『神風怪盗ジャンヌ』©種村有菜/集英社

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『神風怪盗ジャンヌ』などで知られる漫画家種村有菜さんの画業30周年を記念した原画展が、東京・豊島区で17日から開催されています。種村さんにインタビューし、原画展への思いや人気キャラクター誕生のきっかけ、心に残っているワンシーンなどを伺いました。

■原画や衣装など250点以上を展示

種村さんは、1996年漫画雑誌『りぼん』でデビュー。1998年に連載開始の『神風怪盗ジャンヌ』は累計発行部数600万部を突破し、テレビアニメ化。その後も『満月をさがして』、『紳士同盟†』、『桜姫華伝』など多くの作品を生み出しました。また、ゲーム『アイドリッシュセブン』のキャラクター原案を手がけています。

種村有菜 30周年記念展 きらめく少女たちの夢物語』(〜5月18日まで)は、原画やキャラクターの衣装など250点以上が展示され、種村さんの作品の歴史をたどることができます。

■『りぼん』に投稿を始めて2年でデビュー 漫画家を目指したきっかけ

――画業30周年おめでとうございます。原画展開催にあたって心境はいかがですか?

こんなに長く漫画家としてやってきただろうか?というほどあっという間だったな、という印象です。漫画を描くのはとても時間がかかるものなので、作品数を考えるとこのくらい経つのも納得です。

――種村先生が漫画家になりたいと思ったきっかけ、デビューするまでの経緯について教えてください。

いとこの女の子に私のオリジナルキャラクターのイラストをよく描いてプレゼントしていたのですが、「この子の漫画が読みたい」と言われた時に「それなら漫画家にならないとな」と思い、目指し始めました。当時は田舎に住んでいて、漫画家になるためのノウハウも画材もなにも売っておらず、わからないながらも試行錯誤を重ねて、『りぼん』に投稿を始めて2年でデビューしました。

■「毎作品毎月アドリブでやりきっていたようなもの」

――作画、ストーリーで特に苦労した作品は?

『神風怪盗ジャンヌ』からずっと、連載が終わっても全く休みが取れなくて、ゆっくり作品を練る時間もなくて、毎作品毎月アドリブでやりきっていたようなものでした。なので全作品大変でした。

――ネタ集めはどのようにしているのでしょうか? インスピレーションなどを得る事や場所はありますか?

ネタ集めなどは特にしませんでしたが、日常のふとした瞬間に脳内にトリップしてしまうのには本当に困りました。(頭の中で次回のネームを描き始めてしまうようなものです) よくスイッチが入るのが、映画館で映画を観てる時や電車を降りた瞬間で。映画は観てないうちに40分くらい進んでるし、玄関の鍵を開ける音で覚醒するけど電車降りてからどうやって帰ってきたのか全然覚えていないし、本当変な体験でした。

■98年連載開始『神風怪盗ジャンヌ』 ヒーローは「女たらしにしようと」

1998年に連載がスタートしたファンタジー作品『神風怪盗ジャンヌ』。ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりである16歳の高校生・日下部まろんを主人公に、夜は絵画を盗む“神風怪盗ジャンヌ”として活躍する姿や、ライバル“怪盗シンドバッド”でもある名古屋稚空との恋などを描いた物語です。

――『神風怪盗ジャンヌ』は代表作の1つとなりましたが、魅力的なキャラクターやストーリーはどのようにして誕生したのでしょうか?

主人公はとにかく私が好きになれる、憧れをつめた女の子にしようと思い、まろんちゃんが生まれました。稚空くんは、当時りぼんのヒーローは真面目な男の子が主流でしたので、真逆の女たらしにしようと思い、生まれました。

――『ジャンヌ』連載当時、『りぼん』でさまざまな作品が連載されていましたが影響を受けた作品や先生はいらっしゃいますか?

「こんな面白い漫画描けてすごい!」「私ももっと面白い作品描きたい!」という影響はとても受けていました。普通に面白いくらいじゃダメだ!と限界を超えられた気がしたので、面白い作品が沢山掲載されていたりぼんで連載できていたことは本当に幸せでした。

■心に残っているワンシーンは 「"孤独"という言葉を使わずに孤独を表現できないか」

――どれも特別な作品だと思いますが、“これはうまく表現できた”というような心に残っているワンシーンはありますか?

『紳士同盟†』37話
灰音ちゃんの『私が死んだら、誰か「寂しい」って思うかな?』『それは私が「寂しい」って感じた時と、同じ気持ちなのかな……?』と、その後の見開きシーンです。"孤独"という言葉を使わずに孤独を表現できないかと試行錯誤して出来上がったものでした。

■原画展への思い「一本の線から、気迫なども感じ取っていただけたら」

――これまでの漫画家人生で “励みになったこと” を教えてください。

やはり皆様からの応援ですね。私は『神風怪盗ジャンヌ』で初めてサイン会をさせていただくまで、自分の漫画が人気があるなんて全く思ってなかったんです。人気と言われても、それは「りぼん」という雑誌が人気なだけで、「りぼん」で連載してるからなだけで、私の作品の力じゃないって思っていたので。初サイン会で、信じられないほどのご応募をいただいて、初めて自分の作品が受け入れられているんだと感動しました。

――最後に、ファンの方に今回の展示会をどのように楽しんでほしいですか?

描いていた当時、本当に命をかけて描いていました。原稿から、一本の線から、気迫なども感じ取っていただけたら嬉しいです。そして読まれていた時の、ご自身のことも同時に思い出して、浸りながら見ていただけたら幸せです。