老後の生活費として月20万円を想定していますが、自分の年金見込みを確認したら20万円に届きませんでした… 50代からでも年金を増やす方法はありますか?
年金見込み額が想定より少ないときは、まず前提条件を確認する
年金の見込み額を見て少ないと感じたときは、その数字だけで判断しないことが大切です。見込み額は、現在の働き方を続けた場合なのか、今後の加入状況の変化が反映されているのかによって変わります。
厚生労働省の公的年金シミュレーターは簡易試算に役立ちますが、より詳しい年金記録や見込み額を確認するには、日本年金機構の「ねんきんネット」が便利です。
また、老齢基礎年金は、原則として20~60歳までの40年間、つまり480月にわたって保険料を納めることで、満額に近い金額を受け取れる仕組みです。
そのため、未納や免除、未加入の期間がある場合は、見込み額が想定より低くなることがあります。年金額が想定より少ない場合は、まず納付状況を確認し、どこに原因があるのかを整理すると、今後の対応を考えやすくなります。
50代からでも公的年金を増やせる方法はある
50代からでも、公的年金を増やせる可能性はあります。代表的なのは、「厚生年金に加入して働く期間を延ばす」ことです。会社員や公務員として厚生年金に加入する期間が長くなるほど、老齢厚生年金は増えやすくなります。定年後も働く予定がある場合は、収入だけでなく将来の年金額にも関わる点を意識しておくとよいでしょう。
国民年金の納付月数が40年に届いていない方は、60歳以降の「任意加入」も検討できます。60歳以上65歳未満で、保険料の納付期間が480月未満の場合は、一定の条件のもと国民年金に任意加入することで、年金額の増額を目指せます。
ただし、申し出月からの加入となり、過去にさかのぼって加入することはできません。思い当たる方は、早めに確認したほうがよいでしょう。
さらに、過去に保険料の免除や納付猶予、学生納付特例を受けた期間がある場合は、「追納」によって将来の年金額を増やせます。追納とは、後から保険料を納める制度です。ただし、追納できるのは承認月の前10年以内の期間に限られます。期限を過ぎると使えなくなるため、放置しないことが重要です。
受け取り方の見直しと、不足分を補う準備も重要
年金額を増やす方法としては、受け取り開始時期の見直しもあります。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則65歳から受け取れますが、すぐに受け取らず開始時期を遅らせる「繰下げ受給」を選ぶと、その分だけ年金額を増やせます。
増額率は1ヶ月当たり0.7%(最大84%)で、増えた金額は一生変わりません。そのため、老後の収入を少しでも増やしたい場合は、検討する価値がある方法です。
ただし、繰下げ受給には注意点もあります。受け取りを遅らせると年金額は増えますが、その間の生活費は、自分で準備しなければなりません。
そのため、年金額が増えるという理由だけで誰にでも向く方法とはいえず、手元資金に余裕がないまま繰下げると、かえって家計が苦しくなるおそれがあります。繰下げ受給を選ぶかどうかは、年金額の増加だけでなく、受給開始までの生活費とのバランスを見ながら判断することが大切です。
また、公的年金を増やせるとしても、不足分をすべて埋められるとはかぎりません。そこで、老後資金は公的年金だけで考えないことも大切です。まずは年金でどこまで増やせるかを確認し、そのうえでなお足りない分がどれくらいあるのかを整理すると、今後どのような準備が必要かを考えやすくなります。
年金の見込み額を確認し、できる対策から始めよう
50代からでも、年金を増やす方法がまったくないわけではありません。厚生年金の加入期間を延ばすこと、60歳以降の国民年金の任意加入、免除期間などの追納、繰下げ受給は条件が合えば検討できます。
一方で、公的年金だけで老後資金の不安を完全に解消するのが難しいケースもあります。そのため、まずは自分の年金見込み額がどのような条件で計算されているのかを確認し、利用できる制度があるかを整理することが大切です。そのうえで、足りない分をどう補うかまで含めて考えれば、対策は立てやすくなります。
50代は、老後資金の準備を始めるには遅すぎる時期ではありません。必要なお金や今後の備え方を具体的に考え始める時期として捉えることが大切です。まずは自分の年金見込み額を正しく把握し、できる対策から着実に始めましょう。
出典
厚生労働省 公的年金シミュレーター利用のご案内
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
