北朝鮮、新型155ミリ自走砲を公開 「射程60キロ超」強調の狙い
朝鮮中央通信によれば、金総書記は6日、軍需工場を訪れ、今年中に韓国との国境に配置された長射程砲兵部隊へ装備される「3個大隊分」の新型155ミリ自走平曲射砲(自走砲)の生産状況を点検した。走行試験や地形克服、潜水渡河試験に加え、改良砲弾による射撃試験の結果報告も受け、「機動性と火力打撃能力が非常に高い新世代の砲兵器」と高く評価した。
また同通信は、新型砲システムについて「優れた機動性」「高い戦闘環境情報処理能力」「自動射撃システム」を備えていると強調した。現代戦では発砲位置が対砲兵レーダーや無人機によって即座に探知されるため、撃った後すぐ移動する「シュート・アンド・スクート」能力が生残の鍵を握る。ロシアの侵攻を受けるウクライナで続く砲兵戦でも、50キロを超える長射程と機動性、自動化の有無が自走砲の生存率を左右したとされ、北朝鮮がこうした戦訓を意識している可能性もある。
(参考記事:北朝鮮、艦艇ミサイルと「データリンク戦」模索か 早期警戒機・大型無人機と連動も)
もっとも、北朝鮮が示した「60キロ超」の射程が通常砲弾によるものか、ロケット補助推進弾など特殊弾薬を用いた最大値なのかは不明で、命中精度や連射性能も判然としない。ただ、北朝鮮がミサイルや超大型ロケット砲に加え、比較的安価で継続運用しやすい長射程砲兵の高度化にも本格的に乗り出したことは確かだ。
核・ミサイル戦力の陰に隠れがちだった北朝鮮の通常火力が、新たな段階へ入りつつある可能性がある。今回の報道は、その転換を内外に誇示するシグナルとみられる。
