JRT四国放送

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阿佐海岸鉄道のDMV=デュアル・モード・ビークルは、車両不具合などのため、4月8日と9日の2日間、全便運休しました。

導入から4年、しかし、率直に言ってその道のりは不具合と運休の連続です。

現状を取材しました。

「出発進行」

DMVは、海陽町と高知県東部を結ぶ阿佐海岸鉄道へ2021年に導入された、線路と道路の両方を走ることができる二刀流車両です。

車両は全部で3台、平日は1台、休日は2台が運行します。

「世界初」の触れ込みで観光客誘致が見込まれ、赤字が続く阿佐海岸鉄道にとって経営改善の切り札として期待されました。

事業費は16億3200万円です。

(徳島市から)
「海陽町に行く用事があって、せっかく行くならDMVに乗ってみようかなと思って」
「世界で初めての乗り物だというので、体験したいと思った」

導入直後こそ集客には一定の効果があったといいますが、その後、乗客数は右肩下がり。

2024年度は約2万5500人と、運行開始の2022年度と比べ約2万人減りました。

地元の人の利用もほとんどありません。

(阿佐海岸鉄道・大谷尚義 専務)
「鉄道好きのみなさまには知っていただいているんですけど、まだ知られていないところもかなりありまして」

このため経営改善には程遠く、運行開始から3年間の平均赤字は9058万円と、DMV導入前よりむしろ経営は悪化していて、開業以来33年連続の赤字が続いています。

(阿佐海岸鉄道・大谷尚義 専務)
「プロモーションも行って来ていただけるように」
「一番はこの地に来ていただいて、この地の良さを知っていただいて、またここに来ていただけるようにと」

しかし、それ以前の問題、DMVは不具合が多すぎるのです。

2025年度、車両の不具合によりダイヤ通り運行できなかったのは都合6度、通算70日にも及びます。

4月8日、9日のように、全便運休となるのも初めてのことではありません。

(阿佐海岸鉄道・大谷尚義 専務)
「なにぶん、世界初めての車両であるというところがある」

世界初であるが故、全てのトラブルに前例がなく、対処に時間を要します。

また、年に一度の長期点検、3か月に一度の定期点検と、常に3台中1台は「点検中」。

ダイヤが乱れるのも当然です。

そもそもDMVは、北海道などで導入が検討されるも、その都度、見送られてきました。

阿佐鉄とともに導入を進めた県は。

(県 交通政策課・橋本貴弘 課長)
「事象が起こることすべてが、世界初のトラブルといえると思う」
「メーカーや整備会社とも連携を密にして、それをいかに食い止めるか、できるだけ最小限にとどめれるか、というのに取り組んでいるのが現状」

(阿佐海岸鉄道・大谷尚義 専務)
「観光の要素が強い車両ではございますが、公共交通としてダイヤを守っていかなければならない」
「そこには大きな責務があると思っているので、一刻も早く解決させて安定運行を取り戻せるようにしていかなければならない」

「世界初」を導入する以上、こうした事態は想定できたはず。

もしかしたら、これまで各地で導入を見送ってきた人たちは、まさに、こうした事態を懸念したのかもしれません。

地域の人の足としてなら、バスで十分な気がしますが…。

取材した平日の午後は、1便2組くらいの乗車で、誰も乗っていない便もあったそうです。

果たして地域住民の足にとして、今の在り方でいいんでしょうか。