「生まれ変わったら誰よりも幸せに」献花台に溢れる花や菓子…養父逮捕から1週間、垂れ流されたデマ・誤報、元刑事の迷推理「結希君はお母さんが大好きだったのに」≪京都11歳死体遺棄≫
京都府南丹市の安達結希君(11)が遺体で⾒つかり、死体遺棄容疑で養父の安達優季(ゆうき)容疑者(37)が逮捕された事件で、京都府警は死体遺棄容疑の勾留期限の5月6日をめどに、殺人容疑で再逮捕できるかどうか慎重に捜査を続けている。
【画像】「一言でいうとフツウ」友人たちと塀に腰掛ける安達容疑者の青春時代の写真と、メガネをかけ大人しそうな安達容疑者の近影、供えられたたくさんの花やお菓子
児童が失踪し遺体で見つかった事件が社会に与えた衝撃は大きいが、根拠のない憶測や陰湿な虚偽をまき散らすYouTubeやXの発信が不安を拡大させる要因にもなった。
献花に訪れる人の波がおさまらず…
「生まれ変わったら誰よりも幸せになりますように。」
4月13日に結希君の遺体が見つかった藪の近くには弔花やお菓子、清涼飲料水などが山のように置かれている。近所の人が「献花台」のように古い机を設置したが、週末をピークに遠方から駆けつけた人々が置いていく結希君へのお供えは到底その台に収まりきらない量になっている。
そのなかに、母親の再婚相手に殺害された可能性が高まっている結希君の短い人生を悼むメッセージが添えられていた。
「3月23日の朝、結希君は優季容疑者の黒い車に乗り込んだ後、行方がわからなくなりました。容疑者は当初『学校へ送った』と警察に説明していましたが、結希君は登校しておらず、遺体発見後の調べに容疑者は、殺害し南丹市内に遺棄したと供述しました。
しかも殺害後には遺体を運んで別の場所に遺棄する作業を複数回行なったとみられています。府警は容疑者のスマートフォンなどの電子機器を解析し、一定時間とどまっていた場所に狙いをつけて捜索し、遺体を発見したことで一気に事件が動きました」(地元記者)
学校へ行ったはずの児童が消えるという親にとっては鳥肌が立つような恐ろしい状況に加え、結希君の通学用のランリュックが不自然な場所に目につくように捨てられていた異様な展開もあって事件は大きな注目を浴びた。
そこに便乗したのが、取材を基にした報道とは似ても似つかない、憶測や妄想をそのまま発信するSNSのデマアカウントや一部のユーチューバーたちだ。
「結希君の自宅から10キロ以上離れた場所に駆除した野生動物の死骸を処理する市の施設がありますが、ここで『遺体が処理された』という趣旨のデマが行方不明になってしばらく経ってからXを中心に飛び交いました。親族がこの施設と関係があるかのような“情報”までついてデマは拡散されました」(地元記者)
現場を少しでも取材すれば、バカバカしくて相手にできないような話を…
京都府警が発見した遺体が結希君だと確認されると、こうした発信者はほとんどアカウントを削除して姿を消した。しかし、デマはこれだけではない。
「結希君の失踪には複数の人間が関わっていて『捜査のかく乱を狙っている』との言説も飛び交いました。しかし京都府警は今のところ、『(容疑者の)供述ベースでは共犯を示唆する内容はなく。単独とみている。少なくとも死体遺棄は別の人物の関与を示すものは出ていない』と言明しています」(同)
さらに、匿名アカウントだけでなく、“捜査の権威”を装った人物も参入して真偽不明の話を拡散させたのが今回の事件の特徴だ。
「関東地方の県警の元警察官だったと名乗る人物は、容疑者の逮捕後、それまでYouTubeで話してきた犯人像などの“推理”が外れていたことが露わになりました。現場を少しでも取材すれば、バカバカしくて相手にできないような話を、捜査経験があると誇示しながら広めたのはいかがなものかと思います。
しかもこの人物は、事件に絡むYouTube配信の中で、同時接続の数が過去最高になったと自賛し、アシスタントらしい女性が『おめでとうございます』と祝福しました。今もその動画は削除されておらず、非常識だと非難の声が出ています」(雑誌記者)
こうした杜撰な情報の拡散はSNSやYouTubeだけではない。台湾のテレビ局「民視」はSNSで出回っていた「犯人は中国人」というデマをそのまま放送し、それを見たSNSユーザーが「テレビも報道している」と言ってこのデマをさらに拡散した。
地元関西テレビも、優季容疑者の逮捕後、京都地検に入る別の人物を同容疑者と間違って放送し、ネットでもテレビでも嘘と事実が混じった大量の情報が放出される事態となった。
優季容疑者が結希君の母親と再婚して住み着いた安達家のことを知る男性も、家族に傷を残した“世間が認識しない誤報”にため息をつく。
「報道の人達もいろんな人がおるな。『結希君を実質的に育ててるのはおばあちゃんだ』みたいな報道をしているところがあったけど、そらないわ、と思ったな。結希君はお母さんが大好きな子やで…」
山あいの町を悲しみのどん底に突き落としたのは優季容疑者だが、家族や地域が負った傷口に塩を塗るような情報発信が行なわれた事実は忘れてはならない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
