「強皮症」を発症すると現れる「初期症状」はご存知ですか?検査法についても解説!
強皮症はいくつかの病気を含む呼び方です。大きくは、皮膚だけに変化が出る限局性強皮症と、皮膚に加えて内臓にも影響しうる全身性強皮症に分かれます。名前は似ていますが、経過や注意したい合併症は同じではありません。初期は手指の冷えや色の変化、皮膚のつっぱり、境界がはっきりした硬い皮疹などから受診につながることがあります。早い段階で特徴を押さえると、受診先や検査の見通しを立てやすくなります。
監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)
診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科
強皮症の初期症状と経過

強皮症にはどのような種類がありますか?
強皮症という言葉は、ひとつの病名だけを指すわけではありません。全身性強皮症と限局性強皮症を分けて考えると把握しやすくなります。全身性強皮症は、皮膚の硬化に加えて、肺や消化管、心臓などの内臓に病変が及ぶことがある膠原病です。これに対して限局性強皮症は、境界がはっきりした皮膚の病変が中心で、基本的には内臓を侵しません。名前が近いため混同されやすいですが、別の病気として扱う視点が欠かせません。
参照:『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)
全身性強皮症の初期症状を教えてください
全身性強皮症では、初期にレイノー現象がみられることがあります。寒さや緊張をきっかけに、指先の色が白、紫、赤の順に変わる症状です。これに続いて、指が腫れぼったい、皮膚がつまみにくい、手指が動かしにくいといった変化が出ることがあります。症状が進むと、指先の潰瘍やへこみ、毛細血管拡張、胸焼け、飲み込みにくさ、乾いた咳、息切れなどが加わる場合があります。初期症状は皮膚だけに限らず、血管や内臓の変化が先に目立つこともあります。参照:『全身性強皮症(SSc)』(一般社団法人 日本リウマチ学会)
限局性強皮症にはどのような初期症状がありますか?
限局性強皮症では、身体の一部に境界がはっきりした硬い皮疹が出るのが基本です。円形や楕円形の斑として出ることもあれば、線のように細長く出ることもあります。病変は黄色みを帯びてつやが出たり、茶色っぽく見えたり、周囲がうすく赤くなったりします。かゆみが強い病気ではありませんが、痛みやひりつきを伴うことがあります。頭皮や眉にできたときは脱毛を伴うことがあります。線状の病変では、皮膚の奥まで炎症が及び、関節の動かしにくさや陥凹が目立つこともあります。
参照:『限局性強皮症 Q1 限局性強皮症とはどんな症状をきたす病気ですか?』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
全身性強皮症や限局性強皮症はどのような経過をたどりますか?
全身性強皮症の経過は一様ではありませんが、皮膚硬化が広い範囲に及ぶ型では、発症から数年のあいだに内臓病変が出やすいとされています。一方で、皮膚硬化が限られた型では進行がゆっくりなことがあります。ただし、ゆっくり見えても肺高血圧症など重い合併症が隠れることがあるため、定期的な評価が欠かせません。限局性強皮症は内臓病変を伴わないのが基本ですが、再燃を繰り返しながら病変が広がることがあります。特に線状の病変では、見た目の変化だけでなく、関節や成長への影響にも目を向ける必要があります。
参照:『限局性強皮症 Q12 限局性強皮症の自然経過について教えてください?』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
強皮症と間違えやすい病気と受診サイン

全身性強皮症の初期症状に似ている症状が現れる病気はありますか?
あります。例えば、指先の色が変わるレイノー現象は、原因のない原発性レイノー現象でも起こります。また、混合性結合組織病では、レイノー現象や手の腫れ、手指の皮膚硬化、胸焼け、息切れなどが重なることがあります。さらに、全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎などの膠原病でも、レイノー現象や手指の症状がみられることがあります。指の色の変化だけで強皮症と決めつけることはできず、皮膚硬化の広がり、自己抗体、肺や消化管の所見を合わせて見分けます。参照:『混合性結合組織病(指定難病52)』(難病情報センター)
限局性強皮症の初期症状と似ている症状を持つ病気を教えてください
限局性強皮症に似た皮膚病変をつくる病気として、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬、ケロイド、肥厚性瘢痕、硬化性脂肪織炎などが挙げられます。見た目だけでは区別しにくいことがあり、皮膚の硬さがどこまで及んでいるか、境界がはっきりしているか、線状か斑状か、痛みや機能障害があるかを丁寧に確認します。限局性強皮症は全身性強皮症の軽い型ではなく、そこを取り違えないことも診断では欠かせません。
参照:『限局性強皮症 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
どのような症状が現れたら病院を受診した方がよいですか?
寒いときに毎回指先の色が変わる、指がむくんで指輪が入りにくい、皮膚が急につっぱる、硬い皮疹が広がる、頭皮の一部がへこんで脱毛する、といった変化があれば受診を考えましょう。全身性強皮症では、息切れ、乾いた咳、胸焼け、飲み込みにくさ、指先の潰瘍も受診を考える目安です。急ぐべきなのは、安静にしても続く息苦しさ、急な血圧上昇や頭痛、尿量低下、治りにくい指先の潰瘍がある場合です。皮疹が中心なら皮膚科、レイノー現象や関節症状、内臓症状を伴うなら膠原病内科やリウマチ科が候補です。
参照:『全身性強皮症(SSc)』(一般社団法人 日本リウマチ学会)
強皮症の検査と診断

強皮症が疑われるときはどのような検査が行われますか?
全身性強皮症では、診察で皮膚硬化の範囲や指先の変化を確認したうえで、血液検査で自己抗体を調べます。あわせて、胸部CTや肺機能検査で間質性肺疾患を確認し、心エコーで肺高血圧症や心機能を評価します。爪の付け根の毛細血管を拡大して見る検査が役立つこともあります。限局性強皮症では、皮疹の診察が中心です。必要に応じて皮膚生検で組織を調べたり、深さや活動性をみるために超音波検査や造影MRIを行うこともあります。
参照:『全身性強皮症(SSc)』(一般社団法人 日本リウマチ学会)
強皮症の診断基準を教えてください
全身性強皮症では、手足の指をこえて皮膚の硬さが広がっているかを確認します。指だけに皮膚の硬さがある場合でも、指先の傷あと、肺の変化、血液検査でわかる自己抗体などを組み合わせて診断します。診断では、爪の生え際の毛細血管の変化や、指先の潰瘍、肺の病変も参考にします。限局性強皮症では、境目がはっきりした硬い皮膚の変化があるかをみます。必要に応じて皮膚の検査を行い、似た病気ではないことを確かめます。
参照:『全身性強皮症診断基準・重症度分類・診療ガイドライン』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
強皮症は治療によって完治する病気ですか?
全身性強皮症は、現時点で根治が確立した病気ではありません。ただし、早い段階で病型と臓器病変を見極めることで、免疫抑制薬や抗線維化薬、血管拡張薬、胃酸を抑える薬などを使い分け、進行を抑えることが期待できます。限局性強皮症も、活動性のある時期に外用薬、光線療法、内服治療などを選ぶことで広がりを抑えられる場合があります。病勢が落ち着いても、色の変化、陥凹、関節の動かしにくさが残ることはあります。そのため、完治というより、病気の活動性を抑えながら機能と生活の質を保つことが治療の中心です。
参照:『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)
編集部まとめ

強皮症の初期症状では、全身性強皮症と限局性強皮症を分けて考えることが欠かせません。全身性強皮症では、レイノー現象、手指の腫れ、皮膚のつっぱりに続いて、肺や消化管の症状が加わることがあります。限局性強皮症では、境界がはっきりした硬い皮疹や線状のへこみ、脱毛が手がかりです。早い段階では別の膠原病や皮膚疾患と見分けにくいため、症状が続くときは皮膚科や膠原病内科で相談してみてください。早期に評価を受けると、必要な検査につながりやすくなります。
参考文献
『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)
『全身性強皮症(SSc)』(一般社団法人 日本リウマチ学会)
『限局性強皮症 Q1 限局性強皮症とはどんな症状をきたす病気ですか?』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
『限局性強皮症 Q2 限局性強皮症にはどのような種類がありますか?』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
『限局性強皮症 Q12 限局性強皮症の自然経過について教えてください?』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
『限局性強皮症 Q15 限局性強皮症にはどのような治療がありますか?』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
『混合性結合組織病(指定難病52)』(難病情報センター)
『限局性強皮症 診断基準・重症度分類・診療ガイドライン』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
