なぜ今、日本は「深刻なインフラ老朽化問題」に直面しているのか

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日本はこのまま崩れ去ってしまうのか? 道路、鉄道、水道、インフラ、橋……なぜ全国各地で次々に事故が起きるのか? お金も人も足りない……打つ手はあるのか?

注目の新刊『日本のインフラ危機』では、私たちの暮らしを揺るがす「大問題の正体」を豊富なデータと事例から解き明かす。

(本記事は、岩城一郎『日本のインフラ危機』の一部を抜粋・編集しています)

日本の特殊性

今、日本では1980年代のアメリカ以上に、深刻なインフラ老朽化問題が忍び寄りつつあります。歴史を繰り返さないためにはどうすればいいのか? そのためには、現在の日本が“特殊な状況”に置かれていることを知らなければいけません。

まず、限られた財源下での集中的なインフラメンテナンスを余儀なくされていることが挙げられます。日本のインフラ整備は1960年代〜1970年代というわずか20年の間に急ピッチで進められました。それから50年が経ち、アメリカにおける1980年代の状況よりもさらに厳しい状況が待ち受けているのです。

次に、日本は他の先進国に先んじて、人口減少、少子高齢化が進行しており、熟練技術者の高齢化や退職、若者をはじめとするインフラメンテナンスの担い手不足という厳しい現実を突きつけられています。

さらに日本は欧米諸国とは異なり、複雑な地形・厳しい自然環境にあり、過酷で多様なインフラメンテナンスが強いられています。日本は島国で四方が海に囲まれており内陸は急峻な地形で形成されているため、どうしても橋やトンネルといった構造物を駆使して国土を開拓してきた経緯があります。また、北は北海道から南は沖縄まで、寒冷環境から亜熱帯環境まで、凍害から塩害に至るまで多様な劣化に対しメンテナンスをおこなう必要があります。

そして最後に、地震や豪雨災害といった自然災害が極めて多いという点です。

要するに、日本が「インフラを先に整備してきた欧米の真似をすればよい」状況ではないのです。特殊性をふまえて独自のメンテナンス技術を開発し体系化することが必要になります。それによって、途上国を中心にメンテナンス技術を通した国際貢献を果たすことも可能になるでしょう。

日本は1990年代までは耐震技術、長大トンネル・長大橋の設計・施工技術で世界のトップに君臨していましたが、これからはインフラメンテナンスを国際競争力のある看板として発展させる必要があるのです。そのためには、インフラメンテナンスを日本の土木の新たな仕事として位置づけ、技術者としての英知を結集させることが必要なのです。

さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。

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