保険不正拡大 行き過ぎた成果主義が温床に
外資系生命保険会社などで、顧客から金銭をだまし取る問題が、さらなる広がりを見せた。
安心を届ける保険業界としてあるまじき不正だ。
外資系のプルデンシャル生命保険で、営業職員らによる大規模な金銭詐取問題が発覚したのは1月だ。約500人の顧客から計31億円を受け取るなどしていた。
約30年間、社員や元社員が架空の金融商品への投資を持ちかけたり借金を頼んだりする手口が横行していた。衝撃的な事態だ。
今回、新たな被害相談が約700件に上っていることが判明した。このうち約70件は、グループ会社であるジブラルタ生命保険の社員が関係していたという。
プルデンシャル生命は、販売自粛期間を5月上旬から11月上旬まで延長し、再発防止策を進める方針だ。社員教育や企業統治の見直しなどを総点検すべきである。
保険業界にとって深刻なのは、新たにソニー生命保険でも金銭詐取の問題が発覚したことだ。
元営業職員が顧客ら約100人から計22億円を運用目的で預かり、約12億円が返済されていないという。今後、約280万人の全契約について調査する方針だ。
これだけの広がりを見せている以上、業界の信頼は根本から揺らいでいると言わざるを得ない。
プルデンシャルやソニーなどの外資系や新興の生保は、日本生命など伝統的な国内生保と対比し、カタカナ生保と呼ばれてきた。
国内生保は、義理(G)、人情(N)、プレゼント(P)を重視した「GNP営業」が特徴だ。
これに対し、カタカナ生保は、顧客のライフプランを精緻(せいち)に分析し、一人一人に最適となる保険の提案や、割安な保険料、柔軟な商品設計をセールスポイントに、販売を伸ばしてきた歴史がある。
プルデンシャルもソニーも「ライフプランナー」と呼ばれる専門知識を持つ営業職員が顧客に寄り添う手法で、生保大手の牙城を崩そうとしてきた。
プルデンシャルなどの職員が顧客の信頼を逆手にとり、金銭をだまし取ることは許されない。
完全歩合制に近い報酬形態も不正の温床になっていたのだろう。いったん不正に手を染めてしまえば、カネを目当てに歯止めが利かなくなるためだ。
不適切な案件が起きた期間といい、広がりといい、金融庁の監督にも不十分な点があったのではないか。金融庁は、立ち入り検査に入るなどし、不正の全容解明を急がなければならない。
