イメージ画像

写真拡大

先週末には終結の可能性も高かったイラン情勢は、一転再び緊張感を増している。15日、米海軍はホルムズ海峡の逆封鎖を宣言、海峡は「イランの封鎖」と「米軍の逆封鎖」が重なる二重封鎖状態に突入した。

イランの頑強な抵抗にもかかわらずアメリカのトランプ大統領は強行な姿勢を崩してはいない。パキスタンのイスラマバードで行われた両国間の停戦協議は12日に実質決裂、状況を打開するべくホルムズ海峡の封鎖を決めたトランプ氏だが、イラン側は「軍事艦艇が海峡に近づけば停戦違反とみなし、全力で応じる」としており、火に油を注いだ形だ。

しかも、もはや停戦が通行の自由化=原油価格の値下がりという図式にはなりえなくなっている。この間、イラン議会は並行して通行料を法制化する枠組みを可決しており、1隻100万ドル超の徴収体制を整えているからだ。

さらに、13日にはIEA(国際エネルギー機関)・IMF・世界銀行の3機関トップが異例の共同声明を発出。そこでは、今後の見通しについてこう述べられている。

「ホルムズの船舶通航が再開されても、世界の主要商品の供給が紛争前の水準に戻るには時間がかかる。燃料と肥料の価格は、インフラへのダメージを考えれば長期にわたって高止まりする可能性がある」

紅海を押さえるフーシ派の脅威

さらに懸念されているのは、アメリカとイスラエルが戦争を継続することで、さらなる物流の停止が広がることである。

ここで注目されているのが、イエメン北部を実効支配するフーシ派(アンサル・アッラー)である。

イランと同盟関係にある同組織は、3月下旬に「我々は抵抗のすべての戦線への侵略が止まるまで攻撃を継続する」としてイスラエルへの弾道ミサイル攻撃を実行し、事実上の参戦国となった。

同組織はイエメン西海岸に沿った広大な地域を支配しており、紅海とアデン湾を結ぶ幅わずか32キロメートルの水路・バブ・エル・マンデブ海峡を射程に収める。ホルムズ海峡が詰まった今、サウジアラビアがう回路として使っているのがまさにこのルートだ。世界の海上貿易の約12%、コンテナ貨物の4分の1がこの海峡を通じてスエズ運河へと向かう。

これまでも、同組織は2024年には178隻の商船を攻撃、4隻を撃沈、2023年12月から2024年2月にかけてバブ・エル・マンデブを通過するコンテナ船舶数は90%減少し、1航海あたり1万1000海里のう回、10日間の日数増加、燃料費100万ドルの追加コストが各社に発生することとなった。

ホルムズが詰まればう回路は紅海しかない。その出口をフーシ派が押さえている。「二重封鎖」に「第三の封鎖」が加わる可能性を、専門家たちは静かに注視している。

ナフサの供給混乱で受注停止のメーカーも

資源エネルギー庁の調査によれば、6日時点のレギュラーガソリン全国平均は167.4円。補助金48.8円(9日適用分)で辛うじて抑えられているが、補助なしでは217円超の計算だ。

だがガソリンより深刻な問題が静かに進行している。例えば、ナフサの供給混乱は既に顕在化しておりTOTOやINAXなどのメーカーが製品に使用する材料を確保できず受注停止を余儀なくされている。これは、率直にいえば住宅などの建築が実質的にストップしたわけである。混乱は、さらにゴミ袋・食品容器・洗剤・医療用品の原料などの石油化学製品全般に広がりつつある。

国民の間でも次第に不安は広がり、スーパーやホームセンターなどでは、ゴミ袋などの値上がりを予期して早めの購入を呼びかけるところが増えている。数年前は、新型コロナウイルスの感染拡大でマスクを求めてさまようことになったが、今度はゴミ袋を求めてさまようことになるのか。

高市早苗首相はこの間、エネルギー節約の呼びかけに慎重な姿勢を崩していない。高支持率を維持する政権が国民生活をどう守るか?その問いへの答えが、問われるところだ。

文/昼間たかし 内外タイムス