【近藤 大介】芸術・翻訳分野が危ない…いま中国の各大学で急速に進む「AI時代に不要なもの」を教える学部・学科の淘汰

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中国の大学で始まった「淘汰」

前回は、私が兼任講師を務める明治大学の中国人留学生について書いた。今回は中国の大学の最新事情について記す。

中国ウォッチャー」をしていて喜ばしいのは、世界の最新トレンドが、日本よりも早く分かることだ。スマホ決済、無人タクシー、ドローン配達……いずれも中国ではかなり早く導入された。

だが「最新トレンド」は、便利なサービスばかりとは限らない。時に、世のはかなさを思い知る。

21世紀最大の発明は、おそらくAI(人工知能)だろう。周知のように昨今、AIは私たちの生活に欠かせないツールとなりつつある。

だが、AIが発達すると人間にとって不要になるものも出てくる。不要になるものは、当然ながら学習する必要はない。

というわけで、いま中国の各大学で、「AI時代に不要なもの」を教える学部や学科の淘汰が、急速に始まっている。その数、中国全土で計4000!

最も「標的」になっているのが「経管芸譯」、すなわち経営・管理・芸術・翻訳分野の学部・学科だ。

この傾向を見ると、いま日本の大学生に就職先として一番人気の経営コンサルタントの分野は、今後は「AIに任せる仕事」ということになる。英文学科などの外国語学部・学科も将来性に乏しい。

芸術分野までAIが支配?

私がため息をついたのは、3月に北京の名門校・中国メディア大学が、計16の専門分野を廃止などにすると発表したことだった。撮影・視覚伝達設計・新媒体芸術・翻訳・マンガ・アニメ……。

同大学の廖祥忠党委書記(大学トップ)はこう述べた。

「大学の4年間をそれらの学習に費やすことは、国家資源の浪費だ」

このように、非常にドライな発想なのだ。実際、中国では「人機分工」(人間と機械の分業)という言葉が流行語になっている。

だが、約15年前の廖氏は、そうではなかった。

私は北京駐在員時代に廖氏と意気投合し、講談社が全面協力して、中国メディア大学で「マンガ講座」を開講した。日本からプロのマンガ家を招待し、ストーリー作りからコマ割りまで、日本式のマンガ作成技術を中国人学生たちに教えたのだ。

これは大変好評で、新華社通信を始め、多くの中国メディアが取材に訪れた。廖氏も意気揚々と語っていたものだ。

「私は若い頃、日本のテレビ朝日で研修を受けて、いつかドラえもんのような中国産のアニメやマンガを花開かせたいという夢を持っていた。今日はその第一歩となった」

それがいまや、マンガやアニメ作りは、AIがやればよいということなのだろうか?

芸術分野までAIが支配するようになると、「人間とは何なのか?」という根源的な問いを突きつけられることになる。人類が「発展しつつ滅ぶ」ことがないよう祈りたい。

「週刊現代」2026年5月11日号より

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