自分の課題と相手の課題を分離する|人間関係のストレス原因に線を引く「バウンダリー」の考え【感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング】

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自分と他人の境界線の引き方

私たちの人間関係の悩みやストレスの多くは、自分と他人との間の心理的な境界線(バウンダリー)に起因しています。

感情や責任、価値観などの心理的な境界線とは、「ここまでは自分の領域」「ここからは相手の領域」と、明確に区別するための「枠」です。 この境界線が健全に働いていると、たとえ自分軸が弱くても自分の自己防衛の働きを保ちながら、他者とも良好な関係を築くことができます。

しかし、この境界線がボロボロだったり、カチカチだったりすると、さまざまな問題が生じます。

〈境界線がボロボロな人の特徴〉

● 自分と他人の区別がつきにくく、他人の問題や感情を自分のもののように思い込み、背負い込む
● 人から頼みごとをされると「ノー」と言えず、自分のキャパシティを超えて引き受けすぎて疲弊する
● 相手の機嫌を損ねることを極端に恐れ、常に他人の顔色をうかがい、自分の本音を抑圧する
● 相手の問題を自分のことのように感じ、頼まれていないことまで過剰に世話を焼いてしまう

〈境界線がカチカチな人の特徴〉

● 他人を過度に遠ざけ、壁をつくる
● 他人からの助けや好意を素直に受け取れない
●「自分のことはすべて自分でやるべきだ」と、頑なに心を閉ざし、他者を信頼することができない
● 弱みを見せることを極端に恐れ、どんなに困っていても「助けて」と言えない

このように境界線が健全に働いていない状態は、人間関係にさまざまな影響を与えてしまうのです。

自分と他人の間に健全な境界線を引こう

健全な境界線を保つために重要なのは、まず自分の感情と感覚に気づくことです。「モヤモヤする」「イライラする」「ザワザワする」といった不快感は、境界線が侵害されているというアラーム。それに気づき、常識や世間体よりも、自分の内側の感情や感覚を優先することから始めます。

次に大切なのは、それを相手に伝えることです。相手を指さして「あなたは……」と非難したり、攻撃したりするのではなく、自分を指さして「私は……」と自分の状態や気持ちを正直に伝えます。

健全な境界線を持つことは、自分の本音を自覚することであり、相手の課題に踏み込まず、自分の課題にも踏み込ませないという「課題の分離」を実践することなのです。

POINT

健全な境界線は、健全な人間関係の土台。
モヤモヤする自分の感覚を見逃さず、「これは私の課題? 相手の課題?」と分けて考えよう。

【出典】『感情を手放してラクになる デトックス・ジャーナリング』著:長沼睦雄

【著者紹介】
長沼睦雄(ながぬま・むつお)
十勝むつみのクリニック院長・精神科医。昭和31年生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了。その後、障害児医療分野に転向し、道立札幌療育センターにて14 年間児童精神科医として勤務。平成20 年より道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と成人の診療を行う。平成28 年に帯広にて十勝むつみのクリニックを開院。急性期の症状を対症療法的に治療する西洋医学に疑問を感じ、HSP・アダルトチルドレン・神経発達症・発達性トラウマ障害・慢性疲労症候群などの慢性機能性疾患に対し、「脳と心と体と食と魂」をつなぐ根本治療を目指す統合医療に取り組んでいる。
『敏感すぎて生きづらい人の 明日からラクになれる本』『繊細で敏感でも、自分らしくラクに生きていける本』(共に永岡書店)、『子どもの敏感さに困ったら読む本』『10 代のための疲れた心がラクになる本』(共に誠文堂新光社)、『その、しんどさは「季節ブルー」』(日本文芸社)など著書多数。