などでチケット収入が伸び悩み、資金は底をつきかけた。対策のため実行委員会はトップに30歳代の女性を迎え、若者にも親しまれるイベントづくりを進める。(神戸総局 浜端成貴)

発祥の地

 神戸は1923年に日本で初めてプロのジャズバンドが演奏し、日本のジャズ発祥の地とされる。神戸ジャズストリートは、有志らがジャズの街として盛り上げようと82年に始めた。

 毎年10月の2日間、市中心部に設けられた約10会場で海外の著名バンドを含む約20組の100人以上が演奏する。複数の会場を巡る「はしごジャズ」が人気を集め、同様の方式は全国各地にも広がった。気軽にジャズを楽しめる街頭パレードも見所になっていた。

 ところが、近年は運営が厳しい。チケット収入が伸びず、過去7回のうち5回で赤字になった。貯蓄で穴埋めし、手元に残った資金は今年3月には約130万円にまで減り、続けていくことが難しくなってきた。

 背景には、出演者、ファンともに進む高齢化がある。若者の間ではポップスやロックなどが流行し、ジャズに触れる機会も少ないとされている。

 実行委によると、2025年に出演した23組のうち、約15組が60歳以上でつくるグループだった。20〜30歳代は一桁で、来場者約2000人も若者の姿は少なかった。来場を呼びかけると「ジャズは難しい」といった意見も寄せられたという。

 21年から委員長を務めてきた田中千秋さん(81)は、「若い世代にジャズを広げ、来場者を増やすため、運営の刷新が課題になっていた」と話す。

手紙で寄付募る

 苦境に陥る中で、今年1月に委員長を引き継いだのが、大阪市で音楽教室を経営する藤田麻衣さん(38)だった。中学生の頃からジャズストリートにボランティアスタッフとして関わり、「伝統を終わらせるわけにはいかない」と自ら後任に手を挙げた。

 藤田さんらは、若者にアプローチするためSNSを使ったPR活動を本格的に開始。インスタグラムを始めると2週間でフォロワーが1000人を超えた。

 関係者やファンに手紙を送り、寄付も募った。初期の頃から参加してきた90歳代男性から、「神戸の街からジャズの灯を絶やさないで」と100万円を託されるなどして、今年は開催できるめどが立ったという。

 今年は出演する20〜30歳代のミュージシャンを昨年の2倍以上の約25人に増やす予定だ。地元の大学の体育館を借り、参加型のダンスイベントも検討している。恒例だった海外バンドの企画は、経費削減のため、見送る方針。

 藤田さんは「来年以降も続けられるかわからない。今年、若い世代に魅力を伝えられるかにかかっている。ジャズを身近に感じてもらえる場にしていきたい」と意気込んでいる。

 ジャズピアニストとして参加を続けている大塚善章・関西ジャズ協会長の話「異人館が立ち並ぶ北野の街並みにはジャズのスイングがよく似合う。歴史が長く、全国各地から多くのファンが集まる中で演奏できる貴重な機会になっており、いつまでも続いてほしい」

活性化課題、各地で模索

 ジャズの活動に携わる関係者にとって、活性化は大きな課題となっている。

 演奏家や愛好家らでつくる「関西ジャズ協会」(大阪市)の会員数は、設立2年後の2002年には700人を超えていたが、今年3月時点で207人に減った。協会はジャズコンテストを開き、実力のある演奏家を発掘するなどして普及を図る。

 各地のジャズストリートも、模索を続ける。国内最大級の「高槻ジャズストリート」(大阪府高槻市)は、24年まで2年連続の赤字で、25年はクラウドファンディングで資金を確保。今年も名物イベントを見送るなどして経費を削り、開催にこぎつけた。

 「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」(仙台市)は、出演約700組のうち、純粋なジャズバンドは3割で、ソウルやフュージョンなどを含めた幅広い音楽ジャンルを取り入れ、活気を生み出している。